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我々の世界は反宇宙とつながっているのか?ダークエネルギーなしで宇宙の膨張加速を説明する新説

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(著) (編集)

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 ビッグバンによって誕生した宇宙は、なぜか加速しながら膨張している。このほど、この宇宙最大の謎とされる現象を説明する新モデルが提唱された。

 これまでの理論では、加速する宇宙を「ダークエネルギー」という正体不明のエネルギーによって説明してきた。

 だが『Gravitation and Cosmology』(2024年4月4日付)に掲載された研究によるなら、そんな謎めいた摩訶不思議なエネルギーなど必要ないという。

 量子論と一般相対性理論という標準的な理論から、普通に説明できるらしいのだ。

 ただし、1つだけ大きな代償がある。それは「反宇宙」というやはり不可解なもう1つの宇宙の存在だ。

なぜ宇宙の膨張は加速しているか?

 これまでの観測では、この宇宙の膨張が加速していることが明らかになっている。

 この宇宙に存在する物質には重力があり、この宇宙の膨張ですらその影響を受ける。

 この宇宙に存在する物質の量から推測すると、その重力の力によってビッグバンによって始まった宇宙の膨張はいずれ減速していくと考えられる。

 ところは現実にはそうではない。宇宙の膨張は減速するどころか、ますます速くなっているのだ。

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photo by iStock

ダークエネルギーが関与しているのか?

 この現代の宇宙論で最大の謎は、検出することができない未知のエネルギーが原因であるとされることが多い。この仮説上のエネルギーを「ダークエネルギー」という。

 あくまで仮説上のものではあるが、間接的な手がかりからダークエネルギーが本当にあるらしいことが明らかになっている。

 あるいはダークエネルギーの一種である「クインテッセンス」、一般相対性理論を拡張した「修正重力理論」、さらには4次元を超えた世界に答えを求める「ブレーンワールド」といった、いずれも難解な代替理論も提唱されている。

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photo by iStock

反宇宙が存在するならダークエネルギーは必要ない

 一方、インド工科大学博士課程の学生ナマン・クマール氏は、もっとシンプルに既存の理論から宇宙膨張の謎を解こうとしている。

 ただし、その理論は代償をともなう。

 ダークエネルギーがいらない代わりに、時間の流れがこの宇宙とはまったく逆のもう1つの宇宙「反宇宙」が存在しなければならなくなってしまうのだ。

 クマール氏の議論は、量子論の「相対エントロピー」や一般相対性理論の「ヌル・エネルギー条件」(正のエネルギーに対応するのだとか)といった概念を踏まえたものだ。

 2つの状態を必要とする相対エントロピーは、この宇宙と反宇宙に相当する。そしてヌル・エネルギー条件にしたがうペアの宇宙では、宇宙の膨張の加速は必然的に起きるのだという。

 荒唐無稽に思えて、意外にも反宇宙の存在を裏付ける強力な仮説ならあると、クマール氏は主張する。

 彼が指摘するのは最近の研究だ。それによると、宇宙は「CPT対称性」(チャージ、パリティ、時間の反転対称性)を自発的に破っているのではなく、ビッグバン後の宇宙はそれ以前の宇宙のCPT像であるという。

 そしてそのことが対となる反宇宙の存在をを指し示しているらしいのだ。

 彼はまた、こうしたことは、故ホーキング博士が提唱した「ホーキングの面積定理」にも似ていると説明する。

 面積定理もまた”因果の地平面”を扱っており、ヌル・エネルギー条件が成立する必要がある。そしてクマール氏のモデルでは、ビッグバンこそがその因果の地平面で、同じことが反宇宙にも言えるそうだ。

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宇宙と反宇宙のペアのイメージ / image credit:WIKI commons

我々の世界は反宇宙とつながっているのか?

 この理論は、量子論と一般相対性理論という標準的な理論から、謎めいたダークエネルギーを必要としない宇宙モデルを提示したものだ。

 それによるなら、1対のペアとして誕生した宇宙では、加速する膨張はごく自然な現象であると言える。

 しかも因果の地平面を研究することで、この宇宙についてさらなる理解を深められる画期的なアイデアであるとのことだ。

References:The Big Bang, CPT, and neutrino dark matter – ScienceDirect / New model suggests partner anti-universe could explain accelerated expansion without the need for dark energy / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 14件

コメントを書く

  1. 次のアインシュタインが生まれるのとクローンや再生医療が発達してアインシュタインの複製ができる技術が確立するのとどっちが先かなぁ
    劣化した遺体の一部からでもクローン作れるのかね
    倫理的な壁があるけど天才を複数複製っていつか起こりそうだなぁ

    • 評価
    1. >>2
      現代の加速的な進歩を見るに複製誕生のほうが早い気がする

      • +2
    2. >>2
      何を言っているかよくわからないけど、その「人」を作るのは
      その環境やなにやらが全てであってクローンをつくったからと
      遺伝子が同じなだけで、同じような存在ができるわけではないが?

      それにクローンで全く同じ”アインシュタインの複製”ができたとしても
      全く同じならば彼は神の存在を信じるがゆえに再び「膨張宇宙」を否定する研究に没頭しそう
      なにせ「神はサイコロを振らない」ですからねw

      • +1
  2. 物理が好きだが、
    ヌルエネルギーあたりからわけわかめ状態になった

    • +2
  3. 理論物理の世界は色々な新説があり興味深く見ているが、
    歳かな、、、最近あまりにも手の届かない謎が多すぎて
    ちょっとなぁ、、、パラダイムシフトする感覚は興奮するが
    その証拠の片りんさえ観察できないからなぁ、、、

    • +1
  4. 宇宙が膨張してるのは確定なんか?
    なんかの勘違いとかじゃなくて

    • 評価
    1. >>8
      遠方の銀河が発する光のドップラー効果による赤方偏移を調べると
      遠い銀河ほど遠ざかる速さが増えることが分かった

      例えば風船に印を付けて膨らますと印は距離に比例する速さで離れる
      風船は二次元だけど、宇宙では三次元でこれと同じことが起こっている

      • +2
  5. 丹波先生の「あの世とこの世は地続き説」か

    • -2
  6. 大仰で複雑な問題にシンプルなアイデアで挑むのは大好きだ!
    この調子で宇宙の謎を解き明かしていって欲しい
    ただ口惜しいのはそのシンプルなアイデアもちゃんと理解するにはしっかり勉強しとかないといけないところ…くぬぬ

    • 評価
  7. ビックバンが起きる前
    そこには本当に何もなかったのか

    またダークエネルギーという存在が
    あるだけの空間だったのか

    でもそうなれば
    そのダークエネルギーを占めてる空間は
    どのようにして生まれたのか

    よもや人類が推測できない域なのかな…。

    • +1
  8. ビッグクランチからのビッグバンっていう
    古典的な宇宙誕生論の現代版って感じ?

    • 評価
  9. 存在の本質は人間の五感と思考、概念では到底理解が及ばない気がする

    • +1
  10. ダークマターと考えるよりこちらの方が理解しやすいね
    自分は無数の三次元空間が重なり合ってるんじゃないかなと思ってる
    より時間を経た外縁部ほど時間という他の三次元空間の干渉の結果が出やすい、と

    • 評価

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