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アカゲザルの両性愛的特性は一般的。種の存続に有利に働くとする研究結果

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(著) (編集)

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 これまでも、動物の世界では、同性愛的行動が一般的に行われているとする研究結果をお伝えしていたが、最新の研究はアカゲザルを調査したものだ。

 英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームが200頭以上のアカゲザルを3年間観察したところ、ほとんどのオスが両性愛的特性(バイセクシャル)を持っていることが判明したそうだ。しかもその一部は遺伝的なものだという。

 子供を残すことができない同性愛は、進化論的には無駄なものに思える。それなのになぜアカゲザルのオスではこれほど一般的なのか?

 『Nature Ecology & Evolution』(2023年7月10日付)に掲載された研究では、そこに進化上の理由がある可能性を明らかにしている。

アカゲザルのオスを対象に同性愛的行動を観察

 人間だけでなく、野生の動物たちでも同性愛的な行動の目撃例が報告されている。

 だが、こうした行動は珍しいものと考えられていた。だがその常識は本当なのだろうか? もしかしたら、自然界ではごく一般的である可能性はないのだろうか?

 これを確かめるためにインペリアル・カレッジ・ロンドンのジャクソン・クライブ氏らは、2017~20年にかけて、カヨ・サンティアゴ島(プエルトリコ)に生息するオスのアカゲザル236頭を観察した。

 その結果、オスのほとんどが両性愛的(バイセクシャル)特性を持つことがわかった。

 72%のオス同士でマウンティングしながら交尾のような性的行為をしていたのだ。その一方、同じことをメスとしているオスは46%だけだった

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ダーウィンの進化論に矛盾した行動

 これは一見、ダーウィンの進化論に矛盾しているように思える。生存に有利な変異は保存され、生存に不利な変異は排除されるという理論から言えば、種の存続に関係のない性行動はすぐに淘汰されるはずだからだ。

 進化論では、子孫を残すうえで有利な特徴を持つ個体は、子供をたくさん作るので、だんだんとその有利な特徴が広まっていくと考える。

 オス同士で交尾をしても子供ができないのだから、アカゲザルのオスにこれほど同性愛が多いのは矛盾しているように思える。こうした進化論の矛盾を「ダーウィンのパラドックス」という。

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両性愛者のオスの方が子供をたくさん作っていた

 この謎を解くために、研究チームはオス同士の交尾が遺伝的な「適応度」を下げるのかどうか、つまり子供を残すうえで不利になるのかどうか調べてみた。

 その結果も意外なものだった。両性愛のオスの方が、たくさん子供を残しているようなのだ。

 だが、なぜなのか?

 この研究で観察されたのは、オス同士で擬似的な交尾をするオスたちは、ケンカが起きるとお互いに助け合うということだ。

 クライブ氏によると、これこそが「同性同士の性行為がもたらす社会的メリットの1つ」ではないかという(ちなみに同じような仮説は過去にも提唱されている)。

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サルの同性愛のごく一部に遺伝的要素を確認

 だとするなら、アカゲザルの両性愛は単なる気まぐれなどではなく、「進化的な裏付けがある」可能性もある。

 この研究では、アカゲザルの遺伝子を分析し、さらに1950年代半ばまで血統の記録もたどって調べている。

 そうしたデータからは、わずか(約6.4%)だが同性愛に遺伝的要素があることがわかっている。同性愛が遺伝子に関連している証拠が見つかったのは、人間以外の霊長類では初めてのことであるという。

 またこの分析では、オス同士の交尾における役割(マウンティングする側とされる側)にも遺伝子が関係するらしいことがわかっている。

 その一方で、アカゲザルの同性愛や交尾の役割に、年齢や群れの中の地位が関係ないことも確かめられたという。

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動物界における両性愛的行動の普遍性

 動物界において同性愛はごく珍しく、特定の環境のせいで作られたものとするた意見もあるが、今回の発見はその信憑性に疑問符をつけるものだ。

 研究チームのヴィンセント・サヴォライネン教授は、「野生動物を観察してみれば、両性愛や同性愛は普通であり、しかも進化上の利点がある可能性がある」と述べている。

References:Same-sex sociosexual behaviour is widespread and heritable in male rhesus macaques / Macaque monkeys are regularly ‘bisexual’ – and it might be beneficial to the species/ written by hiroching / edited by / parumo

