メインコンテンツにスキップ

冤罪防止の切り札となるか?脳波から直接情報を引き出す捜査法

記事の本文にスキップ

25件のコメントを見る

(著) (編集)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 冤罪は法の執行に関わる者なら、絶対に起こしてはならないことだ。もしあなたが身に覚えのない事件に巻き込まれ、目撃者を名乗る人物に、あなたの犯行を見たと証言したらどうだろうか?

 世界の法執行機関は、目撃者による証言の信憑性の低さや、犯罪現場の物的証拠の少なさに大いに悩まされている。

 そして恐ろしいことに、目撃者の誤認が冤罪の要因であることを示す証拠はいくつもある。警察が物的証拠を得られる犯行現場は15%以下でしかなく、それゆえに目撃証言が重要視されることも1つの要因だ。

 だがもし脳から直接情報を引き出すことができれば、少なくとも冤罪を減らすことはできるかもしれない。嘘発見器より信頼性の高いこの捜査法は、すでにいくつかの国で犯罪捜査に採用されている。

誰もが冤罪になる可能性はある

 あなたがどんな善良な人物だったとしても、犯していない罪を証明することができず、冤罪になり犯罪者として投獄されるリスクはある。

 例えば、ケビン・ストリックランドというアメリカ人男性は、まったく身に覚えのない3人を殺害した罪で有罪となり、42年間も刑務所で過ごす羽目になった。2021年11月にようやく冤罪を証明し、無罪を勝ち取った。

 そもそも彼が1978年に無実の罪で投獄されたのは、目撃者の誤認が原因だった。

 この目撃者の証言によれば、事情聴取の際、彼女が見た犯人の顔はストリックランドと同じだったと証言するよう警察から圧力を受けたのだという。

この画像を大きなサイズで見る
photo by iStock

脳から情報を引き出す技術

 もしも当時、ウェスタン大学の故ピーター・ローゼンフィールド教授が開発した「コンプレックス・トライアル・プロトコル(CTP)」があれば、ストリックランドも冤罪になることはなかったかもしれない。

  CTPは「P300」という脳波を測定して、容疑者や目撃者が犯罪について何か知っているのか判断する信頼性の高い方法だ。

この画像を大きなサイズで見る
情報を認識していない人(左)としている人(右)の脳波の比較。情報を認識している人は、p300が強く出ていることがわかる。なおPzは、電極が頭頂葉皮質の半球正中線上に取り付けられていることを示す/image credit:Funicelli, et all, 2021

 学校や職場などで、誰かが自分の名前を口にしていれば、気になってしょうがないだろう。これは聞こえてきた音や目にしたものが脅威かどうかを判断するための生存機能だが、CTPはこうした反応を利用する。

 脳にP300が生じるのは、自分の名前や好きなアーティストの声など、本人にとって何か意味のある情報が入ってきたときだ。

 だから頭皮に取り付けた電極がこれを検出すれば、本人はそれを知っているということになる。

 犯罪の目撃者に犯人とされる人物の顔写真を見せたとき、もしもP300が発生しなかったとすれば、本人が「この人物を見た」と証言したとしても、実際は見ていないだろうと推測できる。

 CTPは、容疑者や目撃者が犯罪について本当に何かを知っているかどうか判断できるだけではない。検査結果と証言内容に食い違いがあれば、その人物を信頼できそうもないと判断することもできる。

 アメリカ、インド、ニュージーランド犯罪の捜査などでは、嘘発見器を含め「秘匿情報検査」としてすでに採用されている方法でもある。

この画像を大きなサイズで見る
photo by iStock

あってはならない冤罪を防ぐために

 CTPが使われていれば、ケビン・ストリックランドの冤罪を防げたのかどうかはわからない。

 しかし、警察活動の専門家であるティーズサイド大学のマイケル・ファニセリ氏は、脳から情報を引き出せるCTPは、法執行機関の重要な資産になるだろうと、海外メディア『The Conversation』で述べている。

 ただCTPには注意すべきこともある。最大の懸念事項は、犯罪に関する情報が世間にリークされてしまったようなケースだ。

 例えば、CTPの結果に基づき罪に問われた容疑者は、「目撃者はマスコミに報道された自分の顔を見たのだ」(だからCTPが反応した)と言い逃れできるかもしれない。

 このような状況を防ぐために、法執行機関はこれまでより厳格な情報の管理が必要になってくるだろう。

References:How your brainwaves could be used in criminal trials / written by hiroching / edited by / parumo

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 25件

コメントを書く

  1. 脳にP300が生じるのは、自分の名前や好きなアーティストの声など、本人にとって何か意味のある情報が入ってきたときだ。

    だから頭皮に取り付けた電極がこれを検出すれば、本人はそれを知っているということになる。

    無茶苦茶な理論だ

    本人はそれを知っているとは限らない
    それまで全く知らない音楽でも興味がわくだけで反応してしまう

    • -3
  2. 第三者の医療機関などで第三者立ち合いの元で計測が行われ、計測データの保存は裁判所に保存されるならいいけどなぁ
    質問する側の仕方次第で、質問者の期待できる回答を誘導できる気もするし

    • +12
  3. ゴミ収集車のオッサンが女房の考えを知りたくて
    ゴーストハッキングする時代までもう少しですね
    少佐…。

    • +4
  4. お!「秘密」だな!?

