
image credit:Save the Chimps, Inc./Facebook
28年もの長い間、実験用動物として囲いの中に閉じ込められてきたチンパンジーが保護団体によって救助された。バニラと名付けられたメスのチンパンジー(28歳)は、生まれて初めて建物の外に出て、空を見上げた。
その時の反応が多くの人の胸を打った。普通に暮らしていれば当たり前の空も、バニラにとっては初めて体験するもので、驚きと感動に満ち溢れた何とも言えない表情だ。
現在、保護されたバニラは同じく救助された妹と一緒に、保護団体が所有する広大な敷地で自由を満喫中だ。
Vanilla In Awe of Seeing the Open Sky for the First Time - Save the Chimps
28歳のチンパンジー、囲いの生活から救助される
6月15日、アメリカ・フロリダ州フォート・ピアースにあるチンパンジーの保護団体「Save the Chimps」が、Facebookアカウントでシェアした動画が、大きな反響を呼んだ。チンパンジーのバニラは、生まれてから28年間ずっと外に出たことがなかった。
実験用動物として飼育され、2歳になるまでニューヨークの悪名高い霊長類実験医学・外科研究所(LEMSIP)の小さな檻の中に閉じ込められて過ごした。
その檻は、0.46平方メートルほどの小さなもので、鳥かごのように天井から吊り下げられていたという。
その後、1995年に保護されたバニラは、カリフォルニア州の「ワイルドライフ・ウェイステーション(Wildlife Waystation)」に移送され、小さな家族グループに加わった。
だが実験用の檻よりはましになったものの、依然として屋内に収容されていたため、外の世界とは遮断されていた。
2019年に施設が閉鎖されたとき、バニラは新しい家を探す必要があった。
そこで去年、「Save The Chimps」のチームは、バニラを安全な保護区に送るためにFedExを手配し、バニラとそのグループを飛行機で輸送した。
初めて空を見上げて何とも言えない表情を浮かべるバニラ
今年6月、ネバダ州リノで開かれたアメリカ霊長類学会のシンポジウムで、Save The Chimpsの霊長類学者アンドリュー・ハローラン博士が共有した映像は、多くの人の心を打った。動画には、檻から出るのが不安そうな様子を見せるバニラに、アルファオスのドワイトが「さぁ、こっちに出ておいで」と、まるで励ますような仕草をしている姿が見られる。

image credit:Save the Chimps, Inc./Facebook
次の瞬間、バニラはドワイトの胸に勢いよく飛び込んだ。するとドワイトは、バニラをしっかりと抱きしめ、安心させた。

image credit:Save the Chimps, Inc./Facebook
大きなハグで迎えられたバニラは、次に空を見上げた。生まれて初めて見た空の広さと青さに驚いたのか、バニラは上を向いて目を見開き、大きく口を開け、ショックと感動が混ざり合ったような表情を見せた。

image credit:Save the Chimps, Inc./Facebook
カリフォルニアでは、バニラは草もほとんどなく、栄養もほとんどない金網フェンスの檻の中で、数頭のチンパンジーと暮らしていました。(ハローランさん)

image credit:Save the Chimps, Inc./Facebook
慈善団体が共有したビデオには、バニラとその妹のシェイク、マジック、ジェフ、アーネスタが、初めて日光の下に放たれる様子が映っている。
広大な敷地でようやく自由を手に入れたバニラ
同団体によると、バニラが保護された新しい島の保護区には、研究室や娯楽産業、珍しいペット取引や沿道の動物園から捨てられた226頭のチンパンジーが暮らしているという。その多くは、これまで独房に入れられ、今まで一度も他の仲間と交流したことがないチンパンジーばかりだそうだ。
現在、バニラとチンパンジーの家族は、同団体が所有する3エーカーの島で、自由を満喫中だ。
ハローランさんは、保護区に到着した新しいチンパンジーの性格をそれぞれ評価し、12のチンパンジー島コミュニティのどれが最も適しているかを判断しているという。
バニラは、どうやら自分にぴったりのコミュニティを見つけたようだ。

