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植物でも菌類でもない。4億年前の巨大な化石は未知の生命系統である可能性

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(著)

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約4億年前に生息していたプロトタキシテス属この画像を大きなサイズで見る
シルル紀からデボン紀に生息していた巨大なプロトタキシテス属の予想図 Image credit:.Loron et al., Science, 2025
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 約4億2000万年前から3億7500万年前の地球には、高さ8mもの巨大な生物「プロトタキシテス属」がそそり立っていた。

 長年菌類の仲間であると考えられてきたが、最新の研究により菌類でも植物でもない未知の生命系統である可能性が浮上した。この奇妙な生物は生命の樹((進化の系統属))にうまく当てはまらないのだ。

 この謎を解き明かしたのは、化石に残された化学的な指紋を読み解く最新の分析技術だ。

 この研究は2025年3月に査読前の論文として公開された際、カラパイアでも紹介したが、今回ついに正式な論文として学術誌に『Science Advances』誌(2026年1月21日付)に、正式に発表された。

原初の森にそびえ立つ8mの巨大な生命

 シルル紀後期からデボン紀後期にかけて、現代のような樹木はまだ存在しなかった。しかし湿地には「アーケオプテリス(Archaeopteris)」のような、現代の木性シダ類に近い「初期の木」や、高さ20cmから数mほどの小型の維管束植物が広がり始めていた。

 そんな進化の途上にある荒野の中で、プロトタキシテス(Prototaxites)属は圧倒的な存在感を放っていた。

 この生物は最大で高さ8m、直径は1mにも達し、枝も葉も持たない滑らかな柱のような姿をしていた。

 地面には樹木のような根ではなく、膨らんだ土台部分で固定されていたと考えられている。

 周囲の植物がまだ小さかった時代、この巨塔だけが際立って高くそびえ立っていたのである。

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このプロトタキシテス属の化石は、スコットランド北東部にある4億700万年前の岩石層、ライニーチャートから発掘された Image credit:Matt Humpage, Northern Rogue Studios

菌類なのか?植物なのか?

 1843年にカナダで最初の化石が見つかって以来、科学者たちの間ではこの生物が何者なのかという論争が165年以上も続いてきた。

 1850年代、カナダのガスペ湾でこの化石を調査した地質学者ジョン・ウィリアム・ドーソンは、当初これを「腐った木の残骸」だと考えた。

 彼はこの化石を「最初の針葉樹」の一種と見なし、プロトタキシテス(Prototaxites:原始的なイチイの意)と名付けた。

 しかし、枝分かれのない単純な構造から「巨大な藻類」と推測する研究者も現れ、正体は混迷を極めた。

 その後、化石内部に菌糸に似た管状の組織が見つかったことで、20世紀後半からは「巨大な菌類(キノコの仲間)」という説が有力視されるようになった。

 この「巨大菌類説」を決定づけたのが、2001年に発表された古生物学者フランシス・ヒューバー氏による研究だ。

 さらに2017年には、現代の子嚢(しのう)菌類に似た組織が発見されたという報告もなされ、「プロトタキシテスは巨大なキノコである」という説が学界の定説となっていた。

 しかし、一部の科学者たちはその結論に疑問を持ち続け、より詳細な分析を続けていたのだ。

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共焦点レーザー走査顕微鏡によって明らかになった、プロトタキシテス化石の微細な内部構造Image credit:Laura Cooper/BlueSky

菌類にあるキチンが含まれていないことが判明

 カラパイアでは、この研究が正式な論文として受理される前の2025年3月に、この研究を報じたが、2026年1月21日、ついに世界的に権威のある科学誌『Science Advances』に正式な論文として掲載された。

 イギリス、エディンバラ大学のサンディ・ヘザリントン博士たちの研究チームは、スコットランドのアバディーンシャーにあるライニー・チャート層で見つかった約4億1000万年前の化石、プロトタキシテス・タイティ(P. taiti)を最新の機械学習で分析した。

