高機能自閉症の子どもと母親の暮らしを捉えたフォトシリーズ『Amye & Ahren』

　自閉症スペクトラム障害とは、広汎性発達障害を連続的にとらえたもので、自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群自閉症、特定不能の広汎性発達障害などが含まれる。

　スコットランドの住む写真家のサラ・エイミー・フィッシュロックは、グラスゴーに住む10歳の少年アーレンとその母親、エミエと知り合った。アーレンは2012年、8歳のときに高機能自閉症と診断された。言葉や知的な遅れがなかったアーレンは、診断が下されるまでに、そのとっぴな行動のせいで何度か転校を余儀なくされていた。

　写真家のサラ・エイミーは、日々の大半を家族や他者のケアのために費やしている人の写真を撮りたいと考えていたとき、共通の友人を介してエミエとアーレンに出会った。サラは当初、複数の家族を被写体にしたシリーズの制作を考えていたが、エミエとアーレンに魅了され、週に数回彼らの家を訪ねながら、ふたりだけを撮り続けた。 　撮影当時、アーレンは1日のうち4時間を特別支援教育学校で過ごしていた。その後も別の学校に転校したりしたものの、まだアーレンにとってベストの場所は見つけられていないという。結果的に、現在にいたるまで母のエミエがアーレンのケアをほぼ一手に担うかたちになっており、エミエは外に出て働くことができない。

　アーレンは、満足そうにしていたかと思えば、一転して激しく怒り出したり興奮したりする。学校や外でフラストレーションがたまれば、その苛立ちを家で爆発させる。そうした攻撃的な行動は、ほとんどの場合、母親のエミエに対して向けられる。サラは、親がひとりで自閉症児のケアをすることの大変さを目の当たりにした。 　サラは、アーレンについて次のように語る。「アーレンはとても頭がよくて創造性に富んだ子どもです。家のなかにある隠れ家スペースやおもちゃに独創的な工夫を加えるのがすごく上手。彼のお母さんも創造的なので、ふたりでいろんなものを作ることを楽しんでいるのがわかります。最近はコンピュータやゲームのマインクラフトに夢中なようです。また、アーレンは動物好きで、飼い猫のフェリックスや犬のブーマーと遊ぶのも大好き。自閉症の特徴として共感能力の欠如が言われますが、アーレンはちょっと違うような気がします。ただ、状況を読むことが苦手で、しばしば混乱する姿が見られます」 　サラは、撮影を通して学んだこととして、自閉症の人に接するときの心得をこうアドバイスしている。「とにかく相手の立場になって考えてみる、共感することが大切だと思います。障害のない人間は、怒った顔をした人を見れば、ああこの人は怒っているんだということがわかり、それに合わせて行動しようとします。だけど、自閉症スペクトラム障害の人はその関連づけができずに、ときに不適切な行動を取ってしまう。私は、アーレンがそんなふうに混乱した世界に生きていることに気づいたとき、彼が困難に立ち向かいながらも、知的で繊細で責任感のある人間になろうとしていることを心底尊敬するようになりました」 　自閉症協会によれば、世界人口の約1％が何らかの自閉症スペクトラム障害を持っているという。

via:.featureshoot・原文翻訳：mallika

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