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ダイオウグソクムシじゃなかった!ドイツの博物館に保管されていたのは新種あることが判明

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(著)

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Image credit:University of Tübingen
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 私の大好き生物種が増えることはとてもワクワクうれしいのだ。

 ドイツの大学に保管されていた巨大な甲殻類の標本は、30年以上の間、ダイオウグソクムシだと思われてきた。

 ところが、テュービンゲン大学の研究チームが詳しく分析したところ、標本はオオグソクムシ属の新種であることが判明した。

 日本の新江ノ島水族館でも、ダイオウグソクムシだと思われていた標本が新種だったことがわかったが、今回のドイツで保管している種は、日本の水族館の新種と最も近い仲間だという。

 この研究成果は『Scientific Reports』誌(2026年10月8日付)に掲載された。

参考文献:

30年以上もダイオウグソクムシとして保管されていた標本

 1980年代後半、ドイツ・テュービンゲン大学の古生物学者ドルフ・ザイラッハー教授は、プエルトリコの海洋研究所で、水深500mの海底に仕掛けた罠で捕獲された体長32.2cmの巨大な甲殻類を手に入れた。

 標本は乾燥させて保存され、捕獲場所がダイオウグソクムシ(Bathynomus giganteus)の生息域と重なっていたため、そのまま同じ種だと判断された。

 標本はテュービンゲン大学の古生物学コレクションとして保管され、長年にわたり教育目的で使用されてきた。

 2019年から2020年にかけては、シュトゥットガルト州立自然史博物館の特別展「海の巨大生物展」で、目玉展示物として一般公開もされている。

 ザイラッハー教授は2014年に亡くなったが、教授も、特別展を訪れた人たちも、誰一人として標本が未知の新種だとは気づかなかったのだ。

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30年以上ダイオウグソクムシと思われていた新種の標本。左から背中側、腹側、横から見た姿。Image credit:Werneburg & Kästle / Scientific Reports

新たな分析で新種と判明、超巨大種に区分される

 テュービンゲン大学の研究チームは、標本を最新のマイクロCTで詳しく調べた。

 マイクロCTは標本を壊さずに内部まで立体的に撮影できる。研究チームは口の細かな形や、、尾の先のトゲの形などもほかの種と比べた。

 その結果、ダイオウグソクムシとは異なる特徴がいくつも見つかった。

 7番目の脚には、くしのように曲がった太い毛が15本並んでいた。くし状の毛の列は、オオグソクムシ属(Bathynomus)のほかの種には見られない特徴があった。

 分析により、ドイツの博物館の個体は、オオグソクムシ属には入るが、ダイオウグソクムシとは別の種であることがわかった。

 研究チームはこの新種を、大学のある町テュービンゲンと、プエルトリコの先住民タイノ族が島を呼んだ名前「ボリケン」にちなみ、「バシノモス・テュービンゴボリケンシス(Bathynomus tuebingoborikensis)」と名付けた。

 オオグソクムシ属の種は、これまで体の大きさによって2つに分けられてきたが、研究チームは、さらに大きな種のための区分を新たに設けた。

・ジャイアント(giant):体長15cm未満(2006年の先行研究による区分)
・スーパージャイアント(supergiant):体長15cm以上(同じ先行研究による区分)
・コロッソジャイアント(colossogiant):体長25.5cm以上(今回の論文で新たに設けられた区分)

 コロッソジャイアントは、日本語にすると「超巨大種」という意味である。

 体長32.2cmの今回の新種テュービンゴボリケンシスも、35cmを超えるダイオウグソクムシも、コロッソジャイアントに分類される。

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バシノモス・テュービンゴボリケンシスの口元の拡大 Image credit:University of Tübingen

最も近い仲間は新江ノ島水族館の標本から見つかった新種

 今回の新種に最も近い仲間(姉妹種)は、日本の新江ノ島水族館にある標本で、2022年に新種と判明したばかりの「バシノモス・ユカタネンシス(Bathynomus yucatanensis)」だ。

 ユカタネンシスは2017年にユカタン半島沖で捕獲されたもので、やはりダイオウグソクムシと間違えられて日本の新江ノ島水族館に保管されていたものだ。

 体長25.7cmのユカタネンシスも、オオグソクムシ属の超巨大種となるコロッソジャイアントに分類される。

 系統解析によると、オオグソクムシ属全体の祖先は、1500万年以上前の中新世に、現在のカリブ海周辺で誕生したと考えられている。

 当時はまだパナマ地峡がなく、北アメリカと南アメリカの間は海でつながっていたため、オオグソクムシ属の仲間は西へと広がり、日本周辺にまで到達した。

 中新世が終わり地球が寒冷化した後、インド洋や太平洋で、体がひと回り大きいコロッソジャイアントのグループが現れた。

 研究チームは、コロッソジャイアントの一部が再びアメリカ大陸側へ戻り、今回の新種とユカタネンシスの共通の祖先になったと考えている。

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バシノモス・テュービンゴボリケンシス Image credit:University of Tübingen

博物館の収蔵庫にはまだ未知の新種が眠っている

 今回の発見は、世界中の博物館や大学の収蔵庫が、自然を記録した貴重な資料であることを示している。

 研究チームは、世界中の博物館に、名前が付いていない種や、別の種と間違えられたまま眠っている種が存在する可能性が高いと指摘している。

 実際に、博物館に眠る標本や化石の再分析により新種とわかった種は結構多い。

 センザンコウや魚竜、オオサンショウウオ、恐竜など多岐にわたる。

 新種と判明してもすでに絶滅してしまっている種も多い中、今回特定されたテュービンゴボリケンシスやユカタネンシスは現在も生きている種なのがうれしい。

 私たちが水族館や博物館で見ている標本の中にも、まだまだ新種が隠れていそうだ。

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