オーストラリアで新種の植物
 世界で2番目に大きな一枚岩、オーストラリアの「ウルル(エアーズ・ロック)」のてっぺんで、新種の植物が発見された。

 存在自体は以前から知られていたのだが、自生するイチジクの亜種だと考えられていた。

 「砂漠のイチジク」と名付けられたその植物は、オーストラリアの先住民にとってはとても大切な存在で、傷をつけると死刑に処せられることすらあったという。
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巨岩のてっぺんで発見された砂漠のイチジク

 『Telopea』(で発表されたその新種は、「フィクス・デセルトルム(Ficus desertorum)」と命名されている。”砂漠のイチジク”という意味だ。

 存在自体は以前から知られていたのだが、オーストラリア北部から中部にかけて自生するイチジクの亜種だと考えられていた。

 ところが詳しい調査によって、じつは別個の種であることが判明したのだ。ニューサウスウェールズ国立植物園のラッセル・バレット氏は次のように説明する。
オーストラリアの植物園で所蔵されているコレクションや、ヨーロッパの植物園にある歴史的標本を丹念に調べたところ、中央オーストラリアのイチジクの形態は、北部や西部のものとは違うことがわかりました

オーストラリア先住民にとっては大切な植物だった

 F. デセルトルムは、ウルル以外にも、中央部の「カタ・ジュタ(オルガ山)」や「カル・カル(デビルズ・マーブルズ)」といった高台でも見られる。

 幅が狭く厚みのある、滑らかな葉が特徴で、そこは鳥やカタツムリといった小さな生き物の隠れ家となっている。
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新種として認定されたフィクス・デセルトルム(Ficus desertorum) / image credit:Australian Institute of Botanical Science

 またオーストラリア先住民にとっては、食料や住居として、あるいはスピリチュアル的な意味で、非常に重要な植物であるという。

 「かつてはこの木を傷つけると死刑になることすらあったくらい、コミュニティにとって大切な存在でした。」
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新種として認定されたフィクス・デセルトルム(Ficus desertorum) / image credit:Australian Institute of Botanical Science

乾燥した砂漠を生きる技術

 イチジクは水を求めて長い根を伸ばすことで知られるが、砂漠のイチジクはその技を完成させているという。

 「岩の奥や地下深くの貴重な水へ向かって、崖の亀裂に沿って40メートルも根を伸ばすことが報告されています。オーストラリア中央部の乾燥した環境に耐えるための技です。」
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フィクス・デセルトルム(Ficus desertorum)を調査する研究者 / image credit:Australian Institute of Botanical Science

科学的な特定は種の保全にとって重要

 世界にはおよそ750種のイチジクが存在しており、そのうち3分の2はアジアとオーストラリアに分布する。

 だが広大なオーストラリアであらゆる植物の生息状況を調べるのはなかなか難しい。それでも今回のように科学的にきちんと特定された種なら、その追跡調査やモニタリングもやりやすくなる。

 それは種を保全するうえでも大切なことだ。

 「砂漠のイチジクは広範囲に生息しており、絶滅危惧種というわけではありません。それでも個体数が少ないために、気候の変化や局地的な火災などによって、近い将来影響が出る恐れはあります。」と研究者は語る。

References:Scientists make unusual discovery on Uluru - Scimex / Scientists Discover Unknown Plant Species Growing on Australia's Sacred Uluru / written by hiroching / edited by parumo
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2021年11月21日 21:04
  • ID:bn.0yS2T0 #

ウルルならなんか発見されても
不思議に感じないな

だってウルルが
不思議に感じだもの

ウルルの下というか地面掘った
全体像どんな感じなんだろうね?

2

2. 匿名処理班

  • 2021年11月21日 21:32
  • ID:KK63a2T90 #

オデ「イチジクたべるな!」

3

3. x卍たかし卍x

  • 2021年11月21日 22:05
  • ID:u3eDkmxu0 #

「オルガ山やデビルズ・マーブルズといった高台にもみられる」とある。
なるほど、これらもエアーズロックとほぼ同じような岩質だね。

4

4. 匿名処理班

  • 2021年11月21日 22:09
  • ID:u3eDkmxu0 #

※1
本当かどうかはわからないけれど地表に出ているのは全体の約5%程度らしいよ。
もし仮にそれが本当だったら、このウルルという岩山自体さらに不自然な印象を受けるね。

5

5. 匿名処理班

  • 2021年11月21日 22:09
  • ID:jiXQDD9b0 #

どう見てもユーカリの葉っぱにしか見えない...

6

6. 匿名処理班

  • 2021年11月22日 00:10
  • ID:msqFf3t.0 #

岩の上にいる男性の画像、動画かと思って押しちゃったじゃーん

7

7. 匿名処理班

  • 2021年11月22日 00:52
  • ID:FTprnK3m0 #

※4
何が不自然な印象なのか理解できない
ウルル以外にも巨大な一枚岩は世界各地にある
大昔に形成された岩が巨大な事はありうるし、それが巨大なままで残る場合もありうる

8

8. 匿名処理班

  • 2021年11月22日 09:32
  • ID:Whue1W9D0 #

アップの写真なら葉っぱは細いけど実はイチジクっぽいか…?ってなるが
引きで見ると伸びすぎたローズマリーかオカヒジキにしか見えない

9

9. 匿名処理班

  • 2021年11月22日 11:02
  • ID:p7.J5qwX0 #

※4
本文からwikipediaのウルル(エアーズ・ロック)へのリンクが貼られているよ。そこで形成過程が説明されている。図つきだからわかりやすいと思う。

>6億年前、現在ウルルがある地域は8000m級の山脈があったと考えられている[8]。その山脈を流れていた川は、山からふもとへ砂を大量に運び出し、扇状地を形成した。5億年前、8000m級の山脈は侵食を受け消滅したと見られている[8]。山脈を形成していた土砂は侵食によって流され、扇状地を覆って砂を砂岩へと変化させた[8]。4億年前に地殻変動が起こり、砂岩の地層は大きく褶曲して向斜構造となった[8]。長期にわたる雨や風などにより周囲の土砂は侵食を受けたが、硬い砂岩層は侵食の度合いが少なく地表に突出して表れ、7000万年前にはほぼ現在の姿となった。なお、地表部は全体の5%に当たる[8]。

10

10. 匿名処理班

  • 2021年11月22日 11:05
  • ID:wQoyt.gk0 #

世界ウルルン滞在記、かと思った。

11

11. 匿名処理班

  • 2021年11月22日 11:41
  • ID:nEsPqJeh0 #

新種は毎日発見されてるし、絶滅も毎日してる
岩の上とか不思議な場所とか関係なく

研究者が未知の場所で本気で調べたら、出てきて当たり前

12

12. 匿名処理班

  • 2021年11月22日 11:48
  • ID:7sKJP9JY0 #

※1
サララのことを思い出した

13

13. 匿名処理班

  • 2021年11月22日 13:22
  • ID:6XZRp.as0 #

>>1
一説によると、古代のリングが格納されてるらしい。

14

14. 匿名処理班

  • 2021年11月23日 01:07
  • ID:T.bWUB.10 #

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