メインコンテンツにスキップ

ストレスは遺伝する。マウスの父親は精子を介して子孫にストレス反応を伝えていることが判明

記事の本文にスキップ

23件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 ストレスは遺伝する。正確に言えばストレスを受けた経験は遺伝するようだ。だからあなたがストレスを感じてイライラしがちなのは、もしかしたら親の経験によるものなのかもしれない。

 DNAはその塩基配列が変わらなくても、環境の影響によって発現の仕方が変わることがある。こうした変化を研究する分野のことを「エピジェネティクス(後成的遺伝学)」という。

 新しいエピジェネティクス研究によると、マウスはストレスのせいで起きた遺伝情報の変化を子孫に伝えているのだそうだ。

マウスのストレスが遺伝する要因を調査

 すでにマウスの精子がストレスの影響を受けることは知られていた。またマウスが環境のせいで増大したストレスへの感受性を子供に伝えていることも明らかになっていた。

 ただし、親と子でストレス耐性が似てくる原因が、精子自体にあるのか、それともほかの要因(たとえば親からの学習など)があるのかはっきりしていなかった。

 『The Journal of Neuroscience』(6月8日付)に掲載された研究では、この点を解明するべくマウスで実験が行われた。はたしてマウスの精子は、ストレスの強さを直接子供に伝えているのだろうか?

この画像を大きなサイズで見る
photo by Pixabay

ストレスに弱いマウスと強いマウスの遺伝子変化

 米マウントサイナイ医科大学の研究グループは、まずマウス(もちろんオス)の精子のRNAを解析し、それからストレスを受ける状況で10日間飼育した。具体的には人見知りしそうなマウスを攻撃的なマウスと一緒に飼育するのだ。

 そしてこのときの反応とストレスレベルの評価に基づいて、マウスをストレスに弱いグループと強いグループにわける。その上で再度精子のRNAを解析し、飼育の前後で変化がなかったどうか確かめた。

 その結果わかったのは、ストレスに弱いグループでは1460個の遺伝子が変化していた一方、強いグループでは62個だけだったということだ。

 そうした変化を伝えられた子供は、やはりストレスに対して大きな反応を示すことも確認された。

この画像を大きなサイズで見る
photo by iStock

精子自体にストレス反応を直接伝える機能があることを確認

 研究グループのアシュレー・カニンガム氏によると、強いストレスにさらされていたオスと”自然”に交尾したマウスは、そのことを察知してよりいっそう妊娠や出産に気を使うようになるのだという。

 そこで試しにストレスに弱いオスの精子を使い人工授精で妊娠させてみたところ、それでもやはりメスは同じように気を使うようになることが確認されたそうだ。

 つまり精子自体にストレス反応を直接伝える機能があるということだ。

この画像を大きなサイズで見る
photo by Pixabay

人間の気分障がいも親の経験に関係している可能性

 ところで人間の気分障がいもまた、家族の既往歴や遺伝が関係していることが知られている。一方、ストレスのような外部環境から受ける刺激もまた親から子へと受け継がれ、気分障害の引き金になっているのかどうかは定かではない。

 しかしカニンガム氏によれば、今回の結果は親の経験も関係していることを示唆しているのだという。

 気分障害は非常に複雑な症状で、ある人にはよく効く治療が別の人にはまるで効かないといったこともよくある。

 この病気を引き起こすさまざまな要因が解明されれば、より効果的な治療や予防法を考案できるかもしれないとのことだ。

References:Top image:photo by Pixabay /Can you inherit stress? Sperm study reveals link to mood / Mice Fathers Pass Down Stress Responses to Offspring via Sperm – Neuroscience News/ written by hiroching / edited by parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 23件

コメントを書く

  1. 臆病ほど長く生きられるように適応して行く

    • 評価
  2. はぁ~やっぱりか・・・
    親も機能不全家庭育ちだしな
    親自身も子供の育て方わからなかったんだろうし
    自分の能力にも生来的にあまり良い機能じゃなかったんだろうし

    でも自分マウスじゃないから・・・
    つらい

    • +10
    1. >>3
      丸っと過去のせいにしない方が良い。
      過去は乗り越えられる、
      たとえ親が乗り越えなかったものでも。
      自分の意思さえあれば。
      自分の力の及ばないもののせいにするには
      人生がもったいなさすぎる。

      割と自分のライフワークはコレ。
      過去を超えて結果的に変えていくこと。

      過去に引きずられて生きていくなんて
      もはや今を生きる意味がないとさえ思う。
      お陰で過去の自分も今の自分がいい意味でうまく繋がらなくなってしまった笑。

      • 評価
  3. 彼の肉体的ストレス耐性はものすごく強い。
    さらにショートスリーパーでタフ。

    自分肉体のストレス耐性弱々~で
    ロングスリーパー。

    でも精神的にタフなのは私の方。
    さて遺伝子はどうなるのやら。

    • +1
  4. 世界猫組合「俺らが全部食っちまえは解決だニャー」

    • 評価
  5. ストレス社会の行き着く先にはどんな人間が生まれるのやら
    ストレスをものともしない剛毛ハートな人間か、些細なストレスで死んでしまうガラスハートな人間か

