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1000年の謎が解ける。タペストリーに描かれた幻の宮殿を発見

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(著)・ (編集)

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Credit: © The Society of Antiquaries of London.
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11世紀、イングランドの運命を決定づけた戦いがあった。フランス北部のノルマンディー公ギヨーム2世がイングランドに侵攻し、「ヘイスティングズの戦い」で決定的な勝利を収めた。

 この戦いで、イングランド最後のアングロ・サクソン人の王ハロルド2世が戦死し、王朝は終焉を迎えた。

 それから約1000年もの間、ハロルド2世の邸宅がどこにあったのかは謎に包まれていたが、最新の考古学調査によって、「バイユーのタペストリー」と呼ばれる刺繍織物に描かれていた場所が明らかになった。

バイユーのタペストリーとは何か?

 「バイユーのタペストリー」は、1066年のヘイスティングズの戦いを中心に、その前後の出来事を描いた長さ約70mの刺繍織物だ。

 「タペストリー(織物)」と名前がついているが、実際にはリネン(麻の布)にウールの糸で刺繍された作品である。

このタペストリーは、王や騎士、戦いの様子などを連続した場面で表現しており、今でいう「漫画」や「絵巻物」のような形式になっている。

 ヘイスティングズの戦いは、ノルマン人(フランス北部ノルマンディー地方に定住したヴァイキングの子孫)がイングランドを征服しようとした「ノルマン・コンクエスト」の中で、1066年10月14日に起こった戦いだ。

 この戦いで、ノルマンディー公ギヨーム2世(ウィリアム征服王)は、イングランド最後のアングロ・サクソン王ハロルド2世を破った。

 これにより、イングランドの支配層がノルマン系貴族に交代し、言葉や文化、建築様式などが大きく変わった。フランス語が貴族の間で使われるようになり、城や教会の建築様式もフランス風に変わっていった。

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バイユーのタペストリー。前半にはイングランドのハロルド王がフランスに向けて出発する前にボシャムで宴会を開く様子が描かれている。現在、フランス・ノルマンディー地方の「バイユー・タペストリー博物館」に展示されている Credit: © The Society of Antiquaries of London.

考古学的な謎解きが始まる

 バイユーのタペストリーの前半には、ハロルド王がフランスに向けて出発する前にボシャムで宴会を開く様子が描かれている。

 だが、ボシャムでのその場所がどこだったのか、これまで特定されていなかった。

 ニューカッスル大学の研究チームがエクセター大学と協力して、地図や古い記録を調べ、さらに地中探査ができるレーダー技術を使いながら邸宅の跡を探した。

 その結果、ある家の地下に、邸宅の一部と考えられる建物の跡が見つかったのだ。

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ボシャムの庭園遺跡の一部。最近の調査により中世の建物であることが確認された Newcastle University

トイレの痕跡が決め手となる

 この場所がハロルド王の邸宅とされる決定的な証拠は、2006年に行われた発掘調査で大きな木造建造物の中にトイレの痕跡が特定されたことだ。

 これは、当時の高級な建物にしかなかった設備であり、この場所が身分が高い人の建物だった証拠になる。

 さらに、この館の近くには、今も残るホーリー・トリニティ教会(11世紀に建てられた歴史ある教会)があることも判明した。

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ホーリー・トリニティ教会 Newcastle University

 貴族の館は、当時、教会のそばに建てられることが多かったため、この発見は王の館である可能性をさらに高めている。

 宴会が開かれた広間は、ホーリー・トリニティ教会も含まれる大規模な複合施設の一部だったと考える。

 この研究を主導したニューカッスル大学のダンカン・ライト博士は語る。

2006年の発掘調査でアングロサクソン時代のトイレが発見されたことから、現在の家はノルマン征服以前の上流階級の邸宅があった場所に建てられていることが確認されました

この決定的な手がかりとほかのすべての証拠を考慮すると、バイユーのタペストリーに描かれているハロルド王の私的な権力の中枢がここにあったことは、ほぼ間違いないと考えられています

 エクセター大学のオリバー・クレイトン教授はさらにこうつけ加える。

ノルマン征服後は、新たな支配階級がこれまでのイングランド貴族にとって代わり、アングロサクソン時代の物理的な遺跡は失われました

そのため、ボシャムでの発見は極めて重要です。征服以前のアングロサクソン人の家の痕跡を発見したのですから

 この研究プロジェクトの目的は、ボシャムのような貴族の中心地の起源と初期の発展を探り、イングランド全土に存在するこうした遺跡の考古学的証拠を初めて評価することだ。

 この研究は『The Antiquaries Journal』誌(2025年1月9日付)に掲載された。

References: Dx.doi.org / Archaeologists find ‘lost’ site depicted in t | EurekAlert!

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この記事へのコメント 19件

コメントを書く

  1. 遺跡になって発見されるかも知れないのでトイレは綺麗に使いましょう

    • +7
    1. 残留物があればそれはそれで当時の人たちの食や生活などもわかるので

      • +8
    2. でも、落とし物(意味深)が残ってた場合、落とし主(意味深)の健康状態とか生活環境が推測出来たりするし

      • +7
    3. 他の人も書いているけど実は”う ち”は考古学上は凄い重要だったりする
      考古学に限らず生物学やら古生物学でも重要。 化石なんて見つかったら結構なニュースになるレベル

      • +4
  2. 風呂場の痕跡はちょいちょい聞くがトイレの痕跡が決め手になるとはその発想はなかった

    • +5
  3. そのタペストリーは何年頃に作られたものなんだろう

    • +1
  4. 現実に存在しない絵を描いたりしたら 未来の研究者は必死に探してしまうのだろうか?
    こんな家あんな家あったらいいなって自由に書けなくなる

    • 評価
    1. 心配性にもほどがある
      その調子じゃ何も始められないぞ

      • +6
    2.  それは天が落ちてくるかもしれないと憂いた杞の国の人のような心配事ですね。 大丈夫、天は落ちてこないし、存在しない絵空事を書いても未来の研究者は楽しく研究しますよん❤

      • +2
  5. 祇園祭の山車に掲げられている古いタペストリーの謎も解いてほしい

    • +1
    1. あれはすでに多くの謎も由来も解明されている。

      • +1
    2. 『ギャラリーフェイク』にあったなあ

      • 評価
  6. 電子記録も便利だけど、ときどき粘土版やタペストリーに歴史を刻んでおくってのも意味があるんじゃないかな
    1000年くらいもつわけだし

    • +8
  7. バイユーのタペストリーと言えば、ハレー彗星が描かれてる事でも有名なんだよな。

    • +2
  8. ホーリー・トリニティ教会シンプルで綺麗だな

    • +2
  9. 「ヘイスティングズの戦い」

    名探偵シャーロック・ホームズにも出てきたような記憶がある、あれはBBCが作った方かな。

    • 評価
    1. エルキュール・ポアロ「ヘイスティングズは私の助手なのだが・・・(困惑)」

      • +5

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