この画像を大きなサイズで見る現代の医療研究には深刻な問題がある。それは「人間の生体サンプルの不足」だ。アメリカの科学者らが、この問題を解決する可能性のある新しいアイデアを提案した。それが「ボディオイド」と呼ばれる技術だ。
それは幹細胞を培養し、人体のスペア「ボディオイド(bodyoid)」を作り、献体として供給しようという大胆なアイデアだ。
それは意識も思考もないし、痛みも感じない。純粋に肉体だけの存在だ。この技術が実用化されれば検体を無限に供給できるほか、臓器移植が必要な大勢の患者を救うことができる。
まるでSFのような話だが、この技術が実用化されれば医療研究を大きく進める可能性がある一方で、倫理的な問題も浮上する。
人間の体が足りない、医療研究の大きな課題
マウスの若返りに成功! 3Dプリンターで肝臓のプリントに成功! こうした画期的な薬や医療技術のニュースはカラパイアでもたびたび紹介している。
だが、そんな技術が人間用に実用化されたという話はあまり聞かない。それはなぜなのか?
病気の中には、他人から臓器をもらって移植するしか治療法がないものもある。だが日本臓器移植ネットワークによると、そうした患者が臓器移植を受けるまでには数年、腎臓移植に関しては15年も待たねばならないのが現状だ。
スタンフォード大学のポスドク研究員カーステン・T・チャールズワース氏らによると、こうした問題はたった1つの根本的な問題に起因しているという。
それは医学・創薬の研究や臓器移植に使える人体が圧倒的に不足していることだ。
新しい薬の研究に使える人体がないから、生理学的に人間と必ずしも同じではない動物モデルが利用される。
仮に動物たちで薬の効果が確認されたとしても、人体での効果と安全性を確かめるための治験は、被験者が足りないゆえに、莫大な費用と10年以上の時間が費やされる。
もちろん臓器移植待ちの行列も、そう簡単にはドナーが現れないからだ。
この画像を大きなサイズで見る人体の生体、フルスペアパーツ「ボディオイド」
だが最近のバイオテクノロジーの進展のおかげで、研究や臓器移植に求められる”人体のスペア”を培養できるようになる可能性が出てきたと、チャールズワース氏らは主張する。
それが「ボディオイド」である。それは人体そのもので、生きている。
だから動物モデルのように薬の作用が人体と異なることはないし、臓器を取り出して移植することができる。
それは細胞1つから培養される。ゆえにいくらでも生産可能だ。また意識や思考はなく、痛みを感じることもないため、倫理的な問題を最小限に抑えながら、生体に近い研究が可能になる。
この衝撃的な技術がいずれ実用化されるという主張の根拠は、最近のバイオテクロジーの進展だ。
たとえば、ある研究では、人体のあらゆる細胞になれる「多能性幹細胞」を利用して、人間の初期胚そっくりの構造を作ることに成功している。
また人工子宮技術も急速に発展しており、体外で胎児を育てることも現実になりつつある。
これらをさらに発展させれば、いずれ思考・意識・人格といった人間らしさがゼロの、純粋に肉体だけのスペアを生産できるようになる可能性は高い。
この画像を大きなサイズで見る人間だけでなく、動物にとっても大きなメリット
このボディオイドが実現すれば、創薬や医療の研究に利用できる人体が圧倒的に足りないという問題を一気に解決することができる。
またその遺伝情報や生理学的情報から、患者個人個人に合わせた薬を作ることもできるだろう。
それは臓器移植に関しても同様だ。
患者はいつ手に入るかわからない臓器を一日千秋の思いで待つ必要はなくなる。それどころか、患者本人の細胞から作られたボディオイドなら、これまでは一生飲み続けねばならなかった免疫抑制剤からも解放される。
ボディオイドは人間だけでなく、動物にとっても大きなメリットのある話だ。
これまでは人間の薬を開発するために実験台にされてきた動物モデルだが、自由に使える人体があればその必要はなくなる。
さらにこの技術を家畜に応用すれば、動物に恐怖や苦痛を与えることのない食肉生産も可能になるかもしれない。
この画像を大きなサイズで見る克服すべき技術的・倫理的なハードル
とは言え、本当にボディオイドが実現するという保証はないと、チャールズワース氏らは指摘する。
越えねばならない技術的なハードルが多々あり、幹細胞から作られたヒト胚を体外で完全な人体に育てられるのか確実なことがわからないからだ。
ボディオイドが完成したとしても、期待通りの成果があがる保証もない。人体が脳を持たない状態でも生き続けるのか定かではないし、それが生体モデルとして問題なく機能するのかもわからない。
また、ボディオイドの育成期間やコストは多大なものになる可能性があるため、商業的・経済的に成り立つのかもわからない。
もう1つの大きな問題はやはり倫理的なものだ。
意識や痛みがないとはいえ、細胞1つから人工的に人体を育て上げモノとして扱うことは、はたして許されるのだろうか?
