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史上初めてイカの遺伝子編集に成功(米研究)

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(著) (編集)

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イカの遺伝子編集に成功/iStock
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「アメリカケンサキイカ(学名 Doryteuthis pealeii)」は、1世紀以上も以前からモデル生物として利用されてきた。

 たとえば1940年代・50年代にはアラン・ホジキンとアンドリュー・ハクスリーがこのイカの巨大な軸索を使った実験を通じて、神経生物学の基礎につながる業績を残し、ノーベル生理学・医学賞を受賞している。

 今回の『Current Biology』(7月30日付)に掲載された研究も、アメリカケンサキイカが科学に貢献してくれた新たな事例だ。遺伝子編集ツールで、イカ色素沈着に関連する遺伝子を変更することに成功したという。

遺伝子を阻害してイカの色素沈着を阻害

 その研究では、遺伝子編集ツール「CRISPR-Cas9」がイカに効果があるかどうか確かめるために、色素沈着に関連する遺伝子を阻害するという実験が行われた。

 その結果、イカの皮膚細胞の斑点が最大9割も減少。色素が減少する量は、胚の発達のどのタイミングでCRISPRを挿入するかに直接左右されることが判明したとのこと。

 研究グループのキャロライン・アルバーティン氏によると、この成果は5年前なら「フフッと笑って、『できるといいわね』」と答えていたようなスゴいことなのだそうだ。

 つまりは、当時の専門家がおそらく無理だろうと考えていた偉業なのである。

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上が一般的なアメリカケンサキイカ。下が遺伝子編集をし、色素沈着(斑点)を取り除いたアメリカケンサキイカ

image by:Karen Crawford

遺伝子編集の革新的な新技法

 この研究では、CRISPRがイカにも有効であることを初めて証明しているが、より重要なのはそのときにCRISPRをイカの胚に送り込む革新的な手法が使われていることだ。

 アメリカケンサキイカの胚は、非常に硬い外層を持つことで知られている。そこで、研究グループは、それを突破してCRISPRを挿入するために、特殊な極小ハサミとクオーツの針を使用している。これが今回のブレークスルーにつながったのだ。

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最初の細胞分裂の前に異なるタイミングにCRISPR-Cas9で編集したアメリカケンサキイカは、それぞれに異なるモザイク胚となった

image credit:Karen Crawford
 ちなみにこの技法は、本来アメリカケンサキイカ向けのものではないのだそうだ。というのも、モデル生物として重宝されるイカなれど、生理学的に大きすぎて遺伝子の研究にはあまり向いていないからだ。

 むしろ「ニヨリミミイカ(Euprymna berryi)」という大きさ2センチ程度の、もっと小さなイカを使った研究に役立つだろうと期待されている。

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ニヨリミミイカ/iStock

複雑なイカの脳の秘密が解かれる日も近い?

 イカは複雑な行動をとることができ、また海の忍者と言われるような巧みな擬態能力をも持つ。

 こうした不思議な力をイカの脳がどのようにして制御しているのか? 今回の技術で遺伝子をブロックしながら調べていけば、そんな疑問に答えることもできるだろうとのことだ。

Highly Efficient Knockout of a Squid Pigmentation Gene: Current Biology
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(20)30985-4

References:news.uchicago/ written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 32件

コメントを書く

      1. ※7
        彼もしくは彼女にはイカなる未来が待ち受けているんでしょうね…

        • +4
  1. CRISPRがなんなのかwikiを開いても難しすぎてちいともわからない
    でも生物の細胞内の遺伝子の螺旋構造の〜DNAの配列の編集なんてことを研究して実際にいじっている人がいるのだなあとすごいなあという凡人の感想
    イカの子供が可愛いとかおもっちゃうのな

    • 評価
  2. これがヒディアーズ誕生への第一歩だった

    • +3
  3. 映画イカ・トルネードシリーズ爆誕!

    • 評価
  4. そのうち「~でゲソ」と喋り出すイカが出現するんだな

    • +4
    1. >>11
      インクを吐くイカも出現するぞ

      • 評価
  5. イカの子供がめっちゃ可愛い件について

    • +4
  6. そのうち「○○でゲソ」と喋り出すイカが出現すると予想

    • +1
  7. 斑紋が少なくなった個体、目が見えてなさそうだな。

    • +3
    1. ※15
      「アメリカ」の付かないケンサキイカは
      スルメとして食されています(※)ので
      多分美味しいと思いますよ。
      ※名前に反してスルメイカよりも
      ケンサキイカのスルメの方が美味しい。

      • +1
  8. イカ「丸見えでイヤーん 恥ずかしいっ!!」

    • 評価
  9. まっ白な方がイカにもイカらしく見えるかも知れんが、自然に逆らった遺伝子操作はやはりイカんと思うが、こればかりは私ら一般人にはイカんともしがたい。

    • +2
    1. >>21
      動物細胞に遺伝子導入することももちろん可能で、多くの研究で生かされていますよ!イカだけに🦑

      まだまだ問題は多いですが難病や遺伝子疾患の病気を治せる可能性があります。
      ウィルスベクターなどを用いるよりも安全な可能性が高いのでそれでもCRISPRは期待されいる技術です!

      • +2
  10. 寿命を延ばすことで、どこまで知性が発達するか見てみたい

    • +1
    1. ※22
      短命という弱点もなく知能もイカタコに劣らないオウムガイは終始ぼーっとしていてあまり賢そうには見えないので、寿命を伸ばしたイカタコもオウムガイのようにぼーっとしてしまうかも

      • 評価
  11. 目玉の色素も抜けてないか?

    研究も良いけど、黒くないイカスミパスタが食えるようになるのか気になってしまったよ。

    もし行けそうなら全力で宣伝すれば青山とか代官山あたりのおしゃピーで金持ちな連中がこぞって研究費を出してくれると思うぞやつらはきれいなお洋服を汚さずに食事することに命かけてるフシがあるからな(偏見)

    • 評価
  12. 決して、研究結果を疎かに、スルメい

    • 評価
  13. 更に美味しく改造されてしまうのか

    • 評価
  14. 10年後…そこには元気に侵略侵略侵略侵略侵略侵略するイカの姿が!

    イカがせめてきたでゲソっ!!

    • 評価
    1. >>30
      タコ「頭脳と触手の器用さでは負けん!」

      • 評価

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