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白亜紀、エジプトの砂漠は豊かな海でサメの楽園だった。多種の古代サメの歯の化石を発見

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Image by pixabay / Dragon_XXC
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 現在は砂しかないエジプトの砂漠だが、白亜紀にはサメが泳ぎ回る熱帯の海だったことが、カイロ大学の研究チームにより明らかとなった。

 エジプト西方砂漠のアブ・タルトゥール台地で、新たに5種の古代ザメの歯の化石を発見した。

 すでに確認されていた2種とあわせ、この一帯には少なくとも7種の古代サメが生息していたことになる。

 白亜紀後期の海底には、豊富な栄養分に支えられた多様な生態系が広がっており、サメたちの王国が築かれていたようだ。

 この研究成果は『Cretaceous Research』誌(2026年8月29日付)に掲載された。

参考文献:

エジプトの砂漠に眠る白亜紀時代の海洋生物の化石

 約1億4500万年前から6600万年前の白亜紀、地球は温室効果によって現在よりもはるかに温暖で、極地の氷はほとんど存在しなかった。

 海面が高かったため、現在のエジプト西方砂漠を含むアフリカ大陸の北縁は、熱帯の海に沈んでいた。

 深海から栄養豊富な水が海面近くへ湧き上がる湧昇流(ゆうしょうりゅう)が、プランクトンを増やし、豊かな生態系を育てていた。

 エジプトのアブ・タルトゥール台地(Abu-Tartur Plateau)と呼ばれる乾燥した砂漠の地下には、豊かな海であったことを示すリン酸塩の鉱床が広がっている。

 鉱床を含む白亜紀後期の地層はドゥウィ層と呼ばれ、魚やウミガメ、海生爬虫類の化石とともに、サメの歯の化石が発見されている。

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かつてこの地は海だった Image credit:assin et al., Cretac. Res. , 2026

古代ザメの歯の化石を新たに発見

 エジプトのカイロ大学の古生物学者タレク・ヤシン氏らの研究チームは、すでにアブ・タルトゥール台地の地層で2種の古代ザメの歯を発見していた。

 複数の大型捕食者が生きていくには、下位に豊かな食物網が存在しなければならない。

 研究チームはさらなる証拠を求めて、台地にあるリン酸塩鉱山を再調査したところ、黒や黄色に色分かれしたリン酸塩の地層から、新たに14本のサメの歯の化石を発見した。

 サメの骨格は大部分が軟骨でできていて化石として残りにくく、古代ザメを調べる手がかりは、硬いエナメル質に覆われた歯にほぼ限られる。

 発見された歯の形は、針のように細長いものから、獲物の肉を切り裂くのに適した幅広のノコギリ状のもの、大きく湾曲したものまでさまざまであった。

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新たに発見された14本の古代ザメの化石 Image credit:Yassin et al., Cretac. Res. , 2026

少なくとも7種の古代ザメが生息していた

 研究チームは、世界各地の化石記録や博物館の標本と歯の形を照らし合わせ、14本が5種類の絶滅したサメのものであると判定した。

 これまでに確認されていた2種と合わせ、アブ・タルトゥール台地で生息が確認された古代ザメは合計7種となった。

 新たに特定された5種のうち、セラトラムナ・セラータ(Serratolamna cf. serrata)とスクアリコラクス・バッサーニ(Squalicorax bassanii)の2種は、エジプトで初めて見つかった種である。

 また、そのうちのスカパノリンクス・ラフィオドン(Scapanorhynchus cf. raphiodon)は、日本近海にすむミツクリザメと同じミツクリザメ科に属する近縁種で、アフリカ大陸では初めての発見となった。

 化石としては最も新しい時代のものになる可能性もあるが、研究チームは、さらに標本を集めて確認する必要があるとしている。

白亜紀の豊かな海洋生態系はサメたちの楽園だった

 歯の形が種類ごとに大きく異なることは、それぞれのサメが違う水深で違う獲物を狙い、別々の生態的ニッチ(生態系の中での役割や位置づけ)を占めていたことを示している。

 プランクトンから小魚や無脊椎動物、さらに大型のサメや海生爬虫類へと連なる、生産性の高い食物網が広がっていた。

 白亜紀のエジプトは、古代ザメたちの楽園だったようだ。

 ただし、7種のサメが同じ時期に生息し、同じ場所で一斉に死んだわけではない。

 堆積物がほとんど積もらない環境で、長い年月をかけてサメの死骸が少しずつリン酸塩の地層にたまって圧縮された結果、サメの墓場になったとみられている。

 今は砂漠に眠っている古代ザメたちの化石だが、恐竜が生息していた時代、確かにここで王国を築き上げ、捕食上位者として君臨していたのだ。

References: DOI.10.1016/j.cretres.2026.106476

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