この画像を大きなサイズで見るアメリカ・マサチューセッツ州で、1つの甲羅から2つの小さな頭をのぞかせる、とても珍しいカメの赤ちゃんが発見された。
見つかったのは、北米の沿岸部に生息するキスイガメの、孵化したばかりの赤ちゃんである。
体重はわずか5.2gしかないが、小さな体にはなんと頭が2つあり、そのどちらも元気に動いているそうだ。
驚くことに、この赤ちゃんガメは自分で泳ぐことができ、最近では2つの頭がそろって餌を食べる姿も見られたという。
保護された巣から頭が2つあるカメの赤ちゃんを発見
この珍しい子ガメが発見されたのは、マサチューセッツ州ケープコッドのウェルフリートにあるキスイガメの営巣地だ。
ここでは自然保護団体「マサチューセッツ・オーデュボン協会(Mass Audubon)」のウェルフリート・ベイ野生生物保護区が、キスイガメの巣を調査・保護している。
そこで調査中に見つかったのがこの子ガメだった。甲羅は1つ、脚は通常と同じ4本だが、首から上がなんと2つに分かれていたのだ。
この画像を大きなサイズで見る9月17日、子ガメは同協会によって、バーンスタブルにあるケープ・ワイルドライフ・センター(CWC)へ運ばれた。
CWCは公式のSNSで、到着したばかりの子ガメについてこう報告している。
このキスイガメの赤ちゃんには頭が2つあります。これは「bicephaly(双頭)」と呼ばれる、まれな発生異常です。
私たちの獣医療チームは、2つの頭と体がどのように協調して働くのかを調べながら、この小さなキスイガメを注意深く見守っていきます
この巣では9月14日に大部分の子ガメが孵化していたが、その後スタッフが調べると、まだいくつかの卵が残っていたという。
2つの頭を持つ「双頭」はなぜ起きる?
CWCを運営するニューイングランド野生動物センターのCEO、ザック・マーツ氏によると、双子になる過程で胚が2つに分かれようとしたものの、完全には分離しなかった場合に生じると考えられている。
ただし、体のどこまでが2つに分かれ、どこからが1つの体を共有しているのかについては、個体によって異なるという。
そのため、外見は同じような双頭に見えていても、体内の構造まで同じとは限らないのだそうだ。
実際に、2021年にアオウミガメとアカウミガメの双頭などを調べた研究でも、体が重複している範囲には個体差があることが確認されている。
餌も食べ、少しずつ体重も増加中
今のところ、子ガメの健康状態は良好とのこと。通常のキスイガメの子供とよく似た行動を見せており、4本の脚を動かして自分で泳ぐこともできる。
また、孵化したばかりのカメは、まだ卵黄から栄養を吸収しているため、最初の数週間は餌を食べないこともある。
だが、CWCのスタッフが餌を与えてみたところ、2つの頭の両方が食べたことも確認されたそうだ。
両方が餌を食べてくれたのは、とてもうれしいことでした。お腹がすいているということですし、体がきちんと機能していることも意味します
マーツ氏はこう語っている。下の写真を見てもらうと、お腹のあたりに卵黄がまだ残っている様子がわかると思う。
この画像を大きなサイズで見るCWCでは食欲だけでなく、体重の変化も注意深く確認している。9月22日の計測では体重は5.02gだった。
2日前と比べて0.04g増えており、マーツ氏は「まさに私たちが期待していた変化です」と話している。
今のところ、私たちのチームはこの小さな子ガメの(「2匹の子ガメ」の?)食欲や成長、行動を注意深く見守っています
なお、現在子ガメに与えられている餌は、刻んだ魚や赤虫、ブラインシュリンプ、キスイガメ用の栄養を補ったペレットなどだそうだ。
左の頭のほうがちょっぴり気が強い?
