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19世紀のヨーロッパでは自慰行為が寿命を縮めると信じられていた

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(著)

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 かつてヨーロッパでは、自慰行為が狂気や病気、さらには早死にをもたらすと信じられていた。18世紀に医師たちが自慰行為による健康被害を記した著書を出版し、この動きが広がっていったのだ。

 それは19世紀に入っても同様で、1830年に作成されたガイドブックには、自慰行為による健康被害が恐ろしい挿絵付で紹介されている。これを見たらそれをするのが恐ろしくなるほどだ。

18世紀のヨーロッパで信じられていた自慰行為による健康被害

 18世紀初頭、自慰は「自己汚染」という「悪質な罪」と見なされ、狂気、病気、そして早死にへとつながると広く信じられていた。

 1716年、医師のバルタザール・ベッカー氏は、オナニア( Onania)」という医学用パンフレットを出版し、ロンドンで配布。自慰を行うと以下のような健康被害にみまわれると警告した。

胃の不調、消化不良、食欲不振または過食、嘔吐、吐き気、
呼吸器官の弱化、咳、喉のかすれ、麻痺、生殖器官の弱化、性欲の低下
背中の痛み、目と耳の障害、体力の全面的な減退
顔のにきび、知力の衰え、記憶力の低下、怒りの発作
狂気、白痴症、てんかん、熱病、自滅行為

 1745年、イギリスの医師、ロバート・ジェームスは、「医学事典( A Medicinal Dictionary )」の中で、自慰は「最も悲惨で一般的には不治の病」を引き起こすと書いた。

 またスイスの医師、サミュエル・オーギュスト・ティソは、1760年の著書「オナニスム』(L’Onanisme,)」において、自慰行為の悪影響について述べた。彼によれば、精液が体内から大量に失われると体力、記憶力が低下するという。

 ティソはヨーロッパ中に名声を博していた高名な臨床医で、彼の唱えた自慰行為有害論は広く影響を与えたとされている。

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自慰有害論を広く知らしめた高名な臨床医、サミュエル・オーギュスト・ティソ / image credit:public domain/wikimedia

1830年に出版されたガイドブック、自慰行為をした少年の末路

 それは19世紀に入ってからも信じられていたようで1830年に出版された挿絵付のガイドブックらしき本では、自慰行為にとりつかれた17歳の少年が、恐ろしい死を遂げた若者として語られている。

 おそらく当時の若者たちはこの本を配布され、自慰行為を自粛するよう啓蒙されたと推測される。

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彼は若くてハンサムな少年で、母親の誇りであり喜びだった
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しかし、彼は堕落し、自慰行為を繰り返したせいで年老いてしまった。背中は丸まり、姿勢も老人のようだ
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貪欲な炎が彼の内臓を焼き尽くし、彼は激しい胃の痛みに苦しんでいる
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かつてあれほど純粋で、澄み切った輝きを放っていた彼の目は、今や赤い炎の帯が瞳を取り囲んでいる
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彼はついに歩くことができなくなった。足が弱って動かなくなってしまったのだ
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恐ろしい悪夢が彼の眠りを妨げ、十分に睡眠をとることができなくなった
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それだけではない。彼の歯は腐って抜け落ち始めた
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彼の胸は燃えるように熱くなり、血を吐くようになる
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かつては長くて艶やかだった髪は抜け落ち、弱々しい老人のように禿げてしまった
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お腹が空いていて食べたいのに、食べ物が胃に入らない
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彼は胸が張り裂けるような痛みに襲われ、大量に吐血する
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かつては若々しくしなやかだった彼の皮膚は、全身が化膿して湿疹やただれに覆われ、恐ろしい姿になってしまった
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熱にじわじわと蝕まれ、体が火で焼かれるように痛む
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死の苦しみが彼を襲い、体は硬直し感覚が失われる
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こうなってしまったら今、彼を救えるものは何もない!
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彼はひどい苦しみの中で息を引き取った。17歳でこの世を去った

 この恐ろしいフランス語のガイドブックにはタイトルがない。なぜならこの当時「自慰行為」という言葉を活字にすることすら禁忌とされていたほどなのだ。

 果たしてこのガイドブックは若者たちの心に響いたのかどうかはわからないが、小さい子に読ませたら、間違いなくトラウマになることだろう。

References:A Warning to the Curious: ‘The Fatal Consequences of Masturbation’ from 1830 – Flashbak / Dittrick Museum: Le Livre Sans Titre, 1830 / Written by parumo