追記(2023/07/13)本文を一部訂正して再送します。

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この記事へのコメント 31件

コメントを書く

  1. 近所でリードで繋がれ庭内を自由に動き回れるようにして飼われているオス犬がいるのですけど、毎日ではないものの地域の野良犬たちがマウンティングしてヘコヘコと腰を振っている光景を度々目にするんです。
    猿の同性愛とはまた違うかもしれませんが受ける側も同性愛を好む気質みたいなものがあるのですかね???

    • +1
  2. リアルでも女好きでがっついてる男性より、男性とも仲良くてちょっとお姉入ってる男性のほうがチヤホヤされるのと同じか。

    • -4
  3. 相手の性別なんてお構いなしに乗っかる(まあお下品)それが雌だったら子どもが出来る。チャレンジを続けるが子孫を残せる
    という身も蓋もない話ではなかろうか

    • +17
  4. アカゲザルの場合、ケンカのケガで命落とすよりは、仲直りした方が結果的に子孫を残すのに有利ということ。
    小規模な群れや家族で暮らす種の場合は、この方が有利なことが多いんだろうな。
    ボノボも確かそんな感じだよね。

    • +10
  5. マウンティングを同性愛と捉えるべきかは疑問だ
    群れの中で優位性を示すものなので
    子供を沢山作ってる強いオスはそりゃマウンティングしてるでしょう

    犬などもマウンティングをしますが
    全く関係無い犬以外の物に対してマウンティングする事もあり
    相手の性別に関わらず、マウンティングする個体内部の問題だと思われる

    • +6
    1. >>8
      この論文にはアカゲザルのマウンティングは上下関係に関係なく起きると書いてあるので、その意見は的外れ。
      (上位のサルが上になる頻度と下位のサルが上になる頻度がほぼ同率)

      つまりこの研究で観察されたマウンティングは優位性を誇示する行為ではないということ。

      • +5
  6. そう言う捌け口がなかったら子育て中のメスが常に渦中に晒される
    それだと命を落とす子供が増える事になるから…とかかな?

    • +5
  7. お目当ての♀に降られて、自分より若い♂を追うのは
    ほぼ自棄糞でやっているだけだとずっと思ってました💧

    • -4
  8. んじゃオスメス関係なく子孫作れるシステムに進化しないのはなぜだ?

    • 評価
    1. >>15
      卵細胞(細胞の量が多いけど一度にできる数が少ない)を作るか、精細胞(細胞の量が多いけどたくさん作られる)を作るかで、雄と雌と分けてる。根本を理解してないよ

      • +3
      1. >>21

        確かに理解してないけど、それでなんで同性愛が有効なんだ?
        って素朴な疑問なんだけど。

        • -3
        1. >>28
          記事によれば同性同士の交尾(っぽいこと)は
          絆を強めるスキンシップ的な効果があるみたいね。

          • +2
    2. >>15
      ミミズやカタツムリなど雌雄同体の動物は結構いるし
      魚類や無脊椎動物では性転換する種も珍しくない。

      ただ四肢動物ではそうした例は殆ど無いから
      そういう淘汰圧が働かなかったんだろうね。

      • 評価
  9. 動物にも同性愛・両性愛が普遍的にある!じゃなくて
    動物のなかではごく普通に、性別に関係なく行われている
    群れを円滑に維持していくシステムとしてのマウンティング行為に対して
    人間は同性愛・両性愛という意味付けをしたってだけのことではないんかね

