
image credit:NashuaTelegraph/twitter
ビーバーの肛門付近の香りって未知すぎるだろ。外来種のカニを使った「カニ香るウイスキー」にもずいぶん度肝を抜かれたものだが、攻めの姿勢がうかがえるアメリカのタムワース蒸溜所では、ビーバーの肛門付近にある香嚢(こうのう)から得られる香料、「海狸香」を使ったウイスキーを販売中だ。
だいぶ特殊な香料らしいが、実際のところどんなフレーバーなんだろう?
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ビーバーの海狸香入りウイスキー「オードムスク」
ビーバーの肛門付近の香料入りバーボンウイスキー、オードムスク(Eau de Musc)を手がけたのは、アメリカのニューハンプシャー州タムワースを拠点とするウイスキーメーカー、タムワース蒸溜所だ。
image credit:tamworthdistilling
その香りの原料は、ビーバーの肛門付近にある香嚢(こうのう)という1対の袋状の器官だ。その中にビーバーが縄張り用のにおい付けに使う臭いの強いクリーム状の分泌物が入っている。ただこれを香料にするには乾燥や粉砕、抽出などの加工がいる。強い動物臭がある、うすめると芳香を発する。そうして得られた香料は、「海狸香(カストリウム)」と呼ばれ、主に食品添加物や香水のベースに使われる。

樹脂と革とベリー系の風味がほんのり
では海狸香自体はどんな香りかというと、主に樹脂っぽいような革(レザー)っぽい香りで、ビーバーの種によってはベリー系の香りもほんのりするらしい。実際このオードムスクに使われたのは北米のビーバーのカストリウムから抽出したフレーバーオイルで、「ラズベリーのような風味」があるそう。
うまいかどうかはさておき、一度飲んだら忘れられないようなクセの強い味なんだろうか?
気になるオードムスクのお値段は200 ml ボトルで65 ドル(約9,200円)。現在は蒸留所で販売中だそうだ。
This is House of Tamworth Eau de Musc. It's an actual, real-world whiskey that "uses the oil extract from the castor gland of the North American beaver, which exudes a leathery, raspberry taste, and acts to fortify the whiskey flavors."
— Brown Jug Alaska (@BrownJugAlaska) July 24, 2022
Would you try it? pic.twitter.com/arhdyLLJIO
海狸香の歴史は結構古い
日本ではあまりなじみが無いかもしれないが、ビーバーの海狸香の歴史は案外古く、大昔にカナダの先住民が作った加工品も見かっている。約6000年前のものと思われるその遺物の用途自体は不明だが、狩ったビーバーを食べる際に特徴的なにおいがする香嚢を発見したとみられている。
ジャコウジカから得られる麝香(じゃこう又はムスク)やマッコウクジラの腸内で生成される竜涎香(りゅうぜんこう又はアンバー)同様、北米などでは動物由来の天然香料としてわりと知られているそうだ。

photo by iStock
海狸香はバニラや果物の人工香料として使用されている
というかビーバーの肛門まわりを連想させる時点でかなり不利な気もするが、現場の声はどうなんだろう?タムワース蒸留所の蒸留責任者であるジェイミー・オークスさんは、このウイスキーのフルーティな香りに強く惹かれているもよう。
海狸香にはバニラやラズベリーに似た興味深い香りもあります。ベリー系のフレーバーが後を引く感じ。オークスさんによると、海狸香の用途は今も現役でアメリカでは、バニラ、ストロベリー、ラズベリーなどのフレーバーを高めるものとして、多くの食品に含まれているそうだ。
驚くぐらいおなじみのフレーバーです。なにしろストロベリーやラズベリーの人工香料として昔から使われてる香料ですから
一方で原料の調達に協力するのは、罠の名人でもある地元の猟師アントン・カスカさんだという。
アントンさんは捕獲したビーバーを余すことなく利用します。毛皮を販売して肉も食べます。残った香嚢は、他のビーバーを捕まえるルアーになりますなお海狸香は米国食品医薬品局が、蜜蝋やウシの肝臓抽出物と同様に一般に安全と認めている香料だ。
このウイスキーが食品の原料にまつわる話を盛り上げてくれますよ。今まで知らずに食べていた人もいそうですが
知ってしまった今ではどうしようもないが、私もいつかどこかでそうとは知らずビーバーの肛門近くの海狸香を味わってたんだろうな、きっとそう。TAMWORTH, N.H. (AP) — Beaver-flavored whiskey, anyone?
