メインコンテンツにスキップ

イギリスで世界初、ペット用「培養肉」を承認、販売が開始される

記事の本文にスキップ

22件のコメントを見る

(著)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
meatly.pet
Advertisement

 イギリスで、世界初となるペット向けの「培養肉」の販売が2025年2月より開始された。

 ロンドンの企業が開発したペットフードは、鶏肉の代わりに卵から採取した細胞を培養し、植物由来の材料と組み合わせて作られている。

 動物を殺さずに生産できることから「ノーキルミート」と呼ばれるこの商品は、従来の畜産と比べて環境負荷が大幅に軽減されるとされており、ペットフード業界における持続可能な選択肢として注目が集まっている。

世界初のペット用培養肉を合法化したイギリス

 2024年夏、イギリスはヨーロッパで初めてペット用の培養肉を合法化した国となった。この決定は、動物福祉と環境保護を重視する動きの一環として実現されたものだ。

 ロンドンの企業、ミートリー(Meatly)がペット用培養肉の販売を認可されたという話は前回お伝えしたが、ついにその販売が2025年2月に開始された。

 世界初の培養肉ペットフードとして販売されるのは、ロンドンの企業ミートリー(Meatly)が開発した犬用おやつ「チックバイツ(Chick Bites)」だ。

 販売は2025年2月から始まり、イギリス国内の大手ペット用品販売店ペッツ・アット・ホーム(Pets At Home)でも取り扱われる予定だという。

培養肉を使った犬用のペットフードこの画像を大きなサイズで見る
meatly.pet

培養肉とは何か?

 培養肉は、動物を直接飼育して食肉を得るのではなく、動物の細胞を実験室で培養して作られる肉だ。

 チックバイツの場合、1つの鶏卵から採取した細胞を培養し、植物由来の成分と組み合わせて製造されている。

 この製法により、動物を殺さずに肉のような食感と栄養価を維持することができるという。

 ミートリーの最高経営責任者(CEO)、オーウェン・エンソー氏は、「1つの卵細胞から無限に増殖させた細胞で、ペットに十分なタンパク質を永遠に供給できる」と述べている。

この画像を大きなサイズで見る
Photo by:iStock

持続可能な未来への新しい解決策

 培養肉の導入は、環境保護の面でも大きな意味を持つとされている。

 欧州環境機関(EEA)の試算によれば、培養肉の生産は従来の牛肉生産に比べてエネルギー消費量を45%削減できるとされている。

 さらに、再生可能エネルギーを活用することで、温室効果ガスの排出量を最大92%削減し、使用する土地は95%、水の消費量も78%減らすことが可能だ。

 特に牛肉生産は、メタンガスの排出や広大な放牧地の必要性など、環境への影響が非常に大きい。その点、培養肉は持続可能な未来への新しい解決策として期待されている。

この画像を大きなサイズで見る
Unsplash / Stijn te Strake

ペットが地球環境に与える影響

 イギリスのウィンチェスター大学の獣医学教授、アンドリュー・ナイト氏は、ペットもまた地球環境に大きな影響を与えていると指摘する。

 ナイト氏によれば、イギリスのようなペット飼育率の高い国では、消費される肉の約20%がペット用だという。これまで環境問題の議論は主に人間の食事に集中してきたが、ペットフードにも目を向ける必要があるという。

 2022年にイギリスの研究者がPLOS ONE誌に発表した調査によると、32.5%の人々が自分自身で培養肉を食べることに前向きである一方、47.3%がペットに与えることを受け入れているという結果が出た。

 これはイギリス人にとって、ペットの健康と環境への配慮がますます重要視されていることを示している。

この画像を大きなサイズで見る
Image by Rebecca Scholz from Pixabay

培養肉に対する世界の動向は?

