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プロのボディビルダーたちの訃報が相次ぎ、健康リスクへの懸念が高まる

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(著) (編集)

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image credit:Pixabay
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 イタリアの新たな研究によると、プロのボディビルダーは突然死のリスクがアマチュアの14倍も高いことが判明したそうだ。

 筋トレや運動は体にいい。だが何事にも限度というものがあり、常軌を逸した筋肉を身につけるための努力は、人体、とりわけ心臓に大きな負担をかけているようだ。

 この結果を受け、アスリート・医療機関・スポーツ団体がこうしたリスクを無視することはもはや許されないと研究者は警鐘を鳴らしている。

 この研究は『European Heart Journal』(2025年5月20日付)に掲載された。

ボディビルダーの突然死のリスクを調査

 イタリア、パドヴァ大学をはじめとする研究チームは、世界初となる男性ボディビルダーにおける突然死のリスクの大規模調査を行った。

 2万人以上のボディビルダーを8年間追跡したところ、この間に73人が突然死していた。死亡時の平均年齢は42歳だった。

 死因の一部は、ステロイドなどの能力強化薬(いわゆるドーピング)や交通事故、殺人、自殺など多岐にわたったが、圧倒的に多かったのは突然死、いわゆる「心不全」によるもので、46件がそれに該当した。

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今回確認された突然死を死因別に分けたもの。心臓突然死(SCD)が半数近くを占める/Vecchiato et al., European Heart Journal, 2025

一流ボディビルダーの突然死リスクはアマチュアの14倍

 誤解のないように言っておくと、こうした突然死のリスクは、一般的なボディビルダーにとっては低い。ただトップレベルのプロ選手に限るのなら話が違う。

 彼らの突然の心不全リスクはアマチュア選手の14倍以上で、その危険性は競技レベルが高まるにつれて急激に高まる。

 たとえば、ボディビル最高峰の国際大会「ミスター・オリンピア」のオープンカテゴリーに出場した選手に限れば、100人中7人が突然死。そのうち5人が突然の心配停止により、平均36歳という若さで亡くなっているのだ。

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プロボディビルダーとアマチュアの経時的な死亡リスクを表したもの/Vecchiato et al., European Heart Journal, 2025

解剖結果が示す心臓への深刻な変化

 今回確認された心不全による突然死のうち、きちんと解剖して検査されたのはほんの1割程度だ。したがって、その詳しい原因や経緯といったことは不明だ。

 だがその背景には、「極端なトレーニング」「厳格な食事制限」「能力強化薬の使用」といった要因があると推測されている。

 パドヴァ大学のマルコ・ヴェッキアート氏は、「こうしたものは心血管系に大きな負担をかけ、不整脈のリスクを高めます。やがては心臓の構造を変化させる恐れもあります」と説明する。

 なお数少ないながらも解剖された心臓からは、いずれも左心室や心臓の肥大が起きていることがわかっている。

 2022年に発表されたアメリカの研究では、ボディビルダーの心臓が標準より74%重く、左心室の厚さは平均的な男性の125%に達していたことが報告されている。今回の研究も、こうした結果と整合的だ。

 こうした発見を受け、ヴェッキアート氏は、「医療団体はこの問題を無視するべきではなく、各競技関係者や政策立案者と協力して、より安全な競技を目指すべき」と警鐘を鳴らしている。

 鍛えられた肉体は美しいが、何事も限度があるということなのかもしれない。ちなみにハーバード大学の2022年の研究では週150~600分の運動がもっとも安全であることが示されている。

References: Male bodybuilders face high risk of sudden cardiac death, especially those who compete professionally / Mortality in male bodybuilding athletes

