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クマムシの不死身伝説に新たなる1ページ「銃で射出されても死なない」

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(著) (編集)

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 極度の乾燥、100度の高温、絶対零度近くの超低温、真空、高圧、高線量の放射線、これらは圧倒的な生命力で知られるクマムシが耐えてきたものだ。

 そのクマムシの不死身伝説に新たなる1ページがくわわった。銃で射出され、砂に叩きつけられても死なないことが確認されたのだ。

秒速825メートルまでなら銃で発射されても死なない

 クマムシの射出にはニ段式軽ガス銃が使われた。この銃は、まず通常の火薬で発射物を加速させた後、水素やヘリウムで加圧することで、最大秒速8000メートルまで射出することができる。

 凍らせて、代謝をほぼ止めて乾眠状態「樽(tun)」にさせた2、3匹のクマムシ(Hypsibius dujardini)をナイロン製の送弾筒に詰め、真空チャンバーに敷かれた砂めがけて秒速556~1000メートルで射出した。

 それからクマムシが樽から復活するかどうか観察すると、秒速825メートルまでなら生きていられることがわかったと、『Astrobiology』(5月11日付)で報告されている。

 ただし、さしものクマムシといえどかなり堪えるようで、射出されなかった個体に比べると復活までに時間がかかったとのこと。このことは体内にダメージがあったことを示唆しているそうだ。

乾眠状態「樽(tun)」のクマムシ

クマムシなら惑星との衝突にも耐えうるのか?

 ある意味リアルな鉄砲玉となってしまったクマムシだが、いったい何のためにこのようなことをしたのだろう?

 英ケント大学のマーク・バーチェル氏らがわざわざこんな実験をしたのは、生命が宇宙の過酷な環境を生き延びられるのかどうか解明するためだ。

 たとえば「パンスペルミア説」という仮説がある。これによれば、地球の生命は小惑星などによって宇宙から運ばれてきたのだという。しかし生命の種は本当にそのときの衝撃に耐えることができるのだろうか?

 実験で判明したのは、クマムシが耐えられる衝撃圧力の限界は1.14ギガパスカルということだ。これは太陽系惑星に岩石が衝突したときに生じる一般的な衝撃よりもかなり小さい。

 だが、地球や火星から火山などによって排出された物質が衛星(惑星や準惑星・小惑星の周りを公転する天然の天体)に衝突したケースならば、その衝撃はもう少し穏やかだ。その場合、母星の生命が衛星に運ばれることはあるのだろうか?

 火星から排出された物質が衛星フォボスに衝突するときの速度は秒速1~4.5キロ。クマムシといえどもこれに耐えられる可能性は低く、そこに宇宙線の追い討ちもある。ただし、ごく一部の衝突なら、クマムシにも耐えられるものもあるそうだ。

 これが地球から月へ排出されたものの場合、さらに生存率は上がる。衝突の4割は、クマムシにも耐えられる衝撃しか発生しないという。

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月にはすでにクマムシが住んでいる?

 2019年、イスラエルの月探査機べレシートが着陸に失敗し、月面に衝突した。じつはこの機体にはクマムシが乗せられており、その衝撃にも耐えて月面で生きているのではないか?との憶測が流れた。

 それに対する直接の答えではないが、べレシートが送信してきたデータからは、月面への衝突時、垂直速度は秒速134.3メートル、水平速度は秒速946.7メートルだったことがわかっている。

 今回の実験で秒速825メートルまでなら耐えることが判明したクマムシである。個体差もあるだろうから、クマムシが生存している可能性はゼロとは言い切れないのかもしれない。

地球外生命の捕獲のヒントに

 土星の衛星エンケラドゥスや木星の衛星エウロパは、太陽系の中で生命の存在が期待される最有力候補だ。

 これら氷の衛星からはときおり水蒸気が噴出している。もしここにクマムシのような生物が混ざっていたとしたら、それを生きたまま捕獲することはできるだろうか?