そしてスタッフが観察を続けるうちに、2つの頭には早くも性格の違いらしきものが見えてきたという。
左の頭のほうが、より強い個性を持っているようです
マーツ氏はこのように語っている。主任獣医技師のロビン・ローム氏も、CWCへやって来た当日から、左の頭が噛みつこうとしていたと話している。
とはいえ、2つの頭がそれぞれ体の左右を担当しているのか、それとも何らかの形で情報を共有しながら1つの体を動かしているのかは、まだわからないそうだ。
9月22日にX線撮影が行われた結果、画像では脊髄が1本であるように見えた。ただし、子ガメはまだ非常に小さく、体内の構造を詳しく調べられる段階ではない。
マーツ氏は、2本の食道を持つ一方、消化管や主要な臓器の多くを共有している可能性があるとみているが、これは現時点での推測である。
CWCでは、今後子ガメがもう少し成長してから造影X線検査やCTなどを行い、2つの頭の先が体内でどうつながっているのかを詳しく調べる予定だ。
この画像を大きなサイズで見るこの施設では6年間で3例目
双頭のキスイガメは非常に珍しいが、実はCWCで確認されたのは、今回が初めてではないという。
過去5年間で、双頭の症例は他に2例しか経験しておらず、今回の症例は私たちのチームにとっても特に珍しいケースです。
このような珍しい症状に遭遇したことは以前にもありましたが、その1例1例が、こうした興味深い動物の解剖学的構造と生理機能について、より深く学ぶ機会を与えてくれます
特に印象的なのが2021年に同じ施設へ運ばれてきたキスイガメだったそうだ。この個体も頭が2つあったが、さらに脚が6本あり、今回の子ガメよりも体が大きく2つに分かれていた。
2つの頭はそれぞれ独立して餌を食べることができ、検査では2本の脊椎と2つの消化管が確認された。
一方、今回の子ガメは頭こそ2つあるものの、甲羅は1つで脚は4本。外見から見ても、2021年の個体より共有している体の部分が多いように見えるという。
また、Mass Audubon協会では、2000年代初め以降、ケープコッドで今回を含め約5例の双頭のキスイガメを確認している。
さらに歴史をさかのぼると、米国魚類野生生物局には1948年、当時ワシントンD.C.にあった国立水族館で飼育されていた双頭のキスイガメに餌を与える写真まで残されている。
どうやら双頭は極めて珍しい現象ではあるものの、キスイガメでは昔から時折確認されてきたようだ。
汽水域だけで暮らすキスイガメ
キスイガメ(Malaclemys terrapin)は、米国東部からメキシコ湾岸にかけて分布する、海水と淡水が混じり合う塩性湿地や河口などに生息するカメである。
英名は「diamondback terrapin」で、こちらは甲羅に見られるダイヤモンド状の模様に由来しているんだそうだ。
この画像を大きなサイズで見るキスイガメはかつて、食用として大量に捕獲され、20世紀初頭には個体数が激減したこともあった。
現在は乱獲こそ行われなくなったものの、生息地である塩性湿地の減少や沿岸開発、道路での交通事故、海面上昇など新たな問題にさらされている。
そのためマサチューセッツ州では、州絶滅危惧種法に基づく「Threatened(絶滅のおそれがある種)」に指定されている。
今回の子ガメが見つかった巣が保護されていたのも、こうしたキスイガメを守る活動の一環とのこと。
ウェルフリート・ベイ野生生物保護区では1980年代から個体識別による調査を続け、2005年からは卵が捕食されるのを防ぐため巣の積極的な保護を始めた。
同保護区では、これまでに数千匹の子ガメを野生へ送り出しているそうだ。
この子ガメは野生に帰れるのか?
カラパイアでも以前、スイス・ジュネーブ自然史博物館で暮らす双頭のギリシャリクガメ「ヤヌス」を紹介したことがある。
1997年に誕生したヤヌスは、2つの頭にそれぞれ違った性格や好みを持ちながら、長年にわたって飼育されてきた。
とはいえ、双頭といっても体の構造は1匹ずつ異なるため、ヤヌスや過去のキスイガメが長生きしたからといって、今回の子ガメの将来を予測することはできない。
十分に成長し、野生で生きていける状態だと判断されれば、州の野生動物当局が野生復帰を検討するかもしれない。
一方で、通常とは異なる体の構造を持つことから、野生での生存が難しいと判断される場合には、CWCや別の施設で生涯飼育されることになる。
その際は、人々にキスイガメについて伝える「アンバサダー」としての役目を担っていく可能性もあるだろう。
今はただ、しっかりご飯を食べて、元気に大きく育ってくれることを祈りたいと思う。
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References: Tiny two-headed turtle found in Cape Cod















お主も 双頭の亀よのぉ~ (-。-)y-゜゜゜
むちゃくちゃかわいいな
どうか元気に長生きしてほしい
無事に育つといいなあ
なんと奇遇な
双頭なのに可愛いぞ?!
…しかし、この施設、ちょっと『特殊な亀』生まれ過ぎ??