— The Telegraph & NashuaTelegraph.com (@NashuaTelegraph) June 12, 2018
A New Hampshire distillery has a new bourbon, Eau De Musc, flavored partly by the secretion from a beaver’s castor sacs.
Tamworth Distilling says the secretion, called castoreum, has a history of being used as a flavoring. pic.twitter.com/1EuCWjiyFd
てことでアメリカ土産にこのウイスキーとかどうだろう?現在は人気商品につき、品切れ中のようだが。
Eau De Musc - 200ml | Tamworth Distilling References:neatorama / cbc / tamworthdistillingなど /written by D/ edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
ビーバーがあいつらやべえよと引いているかもな
2.
3. 匿名処理班
”カストリ”ウイスキーと書けば、ナシ寄りのアリかな。
4. 匿名処理班
ボディショップの元祖「動物を使わないホワイトムスク!」のホワイトムスクはすごく爽やか甘い香りで好きなんだけど(ボディショップは反動物実験の先鋒であられるので)
そういえばホワイトじゃないジャコウネコやビーバーのムスクがどんな香りなのかしらないなぁ…Muskって言葉はだいたい男らしさって文脈で使われるから、やっぱメンズフェロモンなら香りなのかしら。
5. 匿名処理班
そのままだとインパクトが強すぎるから「ビーバー由来の天然香料を使用しました」とかオブラートにくるんどきゃ問題無い
知らなければ売り手も買い手もお互いハッピーエンドさ
6. 匿名処理班
”肛門”って言っちゃってる時点でもうひどい匂いしか連想できないんでやはりムスクとかほんわかした言い回しにしたほうがいいかもしれない
7. 匿名処理班
>>4
ムッワアアアアア
8. 匿名処理班
マッコウクジラの糞から採れる龍涎香を思い出した
9. 匿名処理班
成程、麝香と同じ部位なのね
肉と同じく草食動物だと良い香りになり易いのかな
10. 匿名処理班
知りとうなかった…
11. 匿名処理班
ビーバーも隠語かと思った
12. 匿名処理班
オナラの臭いの主成分であるスカトールも、もの凄く薄めるといい香りになって、香水に欠かせない材料だものね。
たいていの香水は、コウモンと関わりがあるんだぜ!
ビバ、ビーバー!
13. 匿名処理班
これは普通に飲んでみたい
香水が好きなんだけど、最近はどこも動物性香料使わなくなってるから興味ある
14. 匿名処理班
ちょっと飲んでみたいけど
なかなかのお値段
15.
16.
17. 匿名処理班
毛むくじゃらの娘フラワーの事を
ビーバーと言います
18. 匿名処理班
獣臭い以外の動物が持つ"香ばしさ"ってのがよく分からない、メイドインアビスのナナチが放つよく干したお布団の匂いみたいなものか?
19. 匿名処理班
同族の局部のみならず
他種族の肛門付近の匂いまで食品にするとか
人間ってホント変態だな!
20. 匿名処理班
薩摩治郎ハ『ぶどう酒物語』に、モロッコで灰色琥珀(アンバーグリス)入りのコーヒーを散々飲まされた話が出てくるが
香料だけでなく興奮剤・若返り剤としても古くから珍重されたんだとか
海狸香のお酒も何らかの薬効があるのかも知れない
21. 匿名処理班
>>18
まんま炒りナッツみたいな香り
ポップコーンにも近いかな