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いじめはインターネットを介して幽霊のごとく取り憑いていく。子どものいじめ問題を描いたアニメーション作品「Troll- Shane Koyczan」

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(著)

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 イジメの犠牲となっている子どもは、いじめを受けていない子たちと比べると2.5倍以上の自殺願望があるという。

アメリカでは自殺は死亡原因のトップ3として挙げられている。女の子の方が自殺未遂率は高いが、実際に自殺をするのは男の子の方が多く、女の子の約4倍に達するという。

 日本でもいじめ問題はたびたび報道で取り上げられ、話題になる。しかし、よく使われる文化省の統計は、学校が認知した数にすぎない。(例:平成22年度のイジメの総件数ー77,630件)実際には、もっと多くの子が表に見えない部分でいじめに苦しんでいることだろう。

 アーティストであるシェーンは子供時代にいじめにあい辛い過去を送った。この作品は、インターネットなど社会環境の変化に伴ういじめの変化を、トロルというモンスターを通して描いたものだ。手描き風のアニメーションに童話仕立てでつづられている素晴らしい作品である。

 その昔、トロルは仲間と一緒に薄暗い橋の下に住んでいた。彼らの空っぽの胸には、刺々しいあばら骨があるのみで、心や感情などはどこを探しても見つからなかった。

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 橋の上の世界で人々が汗を流し働いている間、トロルはただ待っていた。何もしなくても、利益はやがて自分のところへ来ると知っていた。

 食べ物なら十分あった。人間というものを考察し、人々の希望を食べることにした。人の心を砕けば、自分の姿がよく見えてくる。自分を守る唯一の方法は、自分の存在が目立たないほど、世界を醜くすることだと信じていた…

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 トロルは痛みを、痛みと分からせない方法を学んだ。希望をおとりにして食べ物を集めた。まるで人々の感情を味わうかのように、僕たちの恐怖を食べ続けた。

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 そして毎晩、月が太陽を眠らせると、暗闇を案内役として世界に出かけて行った。手は鉄球となり物を破壊し、吐息は荒波となり人々を溺れさせた。頭上から岩を落とし、地面を揺さぶった。少年や少女たちはトロルを恐がり、助けを求めた。しかし、大人はトロルなんていないと言った。

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 そして、世界は変わった。しかし、トロルはまだ存在している。唯一変わったのは、住む場所が橋の下からインターネットの下になったということだけだ。昼も夜も関係なくなった。そこは奈落の底のように深く、誰もその底を見る事はできない。愛情という概念は闇に吸い込まれ、消えていった。

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 人々は救命用具に姿を変え、出来るだけ多くの者を救おうとした。お父さんは何も出てこないようにと、クローゼットの前で見張ってくれた。お母さんは何か潜んでいないかと、ベッドの下を調べてくれた。でも、どうしようもできなかった。どうやってトロルを退治していいのか、誰も分からない。

 トロルは日常生活にも忍び込んできた。

 ナイフのような舌を持ち、言葉で僕たちをズタズタにした。家にまで入り込み、自分自身をアップロードし始めた。コンピューターのスクリーンはトロルの目となり、ソフトウェアは骨となった。

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 憎しみを石に変え、美しいものめがけて投げつけた。まるで自分と異なるもの、自分のように醜くくないものは許さない、というように。

 火打石みたいな爪はキーキーと音をたて、良心というもの擦りむき、火をつけた。僕たちが火の標的になるように。有刺鉄線のような嘲笑いは、誰かが近寄るのを防ぐためではなく、僕たちを中に閉じ込めておくためのものだった。その声は銃声のごとく人々を撃ちまくる。その口が開くたびに、僕らは爆発で吹き飛ばされた。

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 すごい事でもないし、面白くもない。知らない人でも死に至らすことができる。それを見て…トロルは笑う。家族は、傷口を癒すための皮膚移植の方法を学ぶ。

