いつも傍に寄り添って支えてくれている人が自分の妻であるという事実も、結婚式の記憶も失ってしまったのはアメリカ・コネチカット州に住む現在56歳の男性だ。
男性は数年前、若年性アルツハイマー(認知症)の診断が下された。その男性が妻に再びプロポーズし、2度目の結婚式を挙げたという。
男性の病の進行は早く、今ではその日の出来事も思い出すことができなくなってしまったが、妻は「それでもあの特別な日の最高の時間は存在していた。私たちは心と心が繋がっている」と前向きに語っている。
若年性認知症を患う夫が妻に2度目のプロポーズ
コネチカット州に住むピーター・マーシャルさん(56歳)は、数年前に若年性アルツハイマー(認知症)と診断された。ピーターさんは、12年間連れ添っている妻のリサさんのことを「妻」だと認識できなくなり、2人が結婚した記憶も失ってしまったという。
多くの記憶が失われていくピーターさんは、日々その現実と闘っているが、そんな夫をずっと支えてきたのがリサさんだった。
ピーターさんは、いつも自分を支えてくれるリサさんが大好きだった。
彼女が妻であるという事実を忘れてしまっても、ピーターさんはどれだけ自分がリサさんを愛しているかという気持ちだけは、決して忘れなかったのだ。
そんなある日、テレビで誰かの結婚式の様子が映し出されていたのを見ていたピーターさんは、リサさんに「僕たちも、是非やろう」と言ってきたという。
当時のことを回顧したリサさんは、このように話している。
私は、「やるって何を?」と聞き返したら、夫は新郎新婦が映ったテレビを指差して「結婚式だよ」と言ったんです。リサさんは、夫が自分と結婚した事実を忘れていることに悲しむよりも、ポジティブに受け止めた。
「あなた、私と結婚式をしたいの?」と聞くと、彼は大きな笑みを浮かべて「うん」と答えました。彼は、私が彼の妻であることを忘れてしまっているのです。
そして、このことを聞いたリサさんの娘は、偶然にも結婚式やイベントのプランナーを務めていることもあり、コネクションを使って素早く手配し、母の2度目の結婚式を叶える手伝いをしてくれたという。
心と心を繋いで一緒に病と向き合うリサさんとピーターさん
ピーターさんとリサさんの2度目の結婚式は、数か月前に行われた。
もちろん、記憶を奪われたピーターさんにとっては、この日がリサさんとの初めての結婚式だ。
2人は、この日素晴らしい記念となる1日を過ごした。
現在、ピーターさんは病が急速に進行していて、2度目の結婚式を挙げたことを覚えていないそうだ。Man With Alzheimer's Asks Wife to Marry Him After Falling in Love for a Second Time https://t.co/ntDOd27uUb
— NBC 6 South Florida (@nbc6) June 4, 2021
それでも、あの特別な日は確かに存在した。リサさんは、後のメディア取材で涙ぐみながらこのように語っている。
あの日は、私たちにとって完璧な1日でした。私は、世界で最も幸運な女性です。だって、愛する人と2回も結婚できたんですもの。
とても最高で、まるで魔法のようなロマンチックな1日でした。
ピーターが、あんなに笑顔を浮かべて嬉しそうにしていた姿を、もうずいぶん長い間見ていなかった気がします。
彼も、とっても幸せそうでした。
あの日、夫は耳元で「僕と一緒にいてくれてありがとう」って囁いてくれて…とても感動しました。
夫が、私の名前を思い出さなくなっても、私は平気です。私たちは、心と心がしっかりと繋がっているから、それでいいんです。
リサさんは、Facebookアカウント『Oh Hello Alzheimer’s』でピーターさんとの人生の旅を記録している。
治療法がなく、確実に進行していくこの病を支える者としての体験を、「時に辛く、でも常に愛溢れる現実」と表現し、毎日を前向きに受け止めているリサさんには、多くのユーザーからサポートと称賛の声が寄せられている。
Top image:Oh Hello Alzheimer's/Facebook / written by Scarlet / edited by parumo
あわせて読みたい
体は覚えていた。アルツハイマー症の元バレリーナ、「白鳥の湖」を聞いて踊りだす(スペイン)
車の運転で認知症の兆候がわかる。AIで運転データを分析することで認知症の発見が可能に
言葉を失っていたアルツハイマーのおじいさん、娘の愛犬を見たその瞬間、失われた言葉がよみがえった。
認知症になった90歳のおばあさんの心の支えとなっているのは、13年来の親友である猫だった。
4年以内のアルツハイマー病の発症リスクを高精度で予測できる簡易ツールが開発される
コメント
1. 匿名処理班
ハッピーエンド的な「明日の記憶」
2. 匿名処理班
素敵やねん
3. 匿名処理班
年一で親戚の集まりと結婚式やればいいべ
4. 匿名処理班
結婚の有効期限は24時間だけ、って決めたら、みんな結婚生活を維持する事に真剣になるだろうか?w
5.
