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ChatGPTよりも300年前に「ガリヴァー旅行記」の著者は機械の文章生成を予想していた

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(著)

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ガリバー旅行記:幼児向け彩色絵本(1883年) public domain / Wikimedia
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 2026年現在、ChatGPTのような文章生成AIが、当たり前のように使われるようになったが、5年前はここまで普及するなんて誰も予想しなかっただろう。

 だが、300年前に、そのことを予想していた人物がいる。

 アイルランドの風刺作家、ジョナサン・スウィフトは、1726年に出版された小説『ガリヴァー旅行記』の中に、全自動で文章を作り出し、本を書ける機械を描いていたのだ。

 主人公ガリヴァー(ガリバー)が訪れた研究所の巨大な機械は、当時の役に立たない科学を風刺するために描かれたものだ。

 しかし、単語をランダムに組み合わせて文章を作る機械の仕組みは、現代の文章生成AIを予言していたかのようだ。

参考文献:

300年前に描かれた文章生成機械「エンジン」

 現在、ChatGPTやGemini、Claudeのような大規模言語モデルが普及し、AIが生成した文章が大量に出回っている。

 15世紀半ばに印刷機が発明されて以来、質の伴わない文章が大量に生み出されることへの懸念は常に存在していた。

 その懸念を鋭く指摘した一人が、18世紀のアイルランドの風刺作家ジョナサン・スウィフトである。

 スウィフトは1726年に出版された小説『ガリヴァー旅行記』の中で、文章を生み出す精巧な機械「エンジン(The Engine)」を描いていた。

 『ガリヴァー旅行記』は、船医のガリヴァー(ガリバー)が航海の途中で遭難し、見知らぬ国々を旅する物語だ。

 身長15cmほどの小人が暮らすリリパット国、巨人の国ブロブディンナグ国、空飛ぶ島ラピュータとその周辺の国々、理性を持つ馬たちが暮らすフウイヌム国の4つの旅で構成されている。

 空飛ぶ島ラピュータは、宮崎駿監督のアニメ映画『天空の城ラピュタ』の名前の由来にもなっている。

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漂流中のガリヴァーと遭遇する巨大な「空飛ぶ島」ラピュータ public domain / Wikimedia

 日本では子供向けの冒険物語として小人の国の話が特に有名だが、本来は、訪れた国々の姿を通して当時のイギリスの政治や社会、人間の愚かさを痛烈に皮肉った風刺小説である。

 エンジンは、学問や科学を風刺した3番目の旅に登場する。 

 主人公のガリヴァーは、作中に登場するラガード(の町にある「計画者アカデミー」という研究所で、エンジンに出会う。

 ガリヴァーは機械の発明者の言葉を次のように記録している。

学問や技術を習得するための通常の方法が、どれほど骨の折れるものであるかは誰もが知っている

ところがこの機械を使えば、どんなに無知な人でも、手ごろな費用とわずかな肉体労働だけで、才能や学習の助けを一切借りずに、哲学、詩、政治、法律、数学、神学の本を書くことができる

ランダムな単語を組み合わせて知識を生み出す

 作中に描かれたエンジンは、部屋の中央に置かれた約6m四方の巨大な装置だ。

 サイコロほどの大きさの木片が細い針金でつながれていて、木片にはその国の言葉のあらゆる単語が順不同で書かれている。

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文章を紡ぎ出すことができる機械「エンジン」 public domain

 40人の弟子が枠の周りにある鉄の取っ手を一斉に回すと、木片がひっくり返り、単語の並びがランダムに入れ替わる。

 40人のうち36人が並んだ単語を読み上げ、文の一部になりそうな3〜4語の並びを見つけると、残りの4人の書記がその言葉を書き留めていく。

 発明者は、書物の中に名詞や動詞などがそれぞれどれくらいの割合で出てくるのかを厳密に計算したうえで、単語を用意したと語っている。

 単語が現れる割合を計算するという考え方は、大量の文章から言葉の出方を学ぶ文章生成AIにも通じる。

 発明者は、書き留めた言葉の断片をつなぎ合わせて、いずれはあらゆる学問と技術を網羅した完全な本を作り上げようと考えていた。

 アメリカのコンピュータ歴史博物館のクリス・ガルシア氏は2012年に、エンジンについて見解を述べている。

 ガルシア氏によると、エンジンは文学においてコンピュータと見なすことができる機械の最も古い例の一つであり、19世紀の数学者チャールズ・バベッジが最初の計算機を設計するおよそ100年前に描かれたものだという。

 エンジンは単語の並びを無作為に入れ替える仕組みのため、ガルシア氏は、コンピュータというより乱数生成器に近いとも指摘している。

当時の科学技術の暴走を風刺していた

 作者のスウィフトは、当時のイギリスの科学者たちの団体である王立協会(Royal Society)の研究熱が、現実世界の実用性からかけ離れているとみなしていた。

 エンジンは、王立協会を批判するために描かれた機械である。

 文学教授のロビン・ベイツ氏の解説によれば、スウィフトは『ガリヴァー旅行記』の中で、エンジン以外にもさまざまな常軌を逸した科学者たちを登場させている。

 たとえば、キュウリから太陽の光を取り出そうとする者、大理石を柔らかくして枕を作ろうとする者、カイコの代わりにクモに糸を作らせようとする者、排泄物から元の食べ物を復元しようとする者などだ。

 スウィフトは、ばかげた研究に取り組む科学者たちを描くことで、人間の生活を豊かにしない無意味な研究を風刺したのだ。

現代のAI社会を言い当てていたスウィフト

 誰もが生成AIを使ってスラスラと文章を書けるようになった現代において、「エンジン」のコンセプトはもはや空想の話ではなくなっている。

 スウィフトが意図したように、機械が本当に「すべての芸術と科学の完全な体系」を生み出せるかどうかについては、現代でも意見が分かれるところだ。

 ベイツ氏は、スウィフトの風刺が今日でも通用する理由について、「世界を変えようとする人間の試みは「人間の本性を無視し始めた瞬間に頓挫する」ということを、スウィフトが深く理解していたからだと述べている。 

References: https://www.openculture.com/2026/10/gullivers-travels-imagined-automated-machines-writing-books-and-producing-knowledge.html

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