メインコンテンツにスキップ

最強生物「クマムシ」がヒトの命を救うかもしれない。特殊なタンパク質を利用し、医薬品を安全保管

記事の本文にスキップ

13件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 カラパイアに何度も出演してもらっている緩歩動物(かんぽどうぶつ)のクマムシは、地上最強生物として知られている。

 クマムシは、ほぼあらゆる過酷な環境に耐えることができる。さらに銃で射出され、砂に叩きつけられても死なないことが明らかとなった。

 クマムシの強さの秘訣は、極限の環境下では「乾眠(かんみん)」と呼ばれる休眠状態になれるからだ。

 クマムシはDNAの損傷を修復するための特殊なタンパク質を持っており、休眠状態下でも自分の細胞が壊れないよう体を守ることができる。

 米ワイオミング大学の研究者たちは、そんなクマムシのタンパク質を利用することで、冷蔵庫がなくても医薬品を保管できることを発見したそうだ。

 これまで届けることが難しかった国や地域にまで安全に薬を安運べるようになり、わたしたちの医療をさらにいいものにしてくれる、そんな可能性がある発見だそうだ。

極限状態を耐えるクマムシのスーパーパワー

 「クマムシ」は、4対8本のずんぐりとした脚でゆっくり歩く姿から緩歩動物(かんぽどうぶつ)、また形がクマに似ていることからクマムシと呼ばれている。

 およそ1000種以上(うち海産のものは170種あまり)が知られており、どれも小さく、体長1mmもない超小型生物だ。

 体は小さいが、そこには大きなスーパーパワーが秘められている。。クマムシは、高温、低温、真空、放射線、高圧、乾燥、酸、アルカリ、有毒物質など、あらゆる環境に耐えることができる。

 100度の熱さに耐えられるかと思えば、ほぼ絶対零度の凍える寒さにも耐えられる。それどころか、空気がなく強烈な紫外線が飛び交う宇宙に連れて行っても死なないのだ。

 その理由は、DNAの損傷を修復するための特殊なタンパク質を持っているからだ。

この画像を大きなサイズで見る
photo by iStock

クマムシの特殊なタンパク質を利用し、医薬品を乾燥保存

 そして今回、ワイオミング大学の研究チームが注目したのは、クマムシの乾燥に耐える力だ。

 ひどく乾燥したところでは、クマムシは「乾眠」というすべての代謝を停止させる休眠状態(仮死状態)に入って身を守る。

 このときクマムシの体はパリパリに乾燥してしまうが、そのかわりに特殊な「タンパク質」を作って、自分の細胞が壊れないよう守っている。

 研究チームのアイデアは、このタンパク質で暑さに弱い薬を守ろうというものだ。

 ワクチン・血液・抗体・幹細胞といった「生物製剤」は、生き物から作られるので、冷蔵庫に入れておかないとすぐダメになってしまう。

 たとえば「血液凝固第VIII因子」もそうした生物製剤の1つ。これは血が固まりにくい血友病の患者などに使われるが、ある意味な生モノなので保管するには冷蔵庫が必要だ。

 そこで研究チームは、まず血液凝固第VIII因子を乾燥させて、それからクマムシのタンパク質などを混ぜてみた。すると特に冷蔵庫に入れることなく、うまく保存することができたのだ。

 10週間後、その血液凝固第VIII因子を水分でまた元に戻しても、薬の効果はそのまま残っていたとのことだ。

この画像を大きなサイズで見る
photo by iStock

クマムシが医療や宇宙開発に貢献

 この冷蔵庫いらずの乾燥保存ならば、これまで薬を届けにくかった途上国や都市から遠く離れた地域にも、大切な薬を届けられるようになると期待されている。

 またそれだけでなく、地球から遠く離れた宇宙探査などでも、宇宙飛行士の健康を守ることができるようになるかもしれない。

 小さなクマムシには、我々人類を守ってくれる大きな力が秘められているのだ。

References:UW Scientists Use Tardigrade Proteins for Human Health Breakthrough | News | University of Wyoming / The world’s toughest animal could one day help save your life / written by hiroching / edited by / parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 13件

コメントを書く

  1. クマムシの対放射線能力
    人間に遺伝子移植出来れば良いのに
    火星とか確実に安全に行ける

    • +3
  2. こりゃ凄い。いままで医薬品の保存に莫大なコストがかかっていたから、これが実用化されたら薬品の値段が大きく下がる可能性が。早く実現してほしい!(既往症多数)

    • +10
  3. とりあえずはクマムシにあやかり、産まれてくるお子様の名前にどうかと

    • +2
    1. ※7
      コオロギはキャンペーンが下手過ぎる
      写真でもイラストでも実際の調理でも姿まんまはそりゃ拒否感出るだろうっていう
      なんならもともと海老や小魚だって拒否感出てる人いるのに
      嫌悪感出るポイントをヘッジしないでごり押すのは国家的パワハラだわ
      もっと嫌悪感でないようにデフォルメしたイラストで海老と変わらないよって売り込めば受け入れる人も増えただろうに

      • 評価
  4. 特別なタンパク質をあ~なた~にあ~げる~

    • +1
  5. コロンとした体つきといい手足のむっちり感といい
    クマムシってよくできた生き物だよなあ
    肉眼でみえないほど小さいのにちゃんとビジュアルが可愛くできてる

    • +3
    1. >>11 ほんと、誰トクだよね。ただ、次々と過酷な実験に使われて気の毒ではある。

      • 評価
  6. SFではよく出て来る粉末ワクチンもこれを使えば実現するのかな?
    薬が軽くなって冷蔵庫もいらないから輸送費も管理費も抑えられるのか。僻地や
    戦地医療にはかかせなくなるだろうね。
    実用化できれば何らかの賞を取るんじゃないかな?

    • +1

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

動物・鳥類

動物・鳥類についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。