
しばらくすると、場所を奪おうと別のオスが近づいてきた。大きく逞しい奴だ。口のまわりにえらく鋭いトゲ状のヒゲをもつこのカエルは中国四川省、貴州省、湖南省の固有種である峨眉(ガビ)ヒゲカエル(Emei moustache toad)だ。彼らにとってこのヒゲは、バトルに欠かせない危険な武器となるのだ。
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Horny frogs fight with their moustaches
一部の例外を除けば、両生類は比較的穏やかな種が多い。カナダ、ゲルフ大学のキャメロン・ハドソン氏によれば、「戦いは通常はレスリングか、示威行動」でしかないという。しかし、ガビヒゲカエルは違う。一般的な両生類と異なり、オスはメスよりも身体が大きくなる。これはオス同士が戦う種に見られる特徴だ。
繁殖期になると、オスには唇の上に10〜16本のトゲが生えてくる。鉛筆の芯ほどの鋭さで、もしもこのカエルをつまみあげようものなら、このトゲで刺してくるものもいるという。


ハドソン氏のチームは、これまで2回に渡って中国四川省の峨眉山付近を流れる川の300mの範囲で、繁殖期のカエルの生態を観察してきた。その間、77匹のカエルにタグを取り付けて、岩場を占拠するカエルを毎日確認した。
7回の喧嘩を目撃し、うち5回を撮影した。推定では、その範囲では少なくとも14回の喧嘩が発生しており、負けたオスは岩場を奪われている。喧嘩は水中で行われる。オス同士は相手の腹めがけて頭突きをかまし、トゲを突き刺す。「相手を殺す場面は見ませんでしたが、喧嘩では多くの刺し傷を負うことになります」とハドソン氏。
オスに呼ばれたメスは、岩場の水で浸った場所に産卵し、オスが体外受精させる。用事が済んだメスはさっさと森の中へ帰っていく。オスだけがそこに残り、卵の世話をする。喧嘩っ早いが、子煩悩でもあるのだ。



オスがライバルの卵を世話しているのかどうかは不明だ。ただ、卵の数が増えれば、捕食者に襲われたとき、自分の卵が生き残る確率は上がる。それ以外にも、すでに卵を抱いているカエルなら優秀なオスだろう、とメスが考えている可能性もある。

こうした熱狂も突然終わりを迎える。3月初旬にもなると、メスはそこから引き上げてしまい、オス同士の喧嘩も収まる。トゲは抜け落ちる。そして、卵が孵れば、オスもまた森の中へ帰ってゆく。オタマジャクシは自らの力で生き延びなければならない。

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コメント
1. 匿名処理班
カエル→かわいい
ツノ→かっこいい
つまりこれこそがカッコカワイイ宣言・・・!
2. 匿名処理班
こういう部族いるよな
3. 匿名処理班
動画の、ナガレタゴガエルみたいに皮膚が伸びてシワシワになってるね
皮膚呼吸の効率を上げて長時間水中で戦うためか
4. 匿名処理班
つぶらな瞳と禍々しいトゲとのギャップがすごいww
5. 匿名処理班
このコのフィギュアが欲しい〜
6. 匿名処理班
パンクなカエルだな
かっこいい
7. 匿名処理班
防御ゼロのくせに無茶しやがって…
どうでもいいけど動画のBGM
チープ過ぎやしないか
8. 匿名処理班
カエル図鑑とか持ってるけどこんなの初めて見た。
めっちゃ尖ってるな。
9. 匿名処理班
なんとなくスティッチを思い出した
10. 匿名処理班
その内鬚の違う亜種が見つかる予感。
ダンディーであってほしいね。
11. 匿名処理班
また面白い装飾つけてんなあw
視界に入りそうだけど邪魔とは思わなかったのか
何かの拍子に目に入りそうでちと怖い
12. 匿名処理班
なんかえらそうだなw
13. 匿名処理班
他人…じゃなくて他蛙の卵に危害を加えないってところがいいな。
もし世話までしていたら完璧。
14. 匿名処理班
ヒャッハーって鳴くのかな?
15. 匿名処理班
立派な髭だなぁ
16. 匿名処理班
こんなカエルがいるのか
面白いな
17. 匿名処理班
ヒャッハー!
18. 匿名処理班
なかなか個性的なカエルだな
中国だからこいつらの繁殖できる自然が何時までも残ってくれることを願うばかりだわ
19. 匿名処理班
変な笑いが出る
20. 匿名処理班
ヒゲ部。