 もしプロトタキシテス属が本当に菌類の仲間なら、その体にはキチンという成分が含まれているはずだ。

 だが、精密に調べた結果、この巨大な体からはキチンの証拠が全く見つからなかった。

 同じ場所で見つかった本物の菌類の化石からはキチンが出てきたにもかかわらず、プロトタキシテス属からは検出されなかったのである。

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他の生物との比較により、プロトタキテスはどの生命系統にも属さないことが明らかに。 Image credit:Loron et al., Science , 2026

未知の生命系統である可能性

 さらに詳しく調べると、体の内部にある複雑な配管ネットワークも、植物や菌類とは全く違うルールで作られていることがわかった。

 研究チームのコアランタン・ロロン博士やローラ・クーパー氏たちは、プロトタキシテス属は植物でも菌類でもない、今はもうこの世に存在しない全く未知の生命系統だったという見解を示している。

 これは、生命が巨大で複雑な体を作り上げる進化の過程で、現代の生き物とは別のルートで試した独自の実験だったといえる。

 約3億6000万年前に彼らが絶滅したとき、その進化の枝は根元からポッキリと折れてしまった。私たちの知らない過去の地球には、今の分類図には載っていないミステリアスな主役たちが確かに存在していたのである。

References: Smithsonianmag / Sciencealert / Science

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この記事へのコメント 28件

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  1.  いや~何かワクワクします。 他のどの生物とも違うってところがもしかして宇宙からやってきた別の生物だったりとか、当時の外からきた宇宙人にとってのテラフォーミングの一部だったりとか、妄想がぁ~(笑 まぁ、現実的に種の爆発があったりとかいろんなことがあったころだから特異に進化したのだろうなと。 造礁サンゴだって知らない人から見れば水中に育つ岩性の植物(植物もサンゴも外へと成長するしモノによっては枝があったりキノコみたいにテーブルのような平らな部分をもったりとか)と思う人もいるかもですしね。 幸いにしてサンプルはたくさんあるようなので今後の研究にとっても期待です

    • +20
    1. パルモさんのことだからこの生き物に対して絶対あの言葉を入れてくるかと思ったのですが、ただの真面目な記事でしたね!私の心が汚れていただけのようです!

      • +27
  2. (´・ω・`)ボク心が汚れてるようです。
    (´・ω・`)なんかアレに見えましたすみません。

    • +21
  3. 根が無い事で外敵要員に弱そうだから絶滅したのかな

    • +18
  4. カラパイアのこういう記事が一番すきです

    • +28
  5. 現存する生命とは全く別に発生した生命の系統だと面白いなぁと思った。

    • +26
  6. 存在していたことは確かなのに、復元イラストの描きようがないというワクワク案件…!

    • +12
  7. 粘菌の子実体ぽいけどどうなんだろうなぁ。

    • +3
  8. 問題は食べられるかどうか……だ!
    この時代に行けたとして、コイツが食べられるなら暫くは生活できそうだからな

    • +10
  9. いつもは細かい文章読むのが好きなんだけど、画像しか頭に入らなかった
    巨大なのか…

    • +7
  10. クジラが陸から海に戻ったみたいに海に戻る前の海藻とかどうだろう

    • +7
  11. 4億年前の巨大な息子スティックか・・・
    キチン質を持っていない原始的な菌類の祖先とか?

    • +8
  12. 「そそり立っていた」とか「そびえ立っていた」とか「巨塔」とか・・・
    いや何も間違ってはない普通の表現なんだけど、なんだけど

    • +23
  13. 現生の生物種のみが生命の枠組みであるとは限らない…地球の上においてさえも!
    宇宙で生命を探す時にも道標になってくれそうな研究ですごくわくわくする!
    にしても原っぱにずどんと聳え立ってるビジュアルは私たちにパレイドリアを引き起こす充分な可能性を秘めてるみたい( *´艸`*)

    • +3
  14. 何かこの生命には失敗する要素があったんだよ
    半径を最初から固定して決めて伸びるとか
    そもそも伸びる必要があったのって話で、過疎地の高層ビルと同じ運命みたいな
    納得の何かがあるはず

    • +5
  15. 古代人と現代人が崇める息子スティックかも知れない

    • +2
  16. ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲じゃん、再現率たけぇな。

    • +4

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