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未来の風力発電は、使用後に甘いお菓子に生まれ変わるかも

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(著) (編集)

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 地球にやさしいはずの風力発電だが、巨大なブレード(羽)に鳥類が衝突してしまうという難点があったが、他にも問題がある。ブレードのほとんどが埋立て処分するしかないのだ。

 そこで米国の研究グループが、地球にやさしくて、しかも甘い解決策を考案してくれた。

 彼らが開発した植物由来ポリマーなどを使ったブレード用新素材は、使用後は美味しいグミキャンディにリサイクルできるのだそうだ。

 新しいブレードとして再利用できるほか、家庭用の台所カウンターや車のテールライト、さらにはおむつまで、さまざまな製品にリサイクルできる。

 この研究は8月に開催されたアメリカ化学会(American Chemical Society)の学会で発表された。

環境にやさしいはずの風力発電の欠点

 グラスファイバー(ガラス繊維)製の風力タービンのブレード(羽)は、サッカー場の半分ほどの長さになることもある。そんな大きなものが、ほとんどの場合は使い終われば埋立て処分されてしまう。

 しかも、ブレードの廃棄はいっそう厄介なものになると予測される。

 なぜなら、ブレードが大きいほど発電効率が上がるため、今後ますます大型化するだろうからだ。また発電効率を上げるために、耐用年数がすぎる前に大型ブレードに交換されることもある。

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photo by Pixabay

植物由来ポリマーを組み合わせて作った新素材

 そこで米ミシガン州立大学のジョン・ドーガン氏らは、グラスファイバーに「植物由来ポリマー」と「合成ポリマー」を組み合わせて、新しいブレード用の素材を開発した。

 この熱可塑性樹脂で作られたパネルは、ブレードや自動車に使えるだけの強度と耐久性がある。

 また溶かしてグラスファイバーを取り除いてしまえば、新たにリサイクルすることもできる。リサイクルで生まれ変わった素材は、物理性能がまったく同じなので、再び風力タービンのブレードに生まれ変わらせてもいい。

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photo by Unsplash

お菓子のグミから、台所天板まで幅広い応用が可能

 この熱可塑性樹脂の最大の特徴は用途の豊富さかもしれない。

 たとえば、鉱物を混ぜれば人工石になり、家庭の台所用カウンター天板や流しなどに使える。

 粉砕してほかのプラスチックを混ぜれば、射出成型(プラスチック製品の7、8割がこれで作られる)することもできる。

 さらにリサイクルすると、より価値の高い素材にアップグレードしてしまう。アルカリ溶液で分解すると、「ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)」ができるのだ。これはアクリル製の窓や車のテールライトなどに使われる素材だ。

 また分解時の温度を上げてやれば、おむつなどに使われる「吸収性ポリマー」が出来上がる。

 さらにキャンディやスポーツドリンクに使われる「乳酸カリウム」を作ることまでできる。実際、ドーガン氏はこの新素材からきちんと食べられるグミを作ったそうだ。

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今後の課題は、材料の確保と心理的な抵抗感?

 今回、この新素材が風力タービンに使える性能であることが証明された。今後は、実際にこの素材から実験用のブレードが作られることになるはずだ。

 今のところの問題は、普及させるには原材料となる植物由来ポリマーが不足している点だけであるという。

 いや、きっともう1つ問題があるだろう。どんなに甘くても、元風力タービンのグミはちょっとと思う人も多いだろうからだ。

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 だが、ドーガン氏が言うには、「トウモロコシであれ草であれ、植物由来の炭素原子は、化石燃料由来の炭素原子と何ら変わりありません」とのこと。

 今回彼らが実証したのは、畑のバイオマスから丈夫なプラスチックを作り、それを食品に戻せるということだ。

 そんな壮大な炭素循環を意識できるグミならば、よりいっそう美味しく感じられるかもしれない。

References:Wind turbine blades could someday be recycled into sweet treats – American Chemical Society / Wind turbine blades could someday be recycled into sweet treats / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 20件

コメントを書く

  1. チキンフレーバーのグミになるわけだな。

    • +2
  2. 光劣化しないんだろうか?
    日本には竹が有り余ってるけどどうだろうね?

    • 評価
    1. >>3
      竹は乾燥すると一気に脆くなる
      だから建材には向いてない

      • 評価
  3. 心理的な抵抗感が課題ってのはわかる気がする
    グラスファイバーが混じってる可能性がゼロじゃない(と誤解してしまう?)グミとかやっぱちょっと怖いかも

    • +3
  4. 魔女の婆さんの「お菓子でできている家」はこういう仕組みだったのか。

    • +6
  5. 製作はゴディバとかにして売れば付加価値ついて風力の生産コスト下がるか?

    • +1
  6. 熱に弱そうに感じるがそうでもないんだろうか

    • 評価
  7. 普通に風力発電の羽として作り直すのは無理のかな?

    埋め立てしても土に還りそうな点は凄い。

    • 評価
    1. ※10
      記事中に
      >物理性能がまったく同じなので、再び風力タービンのブレードに生まれ変わらせてもいい。

      ってかいてあるよ。

      • +4
      1. >>17
        じゃあ食べる必要なくね?って話かと。

        • -1
  8. 再生利用できる素材は素晴らしいけど食べ物じゃなくてもw
    まぁそれだけ安全性が高いですよ、って事だろうけど。

    • +5
  9. よくある可能性の話
    採算が取れないからボツになりそう

    • 評価
  10. 低グレード建材にはならないんだろうか>今のブレード

    • 評価
  11. とにかく鳥さん保護のためバードストライクはなんとかしてほしい。じゃないと自然保護があべこべになっちゃう。
    オランダの風車はどうなのかな?参考にならない?

    • -1
  12. グミって言っても、本当に体に悪そうなジャンルのグミだよね?やはり、食べ物以外で、リサイクルをお願いします。

    • 評価
    1. ※21
      「本当に体に悪そうなジャンルのグミだ」とおっしゃるけど、「体に悪いグミ」の定義ってなにかわかってます?人工甘味料?着色料?ゼラチン?
      いつまでも「人工の添加物は悪い」という偏見で考えないほうがいいですよ。

      • 評価

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