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この記事へのコメント 52件

コメントを書く

  1. 婚姻率、出生率が上がりそうな迷信ですね
    旧約聖書に出生に繋がらないそういうことをして神の怒りに触れるエピソードがあったし医学というより宗教的な思想だろうなー

    • +18
  2. 荒俣宏さんの本『ジンクス』(古今の様々なジンクスやおまじないなどを集めた本)だったと思ったけど、「オ⚪︎ニーをし過ぎると”オ⚪︎ニーじわ”(皺)が顔に現れる」みたいな文章があって、読んだ当時「なんだそれw」って思ったけども、こんなパンフがあったことを知ると、マジでそう思ってたんだなと驚愕。
    キリスト教って、結構、罪深いよね。

    • +22
  3. 不衛生がもたらす病気は確実に有っただろうね。

    • +36
    1. >>5
      言われて納得したわ。消毒とかバイキンの概念が乏しい時代に、性器周りをよく触ってまともに手も洗わない人が病気になりやすいぞってのは、普通に論理的だったのかもしれない。

      >澄み切った輝きを放っていた彼の目は、今や赤い炎の帯が瞳を取り囲んでいる
      とか、普通に雑菌まみれの手で目を触ったって考えれば合点がいくし。

      • +2
  4. 本当に死因になるのか?と、思うけど……案外正しいのかもしれない。

    • -5
  5. 症状に「性欲の低下」?いやむしろ、アガッ…

    • +10
    1. >>7
      多分生身に対して完遂する力じゃないかな?
      と思う
      現代でも間違った行為(力や早さ、床を使うとか)で生身が出来なくなるって聞いた

      • 評価
    1. >>8 自分もつい最近、キリスト教では禁じられているのを知って驚いた。とすると、すんごい昔から多くのキリスト教徒の主に男性が常日頃から罪を感じていたってこと?
      確かに人間はみな罪人だが、かなりネガティブな宗教。。。

      • +1
      1. >>18
        元々の教えに「増えよ満ちよ」ってあるから人口が増えない自イや同性愛や中絶が禁忌だったのよ
        まあ中絶は今でも全体を見ると許されてないほうが強めっぽいけど

        • +2
  6. 当時の全寮制の学校では、自位行為が見つかると退学になっていた。
    また寝るときには自位をしないようにベッドに体を縛り付けるようにしていた。

    狂っているって?
    確かに、過去も現在も、そして未来でも、人間は狂い続けている。

    • +11
    1. >>9
      森鴎外の著書にも 旧制高校の寮では両手を布団から出して寝るのが規則で そのとおりかどうか寮監が夜中にチェックしにくるという記述があったと記憶している。

      • +1
  7. 男性は前立せん癌の発症率が低くなることが証明されている

    毎日やるべき

    • +11
  8. 何事も適度なのが一番っすよ
    ってしたかったのに誰も言う事聞かないで猿の如くだったから過剰に脅かしてみた
    とかだったり?

    • +4
  9. みんなすました顔して街歩いてるけど
    家帰ったらやってるんだよな。

    • +15
  10. そりゃ粘膜に不潔な手で触れば感染症にもなるわさ
    中世なんて知らずに使ってる毒物も色々あるし(絵の具の緑はヒ素入りとか)

    • +12
  11. 海外のトイレドア下が妙に空いているのは、当時トイレで
    してるのが多く、教会がそういう不届きモノを監視するために
    下が開けられ調べやすくしたためだ

    • 評価
  12. まるでハゲが悪いものみたいに書かれてるんですけど(怒)

    • +11
  13. キリスト教ってそういう宗教だからよ
    生殖に繋がらない性欲を全て悪だとみなしてる
    聖書に実際書いてある

    • +13
  14. 中学時代のカウンセラーは「ストレス解消になるからしてください」て奨励してたな。すぐに「ウチのに何を教えるのキィィィィ!」とクレームが入ったけど学校側は「ハイハイスイマセンネー」とスルーした。むしろクレーム入れた側の生徒がヒソヒソされて不登校になったというオチ。
    時代は変わるもんだ。

    • +8
  15. 以前アメドラの「ER」で、敬虔すぎるキリスト教の若者が自行為をせずに
    体調崩したと判って女医がティッシュ持ってきてカーテン閉めたというのがあったなw

    • +3
    1. >>22
      ほほぅ?アメリカでもティッシュなんだ。知らなかったです。

      • -1
  16. 全般的に絵が耽美というか色っぽく見えるのは私が腐っているせいだろうか……

    • +2
  17. さらっとその事について書かれた本を小さい子に読ませようとするのはやめたまえくださいますか?!?!