だがチャールズワース氏らは、それによって現代医療や食料生産にまつわるさまざまな倫理的問題が解決されるだろうと指摘する。
動物実験や畜産が倫理的ではないと反対する人たちは大勢いるが、ボディオイドがあればそれをしなくて済むかもしれないのだ。
チャールズワース氏らは、ボディオイドの研究開発を急かしてはおらず、十分な議論や社会的合意が必要であるとしている。
それがもたらすメリットは人間だけでなく、動物たちにとっても大きい。
それゆえに、ボディオイドに関する議論を、その技術的可能性が現実的になり始めたまさに今始めるべきだろうと主張する。
ボディオイド実現への道は困難で、そもそも実現不可能かもしれないし、たとえ可能だったとしても実行されない可能性もある。
だが「慎重さが必要であるのと同時に、大胆なビジョンもまた必要」であると研究者らは考えている。
編集長パルモのコメント

脳さえ作らなきゃ意識も宿らないし、何も感じないのか?脳と腸はつながってるし、脳自体、全てに関してわかっているわけではないので人体まるごとスペアを作るという試みは、作ってみないことにはわからないことも多そうだね。技術的には可能だろうけど、SF的展開が待っている可能性もあるしね。
動物たちが犠牲にならないのは良いことだけど、人間が人間を作るってまさに神の領域で、神を信じる人は容認できないかもしれないだろうな。
References: Technologyreview / Popularmechanics
















そのうち若いボディオイドに脳を移植し続けて永遠に生き続ける権力者が現れるやつじゃん
その方法だと多少の延命にはなるだろうが永遠に生き続けるのは無理だな
いくら脳以外を新しくしようが、脳そのものの老化は避けられないし
遠い未来には脳の中の情報をコピーする技術も生まれるかも知れないね
その頃にはコピー人間を本人として扱うのか?コピー元を生かしておくのか?あたりが議論されてそうだ
できたら素晴らしいけどね
もう昭和30年くらいから「脳の老化は避けられない」のでと
たしかBJ先生も…無理だと(彼は脳移植もできる)
細胞が減り、黒斑が増え、脳の癌になったら終わり
もし新しい脳に全記憶と人格を移しても『残ったオリジナルは?』
ということになる(イーガン好きな人は.3わかるよね)
「.3」はいらないです、なぜ???
腐敗した権力者による循環しない世界
今でさへそれで滅びかけてるのにより破滅のスピードが加速するな
あと遺伝子や脳内の記録が一緒でも別個体ならそれは「別人」なんだわ
漫画やアニメに脳をやられ過ぎてる
命を救うための技術が、命の尊さを損なっていくという皮肉よ
究極的には、ボディオイドの臓器を自分の体に移植するのではなくその逆で、完全な肉体を持ったボディオイド側に自分の脳を移植するんだろうな
そうすれば物理的な若返りが可能だろう
映画『アイランド』やグレッグイーガンの『エキストラ』の世界が近づいてきたな
すぐに20歳くらいの成人の体に成長させることができるのかな?
それとも生まれた時にストックしとくのかな?
すぐには無理だと思う。
3Dプリンターのように短期間で臓器の完全体を作れるわけではないので。
「ボディオイドは意識や思考はなく、痛みを感じることもない」とあるが、
それだと薬の意識や思考や痛みへの影響は、どうやって調べるのかな?