    • +4
    1. ※6
      最近では、ストレスが生物の進化を促したっていう研究もあるから、一概にはいえんな。

      極真の大山倍達の本にもあったけど「最近の社会は、ストレスをよくないものとして遠ざける“ストレス恐怖症“が蔓延している。ストレスはただしく向き合えば、人間を精神的に成長させてくれすものでもあるのだ」と書いてあった。

      • 評価
    2. >>6
      Twitte○の政治リプ欄と燃えてる#タグ見りゃわかると思う

      • +1
  6. それもある意味、環境への適用って事なのでは
    ストレス=生きてく上での障害なんだろうし野生ならソコは人間より遥かに直結してくるし

    • 評価
  7. ちょっと不思議なのは、親がストレス弱いから子供はストレス耐性を付けようってならないのは何でなんやろう。

    まあストレスに弱い方は淘汰されていくからこれも適者生存なんやろうけども。

    • 評価
    1. ※9
      ストレスを感じた上での 素早い防御反応の活性化って、
      生物が外敵や悪環境から生存するために
      必要な本能だからだと思う。

      猿とかでも、蛇(に見える朽縄)を目の前に投げると
      パニクって悲鳴を上げながら跳び退くじゃん?
      あれ、先祖がだいぶ痛い目に遭ってきたんじゃない?

      外敵が少なくストレスが低い環境なら
      のほほんと図太く生きていればいいけど、
      ストレスフルな環境なら、多少 過敏反応なぐらいでも
      恐怖⇒逃走の逃げ足が速いビビリ屋の方が、生存に有利だ。
      外敵を目の前にしてもあまりストレスを感じず
      行動の変化が少ない個体は、良く言えば肝が据わってるけど
      悪く言えば鈍感で、危険の多い環境下では生き残りにくいのでは。

      • +4
  8. 同じストレスが降りかかる環境下であっても、そこで生きることを選ぶ個体も居れば逃れて別の場所で生きようとする個体も居るってことかな
    それが叶わなければ子孫に託し、そこよりもストレスを感じない環境を探してもらう
    それは結果的に種としての生息域を広げる役割になるのかもしれない

    • +2
  9. ※本研究のために実験動物の取り扱いには最新の注意を払い、余計なストレスはかけておりません

    • 評価
  10. 幸いなことに子孫を作れる相手がいないや…
    ははっ…

    • 評価
  11. 現代の満員電車とか人間関係のストレスなんて
    食べるものがない・戦争でいつ死ぬかわからない・野盗や猛獣にいつ襲われるかわからない・自分の子供がいつ死ぬかわからないなどなど人類がたった50年前に感じていたストレスに比べりゃ屁みたいなもんだがな
    ストレス耐性が育ってないから屁みたいなもんに多大なストレスを感じてるわけだが

    • -7
    1. ※13
      パワハラなどによる自死が絶えない遠因に、そのような発想があるのでは?

      たとえ取って食われなくても、日常的に過剰なプレッシャーや言葉遣いを浴びせられれば、それは屁どころか猛毒にもなりうる。耐性があろうがなかろうが、人には受け止められる限界がある。

      今の世は少なくなったけど、昭和時代の借金取りの怖さを経験した身としては「たとえ殺されなくても自ら死を選ぶ」ことは明日にも我が身に起こりうる現実だった。それほど追い詰められる場面に直面する可能性は、現代でも誰にでもあると思う。

      そんな記憶が遺伝せずにすむ世の中であってほしい。

      • +8
    2. ※13
      ストレスの種類が違うだけだ
      いずれも死を招くものであることに変わりはない

      • +1
  12. 野生の状態でストレスというのは飢餓、縄張りがない、病気、発育不全、群れでの地位が低いというものだろう
    「条件の良くない雄」がそもそも選ばれるのだろうか

    • 評価
    1. ※14
      植物なんかでも、
      ストレスフリーの環境下では背が高く育ち
      花粉や種子をより遠くへ飛ばせるようになるけど、
      強風や踏み付け等のストレスフルな環境では
      RNA活性が変化して 太く短く育つようになったりする。

      日光を浴びる競争や、種子の飛距離としては不利だが、
      そもそも成熟して種子を飛ばすまで折れずに生き残ること優先
      という、ストレス環境に適応した性質が現れれば、
      そっちの方が最終的には子孫を残すのに有利だったりする。

      どっちも一長一短はあるから、
      ストレス環境での変化が大きい個体と少ない個体が併存し、
      環境負荷の程度に応じて
      存在比率が上下してるんじゃないだろうか?

      • +3
  13. 恐怖は子供に遺伝するって大昔にも聞いた記憶ある

    • +2
  14. 人見知りのマウス……
    ネズ見知りのマウスってだけで何かあるでしょう
    社交的マウスと攻撃的なマウスっていうのも
    既に個体差があるわけじゃんか…

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。