    • -2
  18. 害を語るなら自分でする時と他人を交えてする場合の違いも考えないと成立しない気はする
    精液が大量に失われると良くないというなら自分でするのだけの話にならないはずだし

    • +2
    1. >>28
      こういうのを描く連中からすれば、
      未婚の青少年が他人とする(=婚前交渉か、商売女か)って、
      それこそ論外では。
      その時代の商売女だと、体力うんぬん以前に
      結構な確率で明確に体への害があるし。

      既婚者の営みにしても、敬虔な良識者だと
      あくまで「子作りの手段」であって
      (オ○ニーの語源であるオナンの逸話がそういう趣旨だし)
      たとえ夫婦であっても肉欲に溺れるのは姦.淫の罪である、
      という建前があるから、
      猿みたいに盛る頻度は想定していないんだろう。

      • +3
  19. 寿命が半分になるくらいでもないならした方が良いわ

    • 評価
  20. まあ心臓の負担でブレイクしちゃう人もいるとかいないとかいうからねえ。

    • 評価
  21. いつの時代も専門家は、素人がわからないと思ってデタラメなことを言い、無駄な恐怖を煽りたがる。

    • 評価
  22. なんか怒りが湧いてきた
    だってこれ大嘘でしょ!?
    この男の子、たとえ大嘘話の中の架空の人物だとしても可哀そう
    なんかムカつく、マジで
    すげぇ嫌な物語りだわ

    • +7
  23. でも確か十年くらい前に、中国か韓国で、未就学の男の子がやり過ぎで亡くなった事故があったよね……?

    猿も教えるとソレばっかやってると言うし。
    文化にもよるけど、娯楽が少ないとソレばっかやっちゃいそうだし、ある程度育つまで禁止するのは、当時は仕方無かったのかなーとは思うが、どうか。

    ただ、育ってきたら、定期的に出さないと生活に支障をきたすから、そこはどうするの、とも思う。

    • 評価
  24. 今なら
    「精巣からマイクロプラスチックを除去してるんです」
    でごまかせるかもな

    • 評価
  25. おたまじゃくしは絞り出さなくても尿と一緒に排出されるし
    どうせ歳取るとやっても疲れるばかりになるよ

    でも昔の宦官は残忍になったというから
    こみあげるものをむりやり抑えつけるのはよくないかもね

    • +2
    1. >>42
      佐藤優によると 性欲を禁じられたカソリックの本山バチカンでは代償行為として支配欲を満たすためか すざましい権力闘争が行われ それに乗れないと今度は食欲に走るとか 道理でふくよかな坊さんが多いわけだ

      • +1
  26. 昔読んだ歴史の本に、子供がG行為しないように、ムスコに羊の皮を舐めして鈴をつけたケースを装着して、
    夜に子供の部屋から鈴の音がしたら親が飛んできて止めるって話が書いてあってマジかよぉ、現代に生まれてよかった…って思ったの思い出した

    • +2
  27. 日本でも戦前はこの手のもっともらしい科学が教えられて、そういう行為をしてしまった若者がひどく後悔する記述を読んだ覚えがある。

    • 評価
    1. >>49
      劇症梅毒の症状ににているが
      進行が10倍ぐらい速い

      • +2
      1. >>55
        個人的にもそう思った
        あの頃だから梅毒は恐れられたと思うから、快楽が良いことだとさせたくなかったとかあるかもしれんね

        • 評価
  28. まぁ確かにタイミングによっては社会的な死をもたらすかもしれない

    • +1
  29. すれば狂気や病気、さらには早死にすると言われ、
    我慢して漏れ出したらサキュバスに誑かされたと言われ・・・
    実物以上の疑似物で好き勝手な時に自由にシコシコ出来る時代のこんな国に生まれて良かった!!

    • 評価
  30. 現代人も同じだ
    皆、自分じゃ一度も見た事も無い小さな悪魔を本気で信じて恐れてるじゃないか!
    しかも厄払いのために得体の知れないものに縋ってる
    同じだよ

    • -1
  31. 宗教上の建前やら売名やら虚偽も承知の物か、それとも本当にそう思ってたのか。福音派だったら後者もありそうだ。

    • 評価
  32. 当時の衛生環境で粘膜に触れたらありえたかもね
    町中毒物だらけだし

    • 評価
  33. 当時の食料事情+衛生+文化の組み合わせの病だよね
    昔の人ってマジで栄養バランスが死んでるから現代のペースでコキ捨てたら栄養失調待ったなしすぎるし
    こんな責める文化だと罪悪感でストレスマッハになりそう

    • 評価

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