6. 匿名処理班
大変なこともたくさんあるだろうけど、ここまで深く愛されるなんてとても羨ましいな、、。
7. 匿名処理班
悲しく切ないけどええ話やね
8.
9. 匿名処理班
これでも「結婚式なんて金の無駄、必要ない」なんて言えるのかよ!
10. 匿名処理班
……映画化を許可する。至急、取り掛かりたまえ。
(´;ω;`)
11. 匿名処理班
奥さんのインタビュー泣ける。
素敵なカップルだ。
12. 匿名処理班
泣いちゃうからやめろこういう記事
13. 匿名処理班
全米が泣くやつか。アメリカ人はこういうの好きだな。べたべたしすぎなんだよ。
14. 匿名処理班
いいちこのテーマ曲ながれてきたぞ・・・
15. 匿名処理班
健やかなる ときも病めるときも・・ なかなか出来ることやおまへん
16. 匿名処理班
自分もこの二人くらいに誰かを好きになりたい
17. 匿名処理班
人間は判断力の欠如によって結婚し
忍耐力の欠如によって離婚し
記憶力の欠如によって再婚する
〜アルマン・サラクルー〜
2番目のステップは無いけど法則からは外れてないな
18. 匿名処理班
こんな素敵な夫婦にも降りかかる認知症という恐ろしい病。
19.
20. 匿名処理班
アルツハイマーは進行すると自己の居ない時間が少しずつ増えていくらしい
若年性だからさらにむごい
先日一応承認の薬も発病して萎縮した脳は治せないし、一刻も早い治療薬の開発を引き続き祈りたい
21. 匿名処理班
普通の人にとって当たり前の毎日が
彼にとっては特別な毎日
22. 匿名処理班
夫に不治の病が発覚したときに、妻が一生添い遂げるのが美しいのか、
妻は妻自身の人生を生きる為に離れるのが正しいのか
前者は男尊女卑だと文句言う人が出てきそうだな
23. 匿名処理班
歳取ってなる認知症とアルツハイマーは
原因や症状が違うから治療法も違うらしいね
歳取ってなる認知症だと
男性は妻の事は最後まで忘れないけど
女性は夫の事は真っ先に忘れるらしいw
24. 匿名処理班
認知症はほんとに残酷な病気だよなぁ
25. 匿名処理班
>>22
他人が決める事じゃないて話よ
26. 匿名処理班
>>10
「君に読む物語」って映画をお薦めするよ
立場は男女逆だけどすごく素敵な話だから
27. 匿名処理班
※22
ケースバイケースだと思うよ。
介護の話と一緒で。
28. 匿名処理班
>>22
病気になる前の関係性が大事なのよ
病気になる前に良い関係でいたなら
一緒に暮らし続けていってもいいと思うし
既に愛も情も尽きていたなら
いちぬけです
29. 匿名処理班
医学が発達してこういう病が早く治せるようになるといいね
30. 匿名処理班
>>26
ありがとう。TSUTAYAに走るよ。
( ;∀;)
31. 匿名処理班
2度も好きになり
2度も結婚か
なんか愛とは偉大だな
と感じてしまう
32. 匿名処理班
私の頭の中の消しゴム……
33. 匿名処理班
どうせ忘れんなら時間も金もドブに捨てるのと一緒
34. 匿名処理班
残酷だけど、彼はもし治療されたら毎日妻を忘れていたことに絶望しそうだな
でも、彼にとっては毎日献身的な素敵な人と出会えるのだな
35. 匿名処理班
ボケるって寂しいなぁ…でも末永く何回でも結婚してやがれ。
似た話を思い出した。
honwaka2ch.livedoor.biz/archives/9700343.html
36. 匿名処理班
>>22
妻とか夫とか、肩書きじゃ語れない話だわ。
うちは夫婦仲10年でも良いけど、友達は半年で離婚したしな。
37.
38. 匿名処理班
※10
すでにありますよ。80代の夫婦が描かれていました。
39. 匿名処理班
悲観的な自分は「え、結婚式の思いでも、今までの結婚生活も、記憶から消えちゃったの…!?悲しい…」てなるけど、今もそれほど愛されていることを喜べるこの妻は素晴らしい性格だなぁと思う。
40. 匿名処理班
悲しいんだか尊いんだかよくわからん気持ちになった
41. 匿名処理班
奥さんの受け止め方も前向きなもので素晴らしい
映画化して良いレベルのお話
42. 匿名処理班
ボケても好きってことはよっぽど好みだったんだろうな。
43.
44. 匿名処理班
悲しいけれど素敵な話だなあ。うちの祖父なんて親身に世話をしている祖母を忘れ、他の女の名前を呼んだよ。ちょっとした修羅場だった。
45.
46. 匿名処理班
本物の愛だね…
47. 匿名処理班
幸せとは何か(人によって違うけども)を教えてくれる記事だと思った。