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誰かのストレスはみんなに伝染する。キンカチョウが教えてくれる感情の波及効果

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(著)

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枝にとまるキンカチョウこの画像を大きなサイズで見る
Photo by:iStock
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 誰かが大きなストレスを抱えていた場合、まわりにいる人々にどのような影響を及ぼすのか?

 キンカチョウを対象とした新しい研究により、ストレスは社会集団内で広がり、ストレス要因に直接さらされていない個体にも伝染していくことが明らかとなった。

 ストレスを多く受けた個体がいる集団は、活動的ではなくなり、仲間との絆が弱まるなど、社会的行動に変化が見られたという。

 このストレスの波及は、社会的な集団の結束に負の影響を与え、生存にも大きくかかわる可能性があることを示唆している。

個のストレスは集団に伝染するのか?

 動物の生息地は、都市化や気候変動により急速に変化している。これに伴い動物たちが直面するストレスレベルも増加しているのが現状だ。

 だが動物の社会的環境におけるストレスの影響については、これまでほとんど研究が進んでいなかった。

 そこで、ドイツ、コンスタンツ大学の行動生物学者ハンヤ・ブランドル氏と、現在
オーストラリア国立大学に所属するダミアン・ファリーヌ氏の研究チームは、スズメ目カエデチョウ科に分類される、キンカチョウ96羽を用いた実験を通じて、個体レベルのストレスがどのように集団全体に広がるかを調査した。

 実験では、一部のキンカチョウにストレスを与え、4週間ごとに3回の観察を行った。

 ストレスを受けた個体と、直接ストレスを受けていない群れのメンバーとの行動や社会的相互作用の変化を詳細に分析し、さらに、尾羽に含まれるコルチコステロンを測定し、生理的なストレスレベルを定量化した。

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Photo by:iStock

ストレスは集団に伝染し、行動に変化

 その結果、ストレスを直接受けていないキンカチョウも、ストレスを経験した仲間と同様に活動レベルや社会的行動に変化が見られた。

 特に、ストレスを受けた個体の割合が多いグループでは、ストレスを受けていない個体の行動の変化が激しかった。

 ブランドル氏は次のように述べている。

私たちの実験は、ストレス反応が個体を超えて社会集団全体に広がることを示したものです

特に、ストレスを経験した個体が多い群れでは、この効果がさらに顕著でした(ハンヤ・ブランドル氏)

 このような変化は、野生環境では、動物が周囲を調べたり移動する活動が減り、その結果として食料や水などの必要な資源を見つけにくくなる可能性がある。

 さらに、ストレスが大きく伝染していった群れでは、社会的な結束力にも変化が見られた。

 ストレスを直接受けていない個体でも、新たな社会的関係を築く頻度が減り、既存のつながりに依存する傾向が強くなった。

群れ内のストレスは社会的結束に影響を与える可能性があります

一方で、弱い社会的結びつきが減少することで、ストレス伝播のリスクが低下することも考えられます(ダミアン・ファリーヌ氏)

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 個のストレスは集団へと伝染し、群れ全体の社会的行動や適応能力に深い影響を及ぼすようだ。

この研究は、ストレスが社会集団全体に与える影響の一端を明らかにしたものの、その長期的な影響や詳細なメカニズムについてはさらなる研究が必要であるとのこと。

 特に、環境ストレスがどのように動物の社会的行動を変化させるのかを解明することは、生態系の保全において重要な課題であるという。

 この研究は『Royal Society B Biological Sciences』(2024年11月13日付)誌に掲載された。

References: The Ripple Effect of Stress: What Zebra Finches Teach Us About Emotional Contagion / Stress in Social Groups: How One's Stress Affects the Whole - Neuroscience News

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この記事へのコメント 13件

コメントを書く

      1. 知らんかったからググったら、コキンチョウ怖い
        外見はレゴブロックみたいにくっきりした色の組合せなのに
        口の中、なにあれ…

        • +2
  1. 不機嫌ハラスメント、フキハラって言葉があるくらい、ストレスは表情や態度に出る

    • +13
  2. ネットで世界中の人と繋がる事が出来る様になった人間は更にストレスが伝染しやすいのかもしれない。

    • +8
  3. 不機嫌面すれば周りが気遣ってくれると思ってるおっさんみたいなのが鳥界にもおるんやな
    空気でもぶつかってくる

    • +4
  4. サイコパスばかりの弊社ではなんの問題も起こらない模様

    • +1
    1. やり方や緊張の種類によっては良薬にもなる。
      デザイナーの奥山さんは昔、自分の役目は金魚の水槽にナマズを放り込む役目みたいな事何かのインタビューで答えてたし、そういうのだったら良いのでは?

      • +1
  5. ハイハイ、他人に近付かないようにしてますよ

    • +1
  6. これ興味深いね。
    多分、本来は外敵に対する防衛の為なんだろうけど、過度になると全体のパフォーマンスを下げる、って事なのかな?

    話はズレるけど、昔「サブリナ」って米ドラマで
    「不機嫌は伝染する」だから無闇に自分勝手に感情的にふるまうのは良くない、みたいなお話があったなぁ。

    • +2
  7. 木の枝に一列になって止まってるの可愛い
    クリスマスの飾りみたい

    • +2

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