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DARPAがレーザーによる無線送電の記録を更新。8.6km先へ800Wの電力を送信

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(著) (編集)

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image credit:Pixabay
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 アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)は2025年、ニューメキシコ州で実施された実験において、レーザーを利用した遠距離無線送電の新記録を樹立した。

 これは同局が推進する「POWER(Persistent Optical Wireless Energy Relay)プロジェクト」の一環として行われたもので、8.6km先にある受信装置へ30秒にわたり800W以上の電力を安定的に送電することに成功。

 送電されたエネルギーの総量は、1メガジュール以上に達したという。同時にポップコーンを調理するというユニークな実演も行った。

 この成果は、軍事利用だけでなく、宇宙空間から地球へエネルギーを届ける未来の太陽光発電技術への応用も視野に入れた、画期的な一歩となる。

レーザーで遠隔地に電力を供給する技術

 私たちが現代的な生活を送るためには大量のエネルギーが必要だ。

 DARPAは米国の国防に関する技術開発機関だが、軍事という点においても、エネルギーは根幹をなすものだ。

 だが燃料や電力を必要な地域へ送り届けるための従来の手段は、遅く、危険で、かつ資源が大量に必要になるという問題だらけのものだ。

 DARPAが主導する「POWERプログラム」は、そうしたエネルギー輸送問題を画期的な方法で解決するための試みで、レーザーを照射して、一瞬のうちに電気を送信するのだ。

 この技術が確立されれば、これまでの輸送の問題に制限されることなく、戦場や災害地域など、電力供給が困難な場所へ迅速にエネルギーを供給できるようになる。

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新設計された受信機では、中央の開口部からレーザー光が進入し、それが放物面鏡が当たると、内部に配置された数十個の太陽電池へ向けて反射され、電力へと変換される / Image credit: DARPA

独自開発の受信機でレーザー送電の新記録を樹立

 今回行われた「PRAD実験(POWER Receiver Array Demo)」は、テラベック・テクノロジーズ(Teravec Technologies)社が設計した新型の受信装置が利用されている。

 この受信機は、コンパクトな開口部を持ち、レーザーが一度入ると光がほとんど逃げない構造となっている。

 その内部にはお椀のような形状をした放物面鏡が設置されており、これがレーザーを数十枚の太陽電池に反射。そこで光が電力に変換されるという仕組みだ。

 その成果は、冒頭で紹介した通りのもの。8.6km先にある受信装置へ、30秒にわたり800W以上の電力を安定的に送電することに成功した。

 これまでの電力ビーミング送信技術は、1.7km先に25秒間平均出力230Wを送電(あるいは3.7km先への少量送電)することが限界だったので、これを大きく上回る結果となっている。

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PRAD実験では、電力ビーミング送信技術における送電量と距離の両方で新記録を樹立。図は、これまでの実験結果と今回の結果を比較したもの/ Image credit: DARPA

地上ベースの設備で分厚い大気を貫通

 特筆すべきは、PRAD実験では、地上に設置された送信機と受信機が利用された点だ。

 実はこのやり方は、大気の一番密度が高いところにレーザーを通過させねばならないので、難易度が高い。宇宙から地球へ送電する方がずっと楽なのだ。

 にもかからわず、見事新記録を樹立することができたのだから、その成功はひときわ際立つものとなっている。

 「真上や真下にビームを通す方が、大気の影響が少ない分、はるかに簡単です。今回はあえて最も厳しい条件下での実験を行いました」(POWERプログラムマネージャー ポール・ジャッフェ氏)

 今回の実験では、変換効率は重視されていなかったが、近距離ではレーザー出力に対して20%以上の電力変換効率も確認されたという。

 しかも受信機がわずか3か月という短期間で設計・製造された中での成果だ。

 更に受け取ったエネルギーの一部はポップコーンの調理に使用された。

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実験の成功をポップコーンで祝う研究チームのメンバー/ Image credit: DARPA

軍事から宇宙へ広がる無線送電の可能性

 無線送電は、発明家ニコラ・テスラが1901年に構想した「ワイヤレス送電システム」にまでさかのぼる。

 テスラは高さ57mの「ウォーデンクリフ・タワー」を建設し、地球全体へ電力を送る夢を描いたが、技術的な壁と資金難によりその夢は実現しなかった。

 しかし近年、特に軍事および宇宙開発分野でこの概念への関心が再燃している。

 その代表例が、宇宙空間で太陽光を集め、地球へ電力を送る「宇宙太陽光発電」だ。宇宙の太陽光は地表の約10倍の強度を持つため、高効率のエネルギー源として注目されている。

 また、エネルギーは軍事作戦や災害対応において不可欠な要素であり、必要な場所にそれを迅速かつ安全に届けることは常に課題とされてきた。

 DARPAによれば、今回の成果は「発電しやすい場所から、必要な場所へ瞬時にエネルギーを届ける」というPOWERプログラムの長期目標に向けた重要な進展である。

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PRAD実験は、米陸軍ホワイトサンズ・ミサイル実験場内にある高エネルギーレーザーシステム実験施設を利用して行われた/ Image credit: DARPA

今後の展望:中継・垂直送電へ

 DARPAのPOWERプログラム・マネージャーであるポール・ジャッフェ氏は、「これまでの光学的無線送電の記録を、距離と出力の両面で完全に打ち破った」と述べている。

 「この実験は、電力ビーミング送信技術の限界に対する誤解をくつがえし、新たな可能性を認識させるきっかけとなりました」(ジャッフェ氏)

 この技術は高出力化にも対応可能で、無人航空機など他のプラットフォームへの統合も念頭に置かれている。

 今回の成功を受けPOWERプロジェクトはすでにフェーズ2へ移行しており、中継装置の統合や垂直送電の実証が試みられる予定だ。DARPAは今、そのための新たな研究開発パートナーの参加を求めている。

References: Darpa

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この記事へのコメント 20件

コメントを書く

  1. 電線いっぱい問題が解決すれば、カラスが山に帰ってくれるのかねぇ……。

    • +1
  2. 遠隔で人間灼く兵器に転用できそうな技術だなぁ

    • -2
  3. 送信と受信があって
    ビーーームの間に入ってしまったものは
    どうなってしまう?

    フッ飛ぶ?ビリビリ?黒コゲ?蒸発?

    • -2
  4. トウモロコシ畑に誤射したら物凄い量のポップコーンにw

    • -2
  5. 受信器が結局「太陽電池」(と同じ原理)って。
    光ー電力変換の新発明も必要なんだな
    現状ではここでの変換効率の低さが。

    • 評価
  6. 但し、気象条件等により大きく電力は変動いたします

    • 評価
  7. どうにも、CERNとかDARPAとか聞こえてくると、脳裏に鳳凰院凶真が浮かんできてアカンわ

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  8. …軍事利用は確定なんだね。
    なんか、これから開発される便利で優秀な技術がどんどん戦争に利用されるであろう恐怖。
    なんとかに刃物にならないことを祈るしかないのね。

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  9. ガッツ星人に十字架に張り付けのされたウルトラセブンに
    エメリウム光線を照射するシーンを思い出した

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