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世界初!クモの遺伝子編集に成功、お尻から赤く光る糸を放出

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(著) (編集)

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クモが苦手な人に配慮したイメージ画像
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 いよいよスパイダーマンが爆誕してしまうのか?ドイツの研究者たちが、世界初、遺伝子編集技術を使って、お尻から赤く光る糸を紡ぎ出すクモを作り上げた。

 今のところ他に特殊能力はないが、鋼鉄より強靭とされるクモの糸がさらに強力になったスーパー・クモの糸開発のヒントにはなるかもしれない。

 本文では実際のクモとその赤く光る糸の画像を紹介している。

意外にも手付かずだったクモの遺伝子編集

 CRISPR-Cas9と呼ばれる遺伝子編集ツールは、さまざまな動植物に使われ、興味深い成果をいくつもあげてきた。ところが意外にも、クモにこの技術を使った事例はこれまでになかったという。

 ドイツ、バイロイト大学の生化学者トーマス・シャイベル教授は、「これほど多様な応用の可能性があるのに、これまでクモにCRISPR-Cas9を使った研究が一切なかったことは驚きです」と語っている。

 苦手な人も多いかもしれないが、クモは自然界の驚異だ。彼らは4億年の進化を経て、それぞれの環境に合わせて5万種以上に枝分かれてしてきた。

 そのバラエティの豊かさは、生物の”目”の中で7番目にランクするほど。

 またお尻から放つクモの糸もユニークだ。丸い網をはるコガネグモ科の仲間だけでも、7種類以上の異なる糸を使い分けており、それぞれに用途と特性がある。

 そうした中には、柔軟でありながら、引っ張る力に対する強度(比強度)が鋼鉄に匹敵するほど強力な糸もある。

 だからこそ、人類これまでどうにかクモの糸を有効活用しようとしてきたが、あまりうまくいっていない。

 それが難しい要因の1つは、クモの多くは縄張り意識が強いことだ。集団生活には向かないので養殖することができないのだ。

 だが合成クモ糸の技術の発展も目覚ましく、2023年の研究では、カイコの遺伝子を編集し、ケブラー繊維より強靭なクモの糸を作り出すことに成功している。

 それでもなお、のシャイベル教授らは、クモ自身の遺伝子を直接改変する価値があると考えている。

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Photo by:iStock

まずは目の遺伝子編集、そして糸へ

 そこでシャイベル教授らはまず比較的簡単にできる、遺伝子の除去(ノックアウト)を試してみることにした。ターゲットは、眼の形成に関係している「sine oculis(シネ・オキュリス)」遺伝子だ。

 そのためにCRISPR-Cas9技術を応用してDNAを編集するための溶液を作り、これをオオヒメグモ(Parasteatoda tepidariorum)のメスのお腹に注射する。

 するとDNA編集溶液は卵細胞に作用し、オスと受精後目のないクモの子が誕生した。これにより、クモの遺伝子編集が可能であることが確認された。

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a)CRISPRによる遺伝子編集の構成要素、b)これをクモに注入すると、クモの卵母細胞内の遺伝子が編集される
c)遺伝子が編集された子グモが誕生、/Santiago-Rivera & Schiebel, Angewandte Chemie, 2025)

 こうしてクモの遺伝子を編集するコツを掴んだところで、今度はクモの糸遺伝子の操作が試みられた。

 シャイベル氏らが狙いを定めたのは、クモの糸に含まれる主要なタンパク質「スピドロイン」を生み出す遺伝子だ。

 そのために前回と同様、メスのクモに例のDNA編集溶液を注射する。ただし今回は赤い蛍光タンパク質を作る遺伝子入りだ。

 その結果、生まれてきた子グモの中に、赤い蛍光を発する糸を紡ぐ子がいたのだ。これは遺伝子の除去ではなく、遺伝子の導入(ノックイン)に成功した証だ。

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赤く光る糸を紡ぐようになったクモ image credit:University of Bayreuth

 シャイベル氏は、「世界で初めて、CRISPR-Cas9で狙った遺伝子配列をクモ糸タンパク質に組み込めることを実証しました」と述べる。

 この成功は材料科学にとっては福音になるかもしれない。ただでさえ優れているクモ糸をさらにアップグレードできるとしたらどうだろう?

 もしかしたら、いつかは人間がビルの谷間を飛び回れるようなクモの糸だった誕生するかもしれない。

 この研究は『Angewandte Chemie』(2025年4月13日付)に掲載された。

編集長パルモのコメント

パルモの表情、普通

蜘蛛の糸というと芥川龍之介の小説が真っ先に思い浮かぶのだが、あれが遺伝子編集された赤く光ってしかも何人ぶら下がっても切れない糸だったら、カンダタだけでなく、地獄から全員這いあがってきちゃうわけで、それはそれでまた面白いストーリーが作れそうだな。

というか子供の頃、この本を読んだこともクモが好きな理由の1つになったりしてるんだ。というか幼いころから地獄に落ちる前提で生きてきた自分もどうかと思うが、クモを救い続ける活動は継続中なので、100本くらいの糸が垂れてくることを信じよう。

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この記事へのコメント 18件

コメントを書く

  1. 足が一本足りなくない?(サムネ)
    取れちゃったのかな 涙

    • +5
    1. 彼らは脱皮する時に再生するから大丈夫だよ
      8本中6本無くなった状態からでも、2~3回目の脱皮でほぼ完璧な状態まで再生する
      まさに生命の神秘だよ

      • +27
  2. 蜘蛛の糸はタンパク質だから、医療とかにも応用利きそう
    確か既に剛性の蜘蛛の糸を使用したジャケットが作られてなかったかな?

    • +14
    1. どうも世話が大変らしくて採算を取るのが難しいそうだ
      ただそれも遺伝子操作で糸の生産量が増えれば解決できるかもしれない

      • +3
      1. やっぱ生き物相手だから難しいね
        遺伝子操作の候補はやっぱりコガネグモ科が有力なのかな?
        捕縛時の糸の吐出量が多いし。ただアレは粘性の高い横糸だから、縦糸を吐くようにするところから始めないといけなさそうだけど

        • 評価
  3. 焼結したら炭素の単分子ワイヤーになるような糸は作れないものか

    • 評価
  4. クモにさえ赤い糸があるというのに、おまいらときたら……

    • +3
    1. 反対側に生命体が繋がっていないだけで、赤い糸だけならなんぼでもありますが、何か?

      • +8
  5. 蜘蛛の糸ってなかなか実用化されないね。

    研究してる人いっぱいいるけど、クリアし難い問題がたくさんあるっぽい。天然物だとカイコみたいな生産は現実的じゃないし、人工のものは商品化するほどの完成度に至らないとか。

    • +3
  6. まず「蛍光赤🟥のタンパク質を作る遺伝子」を用意するってのがすごくない?

    • +3

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