 現在、アメリカでも米国農務省が2023年に人間用の培養肉販売を承認した。

 シンガポールイスラエルも同様にこの分野で先進的な取り組みを進めている。

 一方で、オーストリア、フランス、イタリアといった欧州連合(EU)の国々は、安全性や倫理面での懸念から承認に慎重な姿勢を示している。

 なお、イギリスでも人間用の培養肉はまだ承認されていない。あくまでもペット用の培養肉のみだ。

 ミートリーの「チックバイツ」は、1パックあたり3.49ポンド(約660円)で販売されている。

 この価格は、ペット用品大手ペッツ・アット・ホームが扱う犬用おやつの中では中程度の価格帯に位置している。

パッケージには、「世界を変えるパプティビスト(Puptivists)」というスローガンとともに、旗を振る犬のイラストが描かれている。

この画像を大きなサイズで見る
meatly.pet

 これは、ペットフードを通じて持続可能な未来を目指す消費者の意識改革を促すメッセージだ。

 この新たな技術がどれだけ普及するかは、イギリスの今後の動向を見ていくことでわかるだろう。

 本当に安全面も栄養面も優れており、環境にもやさしいのなら、新たな選択肢としての可能性を秘めているのかもしれないし、人間にも普及していくのかもしれない。 

References: VICE / NPR / Thegrocer.co.uk

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 22件

コメントを書く

  1. 言葉が喋れない、詳細なコミュニケーションが取れない生き物に今後何かしらの影響が出そうなもんは食べさせたくない。
    犬に食べさせるなら、自分が培養食品食べて犬には普通のもん食べさせたい。

    自分なら自分で医者行ったり対処できるし、保険使えるし

    • +14
  2. 味や健康に問題がないなら俺も食ってみたいな
    脂肪分は俺から取って貰えればwinwin

    • +3
  3. 妙に安い肉を使われるよりは安心できるかな・・・

    • +9
  4. 食肉の世界で覇権取れたらそりゃでかいからみんな研究しまっせ。

    • +4
  5. 「培養肉の方が沢山電力使ってエコじゃない」問題はどうなった?

    • +15
    1. もちろんその問題は今でもあるよ
      しかし畜産の環境負担が高いのは原理的な問題なので抜本的な改善は見込めない一方、
      培養肉には技術的課題さえクリアできれば高効率に食肉を生産できる希望がある

      食文化の持続可能性を確保するなら、今から培養肉に投資して技術の成熟を後押しするのが賢い戦略なのは否定しがたい事実

      もちろん投資だからブレイクスルーが実現しませんでしたって結末になる可能性はある
      しかしそれは先がないことが確定してる畜産に食の基盤を全振りしてる現況にしがみつき続ける理由にはならない

      • +3
  6. 体脂肪でよければオレの体内で培養できるぞ

    • +4
  7. コストでは鶏肉に、味は既存の肉に勝てないからなぁ>培養肉
    ペット向けになるのは仕方ない。

    • 評価
  8. うーん、安全性や栄養価の過不足はどうなんだ。ここら辺が解説されないと良いとも悪いとも言いようが無い。

    • 評価
    1. 人工物なのでむしろ強化されてそうな雰囲気ではある。
      旨いかどうかはシラナイ。

      • +6
  9. 培養肉ってただの肉より高いイメージだけど意外と中価格帯なんだね

    • +3
  10. 30年後のペットが数倍のデカさになったら面白いやろな

    • +1
  11. 日本でもまずペット用のコオロギ粉から始めたら受け入れられたかもね

    • +5
  12. これだけで栄養がちゃんとまかなえるのかちょっと心配かな
    まだ人間の知らない必須栄養素とかあるかもしれないし
    リアル肉にかさ増しするならいいかも

    • +1
  13. わたしはただのチキンです!
    食べられるために生まれてきました!!

    • 評価
  14. 使われた鶏卵はどうなったのだろう。
    無精卵なら動物を殺していないと言えるかもしれないが…。

    鶏の飼育も必要だし。

    • +1
  15. なんか引っ掛かるね。

    >>  欧州環境機関(EEA)の試算によれば、培養肉の生産は従来の牛肉生産に比べてエネルギー消費量を45%削減できるとされている。

    何で鶏肉や鶏卵と比較せず、牛肉生産と比較するんだ?
    それに人が食えば良いのに、何でワンコの餌なんだ?

    • +2

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

動物・鳥類

動物・鳥類についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

料理・健康・暮らし

料理・健康・暮らしについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。