 しかし、彼らは消えない傷跡となり、ずっと留まり続ける。人々の嘆きは紙袋に閉じ込め、 追悼式ではタバコを渡す。不幸にもトロルを発見してしまった人には、逃げ出される前に、首を絞める縄や、飛び降りる崖、薬を提供する。苦しみを賞賛し、悲劇をサントラにワルツを踊る。そして優雅に、人々の惨めさに浸っている。まるで、憎悪を巧みに扱う自分に世界が感心するとでも思っているように。

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 トロルは誹謗中傷、暴力行為に声援を送る。誰が一番醜くなれるかを競うレースのように、警察が設けたゴールラインを突き抜ける。そして、このビデオをさえ、キーボードを投石装置に変換させる道具としてしか見ていない。

 誰が一番先に誹謗中傷を書き込めるか競うように。彼らには、全てのメッセージボードが敵意を書き込む戦場だ。言論の自由は、残忍性の自由に置き換えられた。そして、完全装備したトロルの嫌悪は、いつでも暴動を起こす準備ができている。

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 僕たちはトロルを振り払えない、トロルが自分自身から離れられないように。トロルの精神は接着剤で、安物の壁紙のように殺意を貼り付けている。

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via:動画音声翻訳:melondeau

 トロルなんていない、と言われていた。トロルの存在はおとぎ話や逸話の中に消えたはずだった。しかし、もうごまかすことはできない。解決策を武器とし立ち上がる時だ。これ以上、僕たちの感情を貪り食わす事はさせない。

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この記事へのコメント 29件

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  1. 現代のことを的確に表しているね。
    これからどうなるのかな。

    • +1
  2. このように敵が例え概念的怪物であろうとも人外ならばどんなにいいか
    実際は人間がやってるんだよなぁ…
    最近年取ってきたせいか人類という種そのものに絶望的になるよw

    • +11
  3. 作品もいいものですし
    この声の人の朗読が凄くすばらしい。
    本当に感情が伝わってきて、途中の部分から鳥肌がたちました

    • 評価
  4. 荒らしのことをトロールっていうのにもかけてるのかな

    • +6
  5. 虐めは大人がやるもの
    それを子供が真似してるだけ
    だから子供をネットから遠ざけるだけでは無意味である
    本当に隔離しないといけないのは大人の方

    • +13
    1. ※5
      そのトロールはトロール網漁のトロール、要するに「釣りですたwwww引っかかってやんのwwww」の意
      橋の下の怪物とはあんまり関係がない
      しかしトロールの正体が人間であるとなると、いったい誰が大ヤギとなって怪物を打倒すのだろうか

      • 評価
  6. 今の時代の子供じゃなくてよかったと思う事は多々あるなあ
    特にLINEの返事が遅れたのが原因でイジメに発展するって聞いた時には心底そう思った
    良い面も勿論あるんだろうけど、悪い面も合わせて見るとやっぱ怖いよ

    • -8
  7. いじめについて深く語ると長くなるからやめておきますが
    でも一ついうなら、いじめは一つの自己対象だと思いますよ
    自己愛を満たすための行為 健全な自己愛の欠如から起きるものです

    • +20
  8. でも、ちょっとトロルが可哀相だと思った。
    結局人間がやったこと、それを架空の存在に置き換えるってのは何となく卑怯な気がする。
    怪物なんて存在しない全ては人がやったこと、そこに向き合わないと。

    • +1
  9. 苛めって生物の持つ残忍性その物なんだと思う
    DNAに刻まれた負の(?)感情、上手く働けば競争本能として
    文明を発達させる事もできるけど負の側面として
    人種差別なんてものを好き好んでやるから始末に悪い
    他者を中傷し偽物の優越感に浸るなんてのも
    日常茶飯事、人間に未来はあるのかな
    LINE苛めしてるやつはバカ本当のバカ
    証拠残るじゃん、アレ見てると
    苛めしてるカスの将来が心配になるアホレベル