彡⌒ミ
(´;ω;`)・゜・。<もう、、、間に合わない、、、
頭皮だけなら3Dプリンターでいけそうな気もする
一方、中国は…
免疫抑制剤が要らなくなるからそれはとても凄い、安くても毎日5000円かかるとか
まあ神経を繋げる技術がまだ確立してないから、臓器や筋肉、角膜など、いまバンクがあるものしか利用できない(膵臓と肺とか、移植できるようになるけど)
四肢とか半身とかは無理、例えば腕を繋げても感覚はほぼなく、血行は悪く重いだけ、少しは動くけどコップで水を飲むことは出来ないレベル
だから首のすげ替えはもう少し先になるかな、そうすれば頭部の冷凍を申し込む人が増加するだろう
でも、期待してる
「豚にしますか?、自分のを作りますか?」の時代が来る
選べる時代になっても国民皆保険の適用は豚だけとかになりそう。
日本やヨーロッパ(一部は他のアジア圏も)の医療サービスは国民皆保険によって運用されている以上、保険適用の範囲に人間の細胞が利用できない事には根本的な医療水準の上昇にはならなさそうなんだよね。せめて人間の歯だけでも培養が進んで保険適用されたら健康寿命は伸びそうなんだが。
ネタバレだから詳細は伏せるけど、アイランド(映画)みたいな話
パーツを奪うはずが逆に体を奪われるSF映画お願いします
仮にボディオイドが実用化されたとしても、その先に人間版『テセウスの船』問題が待っているでしょうね
果たして自分とは…何を以て自分は自分であると言えるのか…
意識の連続性という意味ではある意味毎日死んで別の人間になっているともいえるし、体細胞も常に入れ替わり続けているから別の人間と入れ替わり続けているともいえる
『自分』なんて存在しないのかも知れない
哲学的な話になるとキリがないから身体の交換をする人は自分に都合良く折り合いをつけるでしょう
おそらくは記憶でしょうね。 お話などで生まれ変わりと称した時にエピソードを披露して周囲が本人認定するから、同じ記憶を持てば本人とするのではないかなと思います。 もし、同じ記憶を持つ人が二人現れたら、きっと両方とも本人じゃないかとw そーいや、そういうお話はまだ見たことないなぁ……
シュワちゃん主演のシックスデイズという映画が、基本は痛快アクションですけどそういったテーマを扱ってますよ。普通に面白くておすすめです。
個人としては腎臓も膵臓も心臓も脊髄も血管も神経組織も大分傷んでいるから新しいものに取り換えたいけど、お高いのですよね。
よく腎臓を豚の腎臓とか豚の体内で自分の腎臓の細胞入れて作るとか実験しているし、移植手術を行っているけど今一成果が上がらないので、チンパンジーで試した方が遺伝子的にも人間に近いから成功率が高くなりそうだと医師に言ってみたら、チンパンジーだとコストが高くつくからムリとか言われた事がある。でも中国だとクローン作って移植とかやりそうだとは思ったよ。(この分野って倫理は定義づけが難しいね)
将来的に、ボディオイドが生産ラインに乗ったら、巨大なクリーンルームみたいなところに、牛の枝肉みたいに整然と吊るされたボディオイドがあって、必要な栄養とか酸素とかを与えられてる図を想像した。
…社会科見学には恐ろしくて行かれないかもしれない…
体はスペアでなんとかなっても、脳の寿命だけはどうにもならん。ってのがFSSであったよ。
腰や膝を移植出来たら何でも良いよ
痛みはないとか色々潰したところで「ボディオイドにも人権を」っていう人が出てくる
ああいうのはカルトや金儲けや政治の道具として主張してるから、科学的な正しさには意味がない
これとヒト以外の動物の特長を移植・編集するのと、どっちが早く実用化されるかねぇ…
そして自分にまだ寿命が何十年か残ってる内に間に合ってくれるのか…
詳しく読んでないが仮に頭だけがないのがボディオイドなら既存の人間も頭がなくても死なずに維持できるのか?
そしてその首なしが本当にボディオイドだとどうやって確信する?
本当はさらわれた誰かだったりすることはないと言い切れるか?
そして必要ない部分は廃棄されるだろうが、本来死体は完全に隠滅するのは難しく見つかれば事件になるのは当然だが、これはボディオイドですと言われて解決してしまうことも起きるのではないか。