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この記事へのコメント 35件

コメントを書く

  1.  自転車でトレーニングしている身からするとそうだろうなと思います。 骨格筋(ボディビルダー含む一般的な運動で使用する筋肉)を鍛えてまた休息も必要なんですが、心臓は常に使われていてあんまり止まってもいられないわけですねw そして一般のダイエットする人では知らない人が多い感じですけど炭水化物(いわゆる糖質、ショ糖とかブドウ糖とか果糖とかね)は筋肉を動かすためには必ず必要なのでいわゆる低血糖になると脳みそも止まりますけど心臓も止まっちゃうのです。 自転車だと低血糖の状態だとわかりやすく脚が動かなくなりますが、ボディビルのほうはもしかするとわかりにくいのかもなと思うと心停止の危ない領域に入ったときにわからなくてという機序が思いつきます。 運動していればいわゆるスポーツ心臓になってるのでそこは脇に置いといて、突き詰めている人は多分自分の意思で危険領域に足を突っ込んでいて仕方ないかなと小並感です。

    • +40
  2. 過ぎたるは猶及ばざるが如し・・何にでも言えることだなあ

    • +39
    1. 本気でそうなんだと思うよ
      勝てるなら未来はいらないって言ってる動画があって衝撃を受けた
      その人はまだ存命だから長生きしてほしいな

      • +6
  3. まあ、あれだけ追い込めば体に良いわけ無いよなあ
    食事からして普通じゃないんだから

    • +41
    1. 特殊な食事で特殊な体を作るというのは
      力士なんかにも通ずるものがありそう
      お相撲さんも寿命短めなんよね

      • +22
  4. 自分が一方的に知ってるボディービルダーは喉に食べ物詰まらせて亡くなってた

    • +6
  5. 他の激しいスポーツと比較してどうなん?

    • +10
  6. 相撲取りの寿命は短いよね
    62歳ぐらいで日本人の寿命と比べてだけど

    • +25
  7. 凄い勢いで追い込んでるからやっぱり負担でかいんだな
    世の中なかなかうまくいかんものだね…

    • +10
  8. 健康のためにやってるわけじゃないからな
    己の道を追求してるんだよ

    • +20
    1. オリンピアンも、それにつきると思う
      (もちろん危険を周知の上でだけど)
      金メダルのためなら死んでもいいと思う人多いだろう
      自分はそれを否定できない

      一方で元女子フィギュアのタラ・リピンスキーが、金メダル獲得について「これからの人生を過ごす、愛する相手を見つけた事にはかなわない」と言ったりするのを聞くと、結局人それぞれなんだろーな

      • +7
  9. 適度な筋肉に軽く皮下脂肪が乗った体型が一番健康にいいらしいからね

    • +21
    1. 体脂肪率は低すぎるとそれはそれで抵抗力が落ちて逆に病気にかかりやすくなるからね
      だからプロアスリートは一般人よりむしろ病気に弱い

      • +17
  10. リスクについては、前世紀から言われてる事だし、やってる本人達も理解してやってるんだから、もっとこう同じ運動ならこちらの方が心臓への負担が少ないとか提言する方が建設的なんじゃないかなぁ。

    • +21
  11. 🦁 「ビルダーの肉は実は柔らかいのでうまそうだぞ」

    • -1
  12. 前聞いたことがあるけど175cmの人が付けて良い筋肉質な体重は85kgくらいだとか。プロになると120kg超えなんてあるからねある意味肥満体と変わらない、心臓にかかる負担は相当な物だろうね。

    • +20
  13. >だがその背景には、「極端なトレーニング」「厳格な食事制限」「能力強化薬の使用」といった要因があると推測されている。

    突然死を防ぎたいのなら危険な薬物に頼らない、安全な肉体作りにチャレンジしてみては。

    • +9
  14. 無理矢理筋肉を肥大させてるわけだから体に良いとは言えないよね…

    • +19
    1. つまり心肥大も同時進行するってことであると言えるよね
      心肥大は心不全の原因だね・・・
      トレーニングだけでなく材料であるタンパク質を多く取ることもリスクと言えそう

