この画像を大きなサイズで見る生き物がストレスを受けたとき、体を守るために分泌するホルモンに「コルチゾール」がある。
エネルギーの代謝を促すなど多くの動物に欠かせない物質だが、サメやエイの仲間はこのホルモンを作れず、別の物質で代用していると60年もの間考えられてきた。
今回カナダの研究チームが、日本でも食用として親しまれているアブラツノザメの血液からコルチゾールを発見した。
サメも他の動物と同じホルモンを使って、環境の変化に対応しているのかもしれない。
この研究成果は『Proceedings of the Royal Society B』誌(2026年10月14日付)に掲載された。
60年間サメにはないと信じられてきたストレスホルモン
コルチゾールは、人間では副腎皮質から分泌されるホルモンである。その働きは、肝臓での糖の生成、筋肉でのたんぱく質代謝、脂肪の分解など代謝の促進や、抗炎症作用など多岐にわたる。
ストレスを受けたときに分泌が増えることからストレスホルモンとも呼ばれ、生体にとって必須の物質である。
しかし1960年代以降、サメやエイはコルチゾールを作ることができず、「1α-ヒドロキシコルチコステロン」と呼ばれる別のステロイドホルモンに依存していると考えられてきた。
過去の研究でコルチゾールの痕跡が見つかることはあったものの、別のホルモンを誤って検出しただけだと結論づけられていた。
アブラツノザメの血液からコルチゾールを検出
カナダのマニトバ大学とバンフィールド海洋科学センターの研究チームは、長年信じられてきた前提を検証する実験を行った。
対象となったのは、北太平洋に生息する小型のサメであるアブラツノザメ(Squalus suckleyi)だ。
日本でも主に津軽海峡などで漁獲され、ムキサメの名で切り身が売られるほか、かまぼこなどの練り製品の原料にもなっている身近なサメである。
研究チームはブリティッシュ・コロンビア州沖で捕獲したアブラツノザメを、通常の海水よりも塩分の薄い水に48時間入れてストレスを与え、その後通常の海水に戻した。
別のホルモンと見間違える事態を防ぐため、高速液体クロマトグラフィーという方法で血液の成分を正確に分離してから測定を実施した。
通常の海水に戻して回復していく過程のサメの血液を調べたところ、コルチゾールが検出された。
さらに別の精密な分析でも、検出された物質が本物のコルチゾールであることが確かめられた。
研究チームは、人間の副腎皮質にあたるサメの器官「間腎腺(かんじんせん)」も調べた。
その結果、コルチゾールを作るのに必要な酵素の遺伝情報が見つかり、アブラツノザメが自分の体でコルチゾールを作っている可能性が高まった。
ただし、酵素が実際に働いているかどうかはまだ確かめられていない。

コルチゾールが検出されにくかった理由
なぜ今までサメのコルチゾールは見逃されてきたのだろうか。
実験において、回復から36時間後には調べた5匹すべてからコルチゾールが検出されたが、72時間後には1匹からしか検出されなかった。
検出できるタイミングが断続的であることが、過去の調査で見逃された要因だった可能性がある。
また研究チームは、間腎腺の中に細菌の遺伝物質が存在することを発見した。
細菌がコルチゾールの代謝に影響を与え、血液中に流れ出る量を制限している可能性も検討されている。
しかし間腎腺は脂肪分が多く、細菌の活動を正確に測定することが難しいため、現時点で細菌に関する仮説は立証されていない。
サメの体内でも血糖値を調節している可能性
研究チームはさらに、サメの体内におけるコルチゾールの役割を調べる実験を行った。
アブラツノザメにコルチゾールを投与して血液の変化を観察したところ、投与されていない個体に比べて血糖値が低くなる傾向が見られた。
人間はコルチゾールは血糖値を上げる方向に働くため、アブラツノザメで逆に下がった理由はまだわかっていない。
すべての時間帯で明確な差が出たわけではないものの、コルチゾールがサメの血糖値の調節に関わっている可能性が示されている。
サメやエイがコルチゾールを作れないという見解は、今回の発見によって見直される時期にきている。
今後は、アブラツノザメが持つコルチゾールを生成する能力が、他のサメやエイにも共通しているのかどうかを確かめる予定だという。
Whole Meat ワニ肉 (ワニ足)200g~299g 骨付き足 クロコダイル爪 鰐肉 + BBQシーズニング25g Australian Crocodile Legs Bone-in(200g~299g)
このPRリンクから注文に進んだ場合、販売サイトからカラパイアに紹介料が支払われることがあります。紹介料が発生した場合は、サイト運営の継続と記事制作の資金として活用いたします。
References: Spiny dogfish blood contains a hormone long thought absent in sharks / New evidence of cortisol in sharks challenges 60-year-old belief
