 探査機が衛星をフライバイしながら水蒸気を採取しようとする瞬間、そこには強い衝撃がくわわることになる。今回判明したことは、そうした生命が死なないように工夫を凝らすための貴重な情報にもなるとのことだ。

References:Tardigrade Survival Limits in High-Speed Impacts—Implications for Panspermia and Collection of Samples from Plumes Emitted by Ice Worlds | Astrobiology/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 48件

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  1. なんでそんなひどいことするの…
    でも助かってよかった、じゃあ次はミサイルの弾頭で試してみよっか!

    • +11
  2. なんか皆んな、クマムシの扱いが冷たくない… ?

    • +20
    1. ※4
      あいつら極低温にも耐えるからヘーキヘーキ

      • +2
    1. >>5
      生命が星に衝突して耐えられるか調べるためって書いてあるだろ

      • +5
  3. もうクマムシは地球外生命体で良いと思う

    • +11
  4. なんかかんか理由をつけては虐待されるクマムシさん…

    • +29
    1. ※8
      漫画亜人をおもいだしちゃったよ
      人間て相手が不死身としると酷いことするよね

      • 評価
  5. 月で仮死状態なら
    生きてるって言えないんじゃないの?
    植物の種みたいなもんでしょ

    • +2
    1. ※9
      仮死状態なら後から復活できるかもしれない
      人間が月に生身の状態で置かれたとしたら細胞がダメになる

      • +4
  6. クマムシ・ライブズ・マター(英: Kumamusi Lives Matter、略称「KLM」)

    クマムシに対する暴力や構造的な差別の撤廃を訴える、

    国際的な積極行動主義の運動である

    • +12
  7. なにをいまさら……じゅうでうってもしななそうなのに……しかもそくどせいげんつきとか……ざこめ……

    • -5
  8. 「射出されなかった個体に比べて復活に時間がかかった」・・・なんかわろてもうたわ

    • +7
  9. とりあえず次にゴジラが上陸したら、巨大クマムシ作ってぶつけりゃいいんじゃない?

    • +6
  10. クマムシの生命力より、銃で射出しようという発想がサイコっぽくて衝撃を受けた

    • +7
  11. 人間月に降りたら環境に適応して大繁殖したクマムシに襲われて復讐されたりして

    • +5
  12. クマムシさんになら何をしてもかまわないという風潮

    • +11
  13. 実験なのでいくら酷いことしても許されまーす

    • 評価
  14. 人間の手やら足やらで潰されても死なんの?

    • 評価
  15. 物理的な衝撃にはさほど強くないと聞いていたので意外な結果

    • +2
    1. ※29
      質量に比例するのが運動エネルギーだからクマムシの体が十分に小さいことで加速される瞬間の運動エネルギーをナイロン程度の柔軟性でも緩衝することができたってとこがミソだろうね
      同じ腕のスイングでもハリセンと金槌で頭殴ったらダメージ違うのと同じ
      自然な隕石の衝突のときなんか分厚い地面の上にいるわけだしもっと安全に宇宙へぶっ飛ばされるかもね
      逆にすりこぎとか爪の先とかでブチィってされたら簡単に死ぬんだろうけども

      • +6
    2. >>29
      それがね、踏んだら死んじゃうんだよ

      • 評価
  16. ねぇパパ、なんで地球全体がこれまでに生まれてから生き続けてるクマムシで覆い尽くされたりしないの??

    • +2
    1. ※30
      そうだね坊や、いつからクマムシに覆われていないと錯覚していた?

      • +5
  17.  最強かもしれんけどどういう需要があってどう利用するかはしらん。薬にしてのんだらその人は最強になるって事?

    • -3
  18. 生命力が強いということは、繁殖能力が低かったりするんだろうか?

    • 評価
  19. クマムシはそろそろ人類に対してガチギレした方が良いと思う。

    • +2
  20. クマムシマンというヒーローが生まれそうだ。

    • +1
  21. 昔懐かしの
    「もうやめて!クマムシのライフは0よ!」なパターン。

    • 評価
  22. 宇宙にほおりだされたクマムシが未開の星に漂着して最初の生物となってほしい

    • +1

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