    同性愛・両性愛の源流・起源なのかな?くらいはいえるかもしれんけど
    人間が言う同性愛・両性愛ってそこからかなり変化していて
    システムとしての擬似性交からはだいぶ隔たりがある気がする

    • +13
    1. >>19
      私も近い意見です。
      そもそも人間以外の動物達に『愛』があるのか、という所からしてう~ん?って感じです。(親子愛はありそうですが)
      愛というよりは『本能』だと思います。
      交尾に愛は必要としていないと。
      同性『愛』ではないのでは?と。

      • -7
      1. >>40
        日本語の字面に引きずられ過ぎ。
        愛があるかどうかは関係ない。
        日本語では同性愛、両性愛と翻訳されるけど(いい翻訳とは思わない)、英語ではHomosexualtiy、Bisexualityなのでもともと愛という意味ではない。
        同性への性的関心、という意味で考えればOK

        • +7
  10. 受け身の体験や適度の発散で雌の扱いが丁寧になったりもしそう

    • +4
  11. >72%のオス同士で交尾のような行為(マウンティング)をしていたのだ。また、メスのみと交尾しているオスは46%だけだった。

    これどゆこと?
    メスのみと交尾してるのオスが46%いるなら
    オス同士で交尾(っぽいこと)をしてるのは
    54%以下でないとおかしくない?

    • -4
    1. >>25
      >72%のオス同士で交尾のような行為(マウンティング)をしていたのだ。その一方、同じことをメスとしているオスは46%だけだった

      見ているサイトが違うのか…メスのみ、とは書いてないように見えるけどね
      例えばサンプリング対象のオスが100頭いたとすると、72頭はオス同士でしてたし、46頭はメスとしてた、単純にそのまんま(当然オスともするしメスともする個体もいた)

      • +2
      1. >>38
        記事の文が訂正されたっぽいね。
        「のみ」が消えてる。

        • 評価
  12. >ケンカが起きるとお互いに助け合うということだ。

    戦国武将に両刀使いが多かったのもこれが理由か。

    • +4
  13. 両性愛的な個体は個体同士の距離感が近くて友好的って聞いたことある
    同性は異性獲得に置ける敵と見なす個体より、性別問わずフレンドリーな個体同士の方が群れでストレス無く付き合えるし、
    何かあった時も協力的に動けるんじゃないかな

    • +12
  14. 種としての生存戦略として、そのような方法もあるということ。
    地球上には数えきれないほどの生物が棲んでいるからな。
    それが人間にも有効か、どうかは別の話。
    戦国時代などは、主従の男色など珍しい話ではなかったが、
    現代社会で、社長と部下が男色に耽るという話は聞かない。
    高度な社会になればなるほど、しきたり、慣習、文化、価値観は短時間で変遷するし。

    • -2
  15. ボノボも同様に両性愛行動をとるしケンカを回避している。
    つまり子孫繁栄のための性行為というよりコミュニケーション手段
    人類でも中坊なんか股間タッチとかやってるし

    • +4
  16. 「種の存続に進化的に有利」って言葉が未だにこの文脈でつかわれるとは…

    同性愛(に見える)のような種内で変異のある行動形質を引き起こす対立遺伝子が進化的に安定な頻度である場合、それは個体(ひいては変異的遺伝子)の存続に有利な状況であって、種の存続に有利な訳ではない。そんなものがあるならとっくに固定されて種内の全個体が同性愛となり絶滅してる。これはあくまで条件付きの戦略で、ベータオスが子孫を残すための次善の行動であり、その戦略の存在が社会性を複雑化させていることが面白い。

    • +1
  17. バイセクシャルというよりパンセクシャルに近いって感じなのかな。
    アカゲザルの性的志向、平和的に見えて個人的に好きだな。

    • +1
  18. 性欲が強すぎて男ともやってるってだけだろ。性欲が強い猿の方が多くの子供を残せるのは当然だしな。

    • +2
  19. >>
    それだとだけっていうか決定的に両性愛者で草

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