【続報】少女が火傷を負ったチキンナゲット訴訟、マクドナルド側に1億を超の賠償命令

　前回お伝えしたように、米フロリダ州で、チキンマックナゲットで大やけどを負った少女の家族が、2023年5月、マクドナルドとフランチャイズ店に対し、危険な温度のチキンナゲットを販売したとして、多額の損害賠償を求め、マクドナルドと加盟店を提訴した。

　その時の裁判では、熱い食品の危険性について顧客に警告しなかったことから、マクドナルドと加盟店に責任があると評決が下され、次回の裁判でその賠償金額が決まるとのことだった。

　そして7月19日、新た裁判が行われ、マクドナルドとフランチャイズ店に対し、80万ドル（約1億1300万円）の損害賠償金の支払いが命じられたという。 Jury awards $800k to girl burned by McDonalds chicken nugget

熱いチキンナゲットで太ももに大やけどを負った少女

　2019年、南フロリダに住む2児の母ホームズさんは、ドライブスルーでハッピーセットを購入し、後部座席に座っていた息子と娘に手渡した。

　すると、チキンナゲットが当時4歳の娘、オリビアちゃんの太ももに落ち、痛みのあまり叫び声を上げたため、ホームズさんは駐車場で車を止めた。

　母親が確認すると、ナゲットがオリビアちゃんの足の上に落ち、太ももとシートベルトの間に挟まっていたという。これによりオリビアちゃんは太腿に�凝戮硫仆�を負った。

A jury awarded $800,000 in damages to a Florida girl who received second-degree burns when a hot Chicken McNugget fell on her leg as her mother pulled away from a McDonald's drive-thru. https://t.co/aWiwop6nXo

— ABC News (@ABC) July 20, 2023

　ホームズさんは、商品を受け取る際に、マクドナルドから「食べ物が異常に熱いかもしれない」といった警告を一度もされなかったと主張。

　今年5月、マクドナルドに「娘に傷痕が残るやけどを負わせた」として、1500万ドル（約21億円）の損害賠償金を求める訴訟を起こした。

　同月の公判では、双方ともナゲットが火傷の原因であることに同意したが、ホームズさんの弁護士は「ナゲットの温度が摂氏93度を超えていた」と主張し、マクドナルドの弁護側は「温度が摂氏71度以下だった」と主張した。

　法廷ではオリビアちゃんの母親が撮ったやけどの写真が公開され、子供の叫び声が録音されていたドライブレコーダーの音声が流された。

A Florida jury awarded $800,000 in damages to a 7-year-old girl on Wednesday for the suffering and mental anguish caused when a Chicken McNugget fell on her thigh, causing a second-degree burn. https://t.co/ok1c7fB55l

— The New York Times (@nytimes) July 21, 2023

賠償金の要求に異議を唱えていたマクドナルド

　5月の裁判の時点で、マクドナルドは食品安全規則に従っていると主張し、要求に異議を唱える声明を発表していた。要求には同意できないと声明を出した。

　また、同社はこのように述べていた。

マックナゲットは、サルモネラ中毒を避けるために十分に熱くする必要があり、ドライブスルーの窓から出た食品に何が起こるかは、自社の制御の範囲外である。

顧客は、チキンマックナゲットを安全に提供するための方針と手順に従って、マクドナルドを信頼し続ける必要がある。

　7月、法廷でマクドナルド側の弁護士らは、火傷が3週間で治ったことでオリビアちゃんの痛みは治まったと主張した。

　娘の傷跡の問題を抱えているのは少女の母親であるとして、陪審員に対し、過去と将来の損害賠償には15万6000ドル（約2200万円）を支払うべきだと述べた。

　マクドナルドの弁護人のジェニファー・ミラー氏は、19日の最終弁論で、このように反論した。

オリビアちゃんは今もマクドナルドに行きたいと言って、実際に母親と一緒にドライブスルーに行き、チキンナゲットを買っています。

オリビアちゃんは怪我を気にしていません。これはすべて母親が求めていることです。

　だが陪審員は、この傷害事件は同社とフランチャイズオーナーに責任があるとの判決を下した。

7月の裁判判決でマクドナルドが敗訴

　7月19日、南フロリダ州の陪審員らは2時間弱の審議を経て、マクドナルドに80万ドル（約1億1300万円）の損害賠償を命じる判決を下した。

　陪審の評決書では、米国マクドナルドとそのフランチャイズ運営会社アップチャーチ・フーズに対し、痛みと苦しみ、精神的苦痛への過去4年間の損害賠償として40万ドル（約5700万円）、将来に対してさらに40万ドル（約5700万円）が割り当てられた。

　ホームズさんの弁護チームは声明で、この決定は「重大」だと述べた。

　母親のホームズさんは、法廷の外で記者団に対し、「陪審が娘の声に耳を傾け、公正な判決を下すことができて本当にうれしい」と語った。

満足しています。正直、期待していなかったので、これは私にとって公平以上のものです。

　メディアが伝えたところによると、現在8歳のオリビアちゃんは、内腿の傷跡を「ナゲット」と呼び、切除することを希望しているようだ。

　マクドナルドの弁護側は判決後、発言を拒否したということだ。 McNugget Lawsuit: $800K awarded to girl burned by chicken nugget

追記：（2023/07/24）本文を一部訂正して再送します。
References:Florida girl severely burned by McDonald's Chicken McNugget awarded $800,000 in damages/ written by Scarlet / edited by parumo
あわせて読みたい
マクドナルドのチキンナゲットで子供が火傷したとして両親が訴訟を起こす


訴訟大国とはいうものの...マクドナルドにまつわる7つの奇妙な訴訟（アメリカ）


私が断食に失敗したのはマクドナルドのせい。広告が空腹感を刺激したとしてマクドナルドを訴える（ロシア）


10歳の子供をタダ働きさせていた米マクドナルドのフランチャイズ店が罰金の罪に直面


アメリカの訴訟。バーガーキングの店内で転んだ顧客に約10億円の賠償金支払いが命じられる