
それはミバエの脳を構成する2万5000個ほどの神経細胞が2000万のシナプスで結びついた姿を、3Dモデルによって可視化したものだ。
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脳の神経回路マップ「コネクトーム」
こうした神経回路マップを「コネクトーム」という。今回のものは、ミバエの脳の3分の1を対象としており、一部のプロセスを自動化した上で作成された。ミバエは脳が小さいわりには、求愛のダンスを踊るなど複雑な行動を見せるために、コネクトームを作成する際によく利用される。
そのために、まずミバエの脳の各セクションを人間の髪の毛の3分の1ほどの厚さにスライスする。
それから走査型電子顕微鏡でこれらを撮影。そうして得られるのは50兆ボクセル(3次元でのピクセルに相当)もの超高解像度データで、これをソフトウェアで処理しながら各神経細胞のルートをたどる。
ソフトウェアの作業を確認するのは人間の役割で、VRヘッドセットと専用の3D編集ソフトで2000万の結合ルートが数万時間かけてチェックされた。

コネクトームのメリットとデメリット
なお、専門家の間においてコネクトームは賛否両論だ。支持する立場からは、神経科学の大きな目標の1つである、特定の動作に対して脳が物理的にどのように関与しているのか解明する手助けになると評価される。
しかし一方で、実際には大きな成果を挙げておらず、作業に非常に手間がかかるおかげで、本来やるべき作業が滞り、無駄でしかないという批判もある。

人間のコネクトームが完成するのはいつか?
こうした批判にあるように、2年の歳月を費やして完成したマップは、ミバエの脳の3分の1の領域でしかない。ミバエの脳全体は10万個の神経細胞で構成されている。対して人間は860億個だ。つまり現状で考えるのなら、人間の完全なコネクトームが作られるのは当分先になるだろうということだ。
この点について、オープン・コネクトーム・プロジェクトの専門家は優れた技術の種がまかれてから、それが実際に科学的に役立つようになるまでには10年以上かかることがあるとコメントする。コネクトームが誕生して15年、ようやく科学ができるようになってきたのだそうだ。
なおデータはこちらで一般公開されており、マップ作成の手法についてもプレプリント版を閲覧することができる。
References:theverge/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
掃除機開けると出てくる
2. 匿名処理班
新宿駅の全路線を一筆書きにした感じにも似てる
3. 匿名処理班
昔は地図といえばゼンリンさんだったけど、今では地図(Map)といえばGoogleさんになってしまったね。
4. 匿名処理班
おれの脳みそもスライスしていいんで電脳空間で復活させてください!
5. 匿名処理班
そのうち機械が脳みたいに自分で回路を作り出すようになるかも
6. 匿名処理班
科学実験に出てくるfruit flyはショウジョウバエであってミバエではない
7. 匿名処理班
>>6
見栄えも違うよね
8. 匿名処理班
「マップを持ってポッドに入って下さい、では、転送します。」
9. 匿名処理班
同じ種のコネクトームと言っても各個体で性格が異なるように個体個体で微妙に違うんだろう。
よってその種をその種たらしめるには最低限どのくらいのコネクトームが必要なのか。人間に普遍的な部分はどれなのか。人工知能への応用を考えた場合でもそこが重要。
10. 匿名処理班
凄いと思う反面
侵襲的な手段しかこの精度は出せないのだと思うと複雑
11. 匿名処理班
>>5
ターミネーターかな?
12. 匿名処理班
※3
ゼンリンさんがgoogleに協力してたんやで・・・
協力関係終わって自前のやつにしたら、ほっそい生活道路とか表示されなくなって精度さがったんやで・・・
13. 匿名処理班
こういう研究が大事なんやなぁ