    っと思ったけど、あれは死後じゃないと使えないんだったわ…

    • +5
  5. 冤罪は防げるかも知れないが、脳の情報を‥‥‥

    あんな事やこんな事も知られてしまうのか。

    それはちょっと‥‥‥

    • 評価
  6. 警察のスゴーイ科学を警察自らのメンツを潰すような使い方しないでしょ。

    都合悪くなったら採用しないね。

    • -1
  7. 思い込みと、事実に基づく記憶を区別できるのかな?
    もし区別出来るなら、過去の虐待の記憶が蘇ったケースで切り札になりそうだが…

    • +6
    1. ※8
      記事の説明文を読んだ感じでは、
      圧力などによる故意の虚偽証言は判別できても、
      実際そこに居たのはAさんで、でも目撃者は当時から
      「おっ、Bさんじゃん。あんな所で何やってんだろ?」
      と思い込んでいた、みたいなケースでは、
      本人にとっては真実と変わらない“既知の事実”として反応しそう。

      当時は「おっ、Aさんだ」と正しく認識していて、
      時間が経ってから「たしかあそこで見たのはBさんだった」と
      記憶がすり替わった場合は(虐待の記憶捏造はこっちのパターン)、
      本人の表層意識では忘れていても
      脳に「あの日、あそこでAさんを見た」という反応回路が
      残っているなら、いけるのか…?
      そういう機能があるのかどうかに よりけりな気が。

      • 評価
  8. 冤罪というのは間違いで罪人にしてしまうことでしょ。
    日本の警察の場合は間違いではなく意図的に仕立てる方が多いので、こういうのも悪用されるんじゃないか。

    • +1
    1. 今の精度だとこれの結果を100%と信じるんじゃなくて判断材料の一つとしてくらいの使い方が妥当かもな

      ※10
      日本の警察が意図的に仕立てると分かる資料を提示してください。
      ただしどこかの誰と分かんないSNSの憶測じゃなくちゃんと真実と分かる資料です。

      • +2
  9. 警察の都合の良いように証人に言わせたんでしょ?
    だったらこの装置も、警察の都合の良いように使われるよ。
    意味がない。

    • +6
  10. 脳波から直接情報を引き出す……
    悪用が恐い技術だなあ。

    • +1
  11. 一番の問題は人間の記憶は自分は見た!と思っていても自分の脳が作り替えたものな事が多い事だからなあ

    • +5
  12. 汗を舐めて嘘を言っているか決めればいい。

    • +1
  13. YESの波形だけ検出すれば質問内容いくらでも捏造出来るよねこれ

    • +2
  14. > この目撃者の証言によれば、事情聴取の際、彼女が見た犯人の顔はストリックランドと同じだったと証言するよう警察から圧力を受けたのだという。

    ↑この時点で嘘発見器がどれだけ高精度だろうと意味がないwww
    何しろ警察のミスで冤罪になるではなく、警察の害意で冤罪になるんだから。

    • +1
  15. まあこれじゃ、裁判所は証拠採用しないわな。
    だから、捜査過程でこの証言・情報は正しいのか?という確認に役立てるって話か。

    • +1
  16. スーパーでスタッフのアナウンスが流れただけで、ビクつくわいはどうしたらいいの?

    • 評価
  17. 弁護士が強い米なら相当変わると思うが、恐らく日本ではほぼ変わらないと思う。問題の根底は推定無罪じゃなく任意有罪だからだし。

    • +1
  18. 墓まで持っていかなきゃいけない秘密が全部暴露だぞ
    政治家が許可する訳ないだろwww
    尚、政治家が犯罪者だって言ってるわけではありません

    • 評価
  19. 冤罪って、検察がこうと決めたらその方向へ持っていかれることが多いので、証人のみならず検察にも使って欲しい。
    やってないことを証明しろという、嫌疑をかけられた側は大変な負荷を負い、なんとか無罪を示すものを集めても、検察が握り潰して判事に渡さない。

    去年、友達が嵌められたのがこういう構造だった。

    誰か司法をなんとかしてくれよ…

    • 評価
  20. 異世界おじさんみたいに記憶の映像化の技術スキルが必要だな
    そこまでやれば証拠としては有用だろうが

    • 評価
  21. 全警察署に監視カメラとマイクを完備すれば解決しそう

    • 評価
  22. 警察官につけた方がちゃんと証拠が揃ってるのか
    無理やり犯罪者に仕立て上げようとしてるのか分かっていいね

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

サイエンス&テクノロジー

サイエンス&テクノロジーについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。