やさしい獣医に心を許したい犬、ようやく痛いほうの足を見せてくれる

　オーストラリアの獣医師が、前足の爪を痛めた犬を治療するときの映像が話題を呼んでいる。獣医のトーマス・ハミルトンさんは、床に座り犬と同じ目線でやさしく話しかける。

　「手を見せてくれるかい？」と求められた犬はとても協力的だったが、どうしても痛いほうの足を見せるのがいやで、痛くない方の足を差し出す。

　獣医は「ありがとう、君を助けたいんだ」と犬をやさしくなで、痛いほうの足を指さし、「こっちを見せてくれるかな？」と顔を近づけて話しかける。

　犬は獣医に心を開き始め、ついに痛い方の足を見せてくれ、治療をすることができた。強引に診察台にあげて治療しようとせず、犬の意志を尊重する獣医の態度に、SNSでは称賛の声が上がっている。　

爪を怪我して動物病院を訪れた犬

　ブラドール・レトリバーは左足の親指の爪を何かに引っかけてしまったようだ。足が痛いようで、歩き方がおかしく、あまり歩こうとしなかった。

　そこで飼い主は、西オーストラリア州パース郊外にある動物病院に連れて行き、見てもらうことにした。

　獣医師のトーマス・ハミルトンさんがこの犬の治療にあたった。ハミルトンさんは無理に診察台に乗せようとせず、犬の前に座り犬の目線で話しかける。

　「君の手を治してあげたいんだ。見せてくれるかい？」すると犬は、痛くない方の手をハミルトンさんに差し出した。 　「ありがとう、でも痛い方の足が見たいんだ。反対側の足を見せてくれるかな？」痛い方の足を指さしながら犬にお願いするハミルトン獣医。

　犬はどうしても痛い方の足を見せたくないようで、再び痛くない方の足をあげ、獣医に差し出した。

　獣医は犬の近くにより、やさしく頭を撫で、根気よく「君を治してあげたいんだ。そっち側の足を見せてほしいんだ」とお願いした。

獣医を信じ、ついに痛い方の足を見せてくれた犬

　犬は獣医をじっと見つめ、手のニオイを嗅ぎ、痛くない方の手を差し出していたが、ついにこの人なら信じられると思ったようだ。

　医師が痛い方の手をゆっくりと持ち上げると、抵抗することなくその爪を見せてくれたのだ。 　幸いなことに、爪は折れていないことが確認できた。何かに引っ掛けた時に痛めてしまったようだ。

　ハミルトン獣医は動画のコメントにこう投稿した。

この患者はとても協力的だった。彼女の爪は何かに引っかかってしまい、急性の足痛が発生したが、少しずつ回復している。

爪を舐めるような行動はなく、爪も折れていない。ゆっくり休んでもらい、非ステロイド薬を投与し、治療を完了した

　この様子は、ハミルトン獣医が日々の治療風景を公開しているTikTokのアカウント「@drtom83」に公開され、多くの人の心を打った。

　ユーザーからは「すごい獣医さんだ！犬と一緒に床に座って診察する姿を見たとき、自分の犬も彼に見てもらいたいと思った」、「このような動物に寄り添ってくれる治療をもっと多くの動物たちが受けられといいな。この獣医をどうやって複製すればいいのか？」、「彼は犬の気持ちがわかるし、犬もそれを理解している」などといった声が上がった。 　ハミルトン獣医は、数ヶ月前にも、動物病院をとても怖がっていた犬をやさしく慰め、恐怖心を取り去った。その時の動画が大きな話題になった。 　人間も良い医師と巡り合えたら心強いことだろう。動物も同じで、良い獣医と巡り合えると、治療もスムーズに行える。

　病気や怪我をしたペットたちが安心して診察を受けられる獣医がいることは、飼い主にとっても安心感が得られるだろう。

written by parumo
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