      • +7
  15. あの筋肉を健康的!と思ったことがなく
    むしろ不自然で不健康に見えていたから
    この記事に、やっぱりって感じです。
    ほどほどに。

    • +20
    1. 「サウナが直感的に健康行為に見えない」のが正しかったケースと似てるね

      あれやってることはただの脱水症状だから汗をかくなら
      楽をせずちゃんと運動(カラダをほぐ)しましょうという話

      • +14
  16. 体作り、体力作りのための筋トレとボディビルディングとは異なるのですよね。
    (小生は、健康な筋トレマンであります)
    ボディビルディングでやばいと思うのは、トレーニングそのものよりも、競技会を目指して行うあの過度な減量です。
    いくら筋肉を見せたいとはいえ、体脂肪率を数パーセントまで落とすなど、正気の沙汰ではない。
    でもって、大会が終了したら、今度は筋肉の増量期に入りますから、体脂肪は当然ある程度ついていく。そして、競技会のシーズンが近くなると、また極端な減量に入る。
    このような、増量と過度な減量の繰り返しが心臓に大きく負担をかけると言われています
    ギリシア彫刻における青年像やミケランジェロによるダビデ像のように、発達した筋肉の上にほんのりと脂肪がのった体の方が、筋肉標本のようなボディビルダーの体よりもずっと美しい。
    ボディビルディングの評価基準そのものを改める必要があると思います

    • +30
    1. 過度なダイエットとリバウンドを意図的に繰り返してるようなもんなんだよな
      心臓もそうだが肝臓もやられてるビルダー多そう、ドーピングしてるならなおさら

      • 評価
  17. 筋肉を鍛えても心臓は鍛えられないか・・・

    • +7
    1. 『ゾウの時間 ネズミの時間』という本で
      体の大きさや心臓の心拍数が寿命と関係していること
      そこからその動物の時間の流れを推察しています
      心拍数だけでなく心臓へ負担をかけることも寿命に関係するんだと思いますよ

      • +9
  18. 脳神経学の権威オリヴァーサックス氏も若い頃ビルダーで、闇雲にやってたから、中年になってから骨とか内臓とかがボロボロになって、「バカだったなあー」ってエッセイに書いてた。そんな頭がいい人すら中毒になるんだから怖い。

    • +18
  19. ボディビルダーでさえCOVID-19で死亡してるのか…

    • +1
  20. プロを目指して人生の全てを捧げていた元ビルダーです。リスク、犠牲、全て承知の上で選んだ道です。親しかったビルダーも2人、腎不全と心不全でこの世を去りました。40代でした。
    私自身も内臓が蝕まれていることは理解しています。それでも私は、自信を持って言い切ります。ボディビルに出会えてよかった、ボディビルダーとして生きれてよかった、素晴らしい人生だった。来世でも、絶対にボディビルをやりたい。人生において本当に大切なものは、自身の健康と、大切な人を愛するこただと思います。良い選手である以前に、良い人間であるべきなのです。そして、それら全てを噛み締めた上で、私はボディビルダーという生き方を選びました。後悔はありません。

    • +10
  21. 見せる筋肉を作る為の食事も
    ある意味偏食と言えるし
    コンテストの時は
    体脂肪率4%とかにする無茶をしてるから
    コンテスト最中の舞台袖で
    実はもの凄いふらついてる

    • +1
  22. 20~30年くらい前?のデータだと、平均寿命61歳ってのを見たことがある。
    50代の力士ほどではないが、各種スポーツの中でもかなり短命なほうだった。

    ただ、今はわりと早めにTKOをとるようになって、昔のような露骨にパンチ・ドランカーの後遺症が見られる選手は減ったように思うし、減量もあまりにも短期間に無茶をするのは避けて スポーツ医学の見地を取り入れようという風潮もあるから、変わってきている可能性はあるけど。

    • +8
  23. ごめん、プロボクサーの寿命のところにレスしたつもりだったけど、新規コメントになってた。

    • +3

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