    • 評価
  10. 面白い。「いじめ」という言葉も「トロール」も一見、深刻で恐ろしい問題を連想させない。例えば「子供による集団暴行殺人未遂・精神侮辱罪」とか「連続殺人鬼」とか表現したほうが重みも責任も伝わる。でも、このアニメーションはそれを逆手にとって、トロー
    ルの伝説を利用し、いじめをする人の心理を的確に分かりやすく表現している。
    『まるで、憎悪を巧みに扱う自分に世界が感心するとでも思っているように』
    思わずうなずいてしまったよ。

    • 評価
  11. 虐めは 絶対に 遺憾! 人間の することじゃない

    • +13
    1. ※11
      そうそう、自分の中にも「トロル」が居る、居るかもしれないという自覚から始めないと、悪者探しに落ち着くだけなんだよね。

      • +3
  12. まぁ大の大人ですらいじめをするわけで
    まずはそのあたりを考えてみてはどうだろうか?
    と、会社全員から挨拶すら返してもらえないおっさんから一言
    (社長まで無視し始めるとは思わなかったなw)

    • +2
  13. ネットが子供でも簡単に出来る様になってから、キレやすい人が増えた気がする。それは丁度、
    交通法規や危険性を理解出来ないうちに自動車を運転してしまうみたいな感じかな。
    子供だけではない問題とも言えそう。匿名をいい事に一方的に特定1人を実名公表と共に悪に仕立て揚げ、集団で攻撃を加える様な事象が最近多すぎる。

    • +5
  14. 今時はネット上でも苛めあって、動画あげられたりとか怖すぎる

    • 評価
  15. 形のない怪物はたくさんいる。こいつだけではない。だが、目に見えるものしか信じることのできない人間には分からない。目に見えなくともたくさんのものは溢れている

    • 評価
  16. 「自分が醜いと思うものは許さない」ではなくて「自分のように醜くないものは許さない」と表現されているのが上手いな

    • 評価
  17. 現代社会にあわせた、
    効果テキメンの戒めですねw

    • +2
  18. 人類が進化するにはその悩みの元となる感情に疑問を持つ事だ。

    • 評価
  19. “憎しみを石に変え、美しいものめがけて投げつけた。
    まるで自分と異なるもの、自分のように醜くくないものは許さない”

    • +4
  20. ネットって読みたいものが直ぐ読めたり買いたい物が直ぐ買えたりですんごい便利
    大人には便利、で終わるけど感覚が育ってない子供だと堪え性がなくなりそうだなと思った

    • +7
  21. 他の動物でもあるから人間に限ったことじゃないけど、いじめや虐待にあうと思考停止させられることが怖い。
    目の前の恐怖(と思い込まされてるもの)には何者も無力なんだなぁ。

    • +5
  22. いじめは悪い事って自覚している人は多いけど
    無くそうとしている人が少ないのが現状

    • +3
  23. いじめの被害は我慢して許すことはできる、しかし加害者がそのような悪行をしてしまうことを、止めることができなかったことが申し訳ない。
    苦悩や怒りは過去のものになっても、それだけが心残りだ。

    • 評価
  24. 地獄というものを具現化したのが、2chをはじめとする匿名掲示板だと思う

    • 評価
  25. 何したり顔でコメントしてるんだよ
    お前たちも悪意から逃れられないしお前達も悪意の塊だろう?
    もう全人類でトロールになるしかないんだよ、おれ達は光の国の住人じゃないんだよ
    悪としての自覚を持てよ、んでいつか来る善の勢力に蹂躙される覚悟を持つべきだ

    • +3
  26. >言論の自由は、残忍性の自由に置き換えられた
    これ本当にそうだね……
    書き込みはしないけど読んで楽しむことがあるから、私も気を付けよう……
    何故かいじめは 絶対に なくならないって思い込んでるのも問題かも。
    いじめを無くそうと動きもせずに初めから諦めてる。

    • 評価

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