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顔に貼る電子タトゥーで「脳の疲れ」をリアルタイムで測定、過度な負荷を検出する新技術

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(著) (編集)

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顔に貼り付け脳の疲労度を測定する電子タトゥー image credit:Device/Huh et al.
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 おでこを中心に顔面にペタっと張り付けるタトゥーのような電子シールは、脳の疲労度をリアルタイムで計測するための極薄センサーだ。

 きつい仕事は体だけでなく、脳や心にも大きな負荷となる。それはミスを誘発し、下手をすれば重大な事故につながることもあるだろう。

 この電子タトゥーはそうした精神的疲労を客観的に調べるために開発された。

 従来の装置よりも安価で軽量、かつ精度も高く、働く人の心の健康を守る新たなツールとして期待されている。

脳の「オーバーワーク」を顔に貼った電子タトゥーでチェック

 私たちが最高のパフォーマンスを発揮するには、作業にともなう負荷が大きすぎても、小さすぎてもいけない。少な過ぎれば退屈になり集中力が低下し、多過ぎれば圧倒されて疲れてしまう。

 ところが科学技術の急激な進化は、“ほどほど”ということを知らない。

 テキサス大学オースティン校のナンシュ・ルー氏は、「テクノロジーは進化し続けているのに、人間の脳の処理能力は進化のスピードに追いついていません。脳はすぐにオーバーヒートしてしまうのです」と述べている。

 脳が最もパフォーマンスを発揮するのは、負荷が多すぎず、少なすぎない時で、その最適なバランスを見つけることが大切なのだ。

 航空管制官やトラック運転手、医療従事者はもちろん、集中力の低下により危険が発生する職業の人なら尚更だ。

 これまでも、NASAタスク負荷指数(NASA-TLX)のような精神的負荷を計測する方法はあったが、それは課題のあとで質問に答えるアンケート形式のもので、時間がかかるうえに、主観的なものだった。

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Photo by:iStock

シールのようなセンサーで「脳波と眼電位」を測定

 そこで脳の疲れをもっと手軽に、かつ客観的に評価できるよう考案されたのが、「電子タトゥー」だ。

 シールのような極薄のセンサーとバッテリーで構成されており、肌にぴたっとくっついて、脳波(EEG)と眼球の電気的活動(眼電位/EOG)を計測することができる。

 同じことができる器具ならすでにある。だが脳波測定でよく使われるEEGキャップは、配線がぶら下がるヘッドギアのようなものを被り、多数のセンサーをジェルで貼り付ける煩雑な装置だ。

 それに対して、電子タトゥーは軽量でおでこを中心に顔に貼るだけ。柔軟性があるため誰の顔にもぴったりとフィットすると、リー氏は語る。

EEGキャップはあれだけセンサーがあるのに、頭の形が人によって異なるせいで、信号の検出がうまくできなくなったりします

電子タトゥーならば顔を測り、人に合わせて作られるので、常に正しい位置に取り付けられ、信号を検出できます(ナンシュ・ルー氏)

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タトゥーシールのようなセンサーで、精神の疲れをリアルタイムで計測 image credit:Device/Huh et al.

電子タトゥーで脳の疲労検出に成功

 6人が参加した実験では、被験者に電子タトゥーを着用してもらい、だんだんと難易度があがる記憶テストを受けてもらった。

 その結果、問題が難しくなるにつれて、認知の負荷が増大していることを示すシータ波やデルタ波が検出された。

 さらに、精神の疲れを示すアルファ波やベータ波の減少が計測された。被験者の脳が負担の重さに喘ぐ様子が客観的に検出されたということだ。

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画像E: 額に装着した電子タトゥーで測定された水平および垂直方向の眼電図(EOG)。さまざまな眼球運動やまばたきの際の記録。
画像F: 脳波測定装置「Brain Vision」(赤)と電子タトゥー(薄青)による脳波(EEG)の比較。頭の動き、顔の表情、歩行中の動作など、さまざまな条件下での測定結果。 image credit:Device/Huh et al.

コストと装着感、そして将来への応用

 また研究チームは、精神的負荷を予測するモデルを開発しており、これと電子タトゥーがあれば、精神の疲労レベルをリアルタイムで診断できることを示唆している。

 さらに電子タトゥーはこれまでの同様の装置に比べればずっと安価だ。

 従来のEEG装置は1万5000ドル(約220万円)を超えることもあるが、この電子タトゥーならば、チップとバッテリーパックが200ドル(2万8000円)、使い捨てセンサーなら1枚あたり20ドル(2800円)で済む。

 今のところ髪の毛があるところに電子タトゥーは使えないが、将来的にはインクベースのセンサーを利用することで、弱点を克服できるとのこと。

 そうなれば、頭全体に電子タトゥーを取り付け、より包括的な脳のモニタリングが可能になるそうだ。

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様々な角度から見た電子タトゥー  image credit:Device/Huh et al.

人間の疲労を事前に察知して事故を未然に防ぐ

 こうした技術は精神的な疲れを事前に察知し、事故を未然に防ぐアラームとして役立つ可能性がある。

 共同研究者のルイス・センティス氏は、この技術の社会的意義を次のように語っている。

これまでの職場では、筋肉疲労やケガなど身体の健康ばかりが重視されてきました。しかし、心の疲れは見過ごされがちだった。電子タトゥーがそれを可視化できるようになれば、働く人々の精神的な健康まで配慮した職場環境が実現できます

 AIやロボットがますます普及する中、研究チームはこうした技術が人と機械のより良い関係づくりに役立つことを期待している。

 この研究は『Device』(2025年5月29日付)に掲載された。

References: A wireless forehead e-tattoo for mental workload estimation / Electronic tattoo gauges mental strain

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この記事へのコメント 9件

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  1. 「シンクロエナジャイザー」は時代を先取りしすぎていた。

    • +1
  2. デトロイトってゲームに出てくる、アンドロイド額側面のLEDランプ思い出した。
    こういう技術を進化させて、スマートウォッチに警告出てくるとかいいかもしれないね。
    同時に、テクノロジーに管理されっぱなしもどうかとは思うけど。

    • +1
  3. 疲労度がわかるのはいいけど、すぐ疲れちゃうヒトと、割と長く頑張れるヒトとで不利益が出ないといいな。
    すぐ疲れちゃうヒトは効率が悪いとかいわれちゃうとしんどそう。

    • +5
  4. ヒトの管理および優劣がいっそうはっきり可視化

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  5. 発達障害持ちだけど、ちょっとやってみたい

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