この画像を大きなサイズで見るNASAの火星探査車「キュリオシティ」が、火星のゲール・クレーター内で奇妙な穴を新たに発見した。
火星の地表で窪みが見つかること自体は珍しくないが、今回見つかったものは地面のあちこちに点在していて底も浅い。
過去によく見られた、小石や鉱物が風化して抜け落ちた跡とは明らかに異なっているという。
参考文献:
- Curiosity Blog, Sols 4988-4994: More New Tricks for an Old Dog - NASA Science
クレーター内部に直径1cmの奇妙な浅い穴が点在
NASAの探査車「キュリオシティ」は、地球から遠く離れた火星のゲール・クレーターで14年間(2026年現在)にわたり探査を続けている。
過酷な環境の中、何度もトラブルに見舞われながら危機を乗り越え、様々な鉱物や奇妙な地形を見つけてきた。
だが今回、キュリオシティが発見したものはとても奇妙だった。
ゲール・クレーターの中央にそびえる高さ約5.5kmのシャープ山にある谷、バジェ・グランデを登っている途中の地面に謎の小さな穴が点在していたのだ。
キュリオシティは2026年8月18日から19日にかけて穴を接写し、NASAは9月3日に画像と観測内容を公開した。
キュリオシティは2026年8月19日に穴の1つを接写し、NASAは9月3日に画像を公開した。
写真に写った穴の直径は約1cmで、日本の1円玉(直径2cm)の半分ほどの大きさしかない。
この画像を大きなサイズで見る過去に見られた窪みとは明らかに異なる
火星において、地面に穴や窪みがあること自体は決して珍しいことではない。
隕石が衝突した歴史がある場所には窪みが残る。
また、岩盤にある小さな窪みは、柔らかい岩に埋まっていた小石や鉱物の塊(ノジュール)が、長い時間をかけて風化し抜け落ちることで形成される。
しかし、今回発見された穴はこれまでに見られたものとは形が違っていた。
抜け落ちた小石の跡にしては底が浅いのだ。大きさもさまざまで、NASAが例として公開した1個は直径が約1cmだった。
さらに不可解なことに、窪みの直径に見合う大きさの小石や鉱物の塊が見当たらない。
周囲に石が転がっていないわけではないが、この窪みから抜け落ちたと言えるものがないのだ。
この画像を大きなサイズで見る立体モデルを構築し形成過程の解明へ
この奇妙な浅い窪みはいったい何なのか?
NASAのキュリオシティの研究チームは詳細な調査を開始した。
キュリオシティのロボットアームの先端に取り付けられた火星拡大鏡撮像装置(MAHLI)を使用して、至近距離から穴を撮影した。
さらにマストカメラ(Mastcam)で周囲の地形の重なり合うステレオ画像を撮影した。
研究チームは今後、これらの画像を組み合わせて地表の立体モデルを構築し、窪みの形と深さを正確に測定する予定だ。
そこから形成過程を遡ることで、穴の正体を解明しようとしている。
古代火星の地層を登る途中で現れた謎
現在キュリオシティは、数十億年前に地下水によって形成されたと考えられる網目状の地形「ボックスワーク」の調査を今年前半に終え、シャープ山の上層へと進んでいる。
浸食に強い鉱物が固まってできた尾根が、網の目のように連なる地形である。
2026年8月26日には、着陸地点から標高で1,000m登るという大きな節目も迎えた。
この画像を大きなサイズで見るキュリオシティが現在進んでいる層状の硫酸塩岩の領域は、高度が上がるにつれて質感や化学組成が変化しており、古代火星の環境変化の記録が保存されている可能性がある。
水が豊富だった火星が今日のような乾燥した世界へどう変わっていったのかを、キュリオシティは地層を1枚ずつ調べながら追いかけている。
今回発見された穴が、未知の浸食プロセスの結果なのか、岩の特殊な性質によるものなのか、あるいは全く別の原因によるものなのかは、まだ分かっていない。
地球外生命体が歩いた足跡、とかだったら超ワクワクするが、答えが出るまでには、もうしばらく時間がかかりそうだ。
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