image credit:Save the Chimps, Inc./Facebook
バニラは、保護区での生活に非常によく順応しています。彼女が友人たちと島を探索していないときは、たいてい3階建ての登山台の上に座って新しい世界を眺めているのが見られます。
彼女は、島にいる他の18頭のチンパンジー全員と仲良くしています。そしてアルファオスのドワイトとは、ふざけあいをしていい関係を保っています。(ハローランさん)
バニラや救助された仲間たちは、今後は劣悪な環境での暮らしに耐える必要はない。彼らは、もう実験用動物ではないのだ。
保護区のチンパンジーたちの、これからの幸せを願わずにはいられない。
References:Vanilla the chimp, caged for entire life, sees sky for first time in heartwarming video / written by Scarlet / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
やっぱり1番怖いのは人間
2. 匿名処理班
> 実験用動物として飼育され、2歳になるまでニューヨークの悪名高い霊長類実験医学・外科研究所(LEMSIP)の小さな檻の中に閉じ込められて過ごした。
まず読むにあたってこれに関する前知識が必要な気がしてきた
3. 匿名処理班
自由!これ以上の幸福があろうか
4. 匿名処理班
ドワイトさんがハートから仕草までイケメンすぎる
5. 匿名処理班
悪い人達から救いだされて本当によかった
6. 匿名処理班
「初めて星空を見たカスパーハウザー」を思い出した
7.
8. 匿名処理班
ドワイトがイケメン過ぎる
惚れてまうやろ
9. 匿名処理班
パンくんみたいに狂暴化とかしなかったのかな
というか2歳から28歳までは普通に部屋飼いなのか、だったら部屋飼いの犬/猫/小鳥なんかと変わりゃしねーな
10. 匿名処理班
人間の利益のために自由を奪われてた
救ったのも人間、今後のチンパン生を楽しく過ごしてほしい
11. 匿名処理班
これに関してペットというものを飼ってる人間たちは
かわいそうだなんだという権利はなさそうだよね
特に鳥なんて哀れなものよね
12. 匿名処理班
>>2
霊長類実験医学・外科研究所(LEMSIP)
あまり情報は多くないけど。
https://releasechimps.org/research/facility/lemsip
13. 匿名処理班
あの喜びに満ち溢れた表情!仲間も「よくきたな!これからは人生楽しもうぜ!」みたいな労わりと歓迎ムード。フランクで優しい時間が流れてて涙が出た。過酷な過去を乗り越えた。これからの人生のんびーり楽しんで!毎日が夏休みだね。
14. 匿名処理班
平均寿命が30歳なのでなんともいえない気持ちになった…少しでも幸せに過ごして
しかし2歳より後は別に悪い人らに虐待されていたわけではなく、単に空が見えない場所で(それなりに大事に)飼われていたんじゃないんだろうか。保護センターではあったんでしょ?
15.
16. 匿名処理班
外に出ると生きていけない可能性もあるわけで、なんとも言えないところだね。
絶滅危惧種であるのには理由がある
17. 匿名処理班
生まれて初めて自然の空を見た彼女は言いました
「いつもと違う広い天井は青かった」
18. 匿名処理班
こいつ鏡で見たことあるわ
19. 匿名処理班
>>9
野生至上主義かどうかにもよるけど、犬猫鳥は余程酷い飼い方してなきゃ家の中はほぼ自由に動き回って窓辺で風に当たったり日光浴できるし、犬は毎日外を散歩してドッグランで仲間と遊んだりもできる
このチンパンジーはそれも無かったということでは
人間もいきなり大自然に放り出されても困るけど最低限部屋に開閉可能な窓くらい欲しいね
20. 匿名処理班
何回もこの動画見てる
言葉はないけど仕草や表情だけで感動が伝わる🥹
21. 匿名処理班
>>18
文字打てるように進化したんだね。
22. 匿名処理班
>>11
ペット実験動物を同一視されてもなあ
23. 匿名処理班
空には月がなかったか?小説のほうの『2001年宇宙の旅』の「月を見るもの」を思い出した
24. 匿名処理班
上を向いて目を見開き、大きく口を開けているところがとても印象的だった。
この先は幸せであってほしい。
25. 匿名処理班
まあヒト用の薬の臨床試験しようとしたらチンパンジーが一番近いからなあ
26. 匿名処理班
許せねえな邪悪な人間共
27. 匿名処理班
表情やしぐさから感情も知性が見て取れる
閉じ込められてどんなふうに思いながら過ごしてたんだろうと思うとしんどくなる
28. 匿名処理班
これ、下手したらブルーノみたいなことになっててもおかしくなかったよな
チンパンジーにも聖人…聖チンみたいな個体があるんやろな
29.
30. 匿名処理班
>>12
lemsipで検索すると風邪薬しか出てこなかったのでたすかる
31. 匿名処理班
>>11
どう考えても待遇は実験動物よりペットの方がマシではある