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ニュージーランドの聖なる山が人に!人間と同等の法的権利が与えられる

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(著)・ (編集)

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Photo by:iStock
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 ニュージーランド北島にある聖なる山「タラナキ・マウンガ」とその周辺の山々が、法的な「人」として認められた。この決定により、この山は人間と同じ法的権利を持つことになる。

 今回の法律は、単なる自然保護ではない。

 この法律は、ニュージーランドが植民地化された際にマオリの土地が入植者に奪われた事実を認め、政府がマオリに対して行う補償の一つでもある。

山が人になるとはどういうことなのか?

 タラナキ・マウンガは、ニュージーランド北島で2番目に高い標高2,518mの休火山であり、山頂を含む周辺地域はエグモント国立公園に指定されている。ここは、観光客や登山者、ウィンタースポーツを楽しむ人に人気のスポットでもある。

 2025年1月30日にニュージーランド議会で全会一致で可決された法案によってタラナキ・マウンガは「テ・カーフィ・トゥプア(Te Kāhui Tupua)」という法的な人格を持つ存在として承認された。

 これは単なる象徴ではなく、「生きた存在」として法律上の権利や責任を持つことを意味する。

 この法的人格には、タラナキ・マウンガの本体だけでなく、その周囲の山々や土地も含まれる。

 さらに、物理的な存在だけでなく、精神的・文化的な側面も認められており、単なる自然保護ではなく、マオリの価値観に基づいた扱いを受けることになる。

 タラナキ・マウンガの「声」となるのは、新たに設立される管理組織だ。この組織には、マオリの地元部族から4名、そしてニュージーランド政府の環境保護大臣によって任命される4名の計8名が、山の管理と保護を担当することになっている。

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雪化粧をしたタラナキ・マウンガ Photo by:iStock

なぜタラナキ山は特別なのか?

 タラナキ・マウンガは、マオリにとって祖先そのものであり、生活の拠り所であり、死後の魂が帰る場所だと考えられてきた。

 今回の法案を推進したポール・ゴールドスミス氏は、国会でこう語っている。

この山は長い間、敬われる祖先であり、物理的・文化的・精神的な糧であり、最期の安息の地なのです(ゴールドスミス氏)

 しかし、ニュージーランドがイギリスの植民地となったことで、タラナキ・マウンガの運命は大きく変わることになる。

 だが、18世紀と19世紀にニュージーランドがイギリスの植民地となったことで、タラナキという名前を抹消し、山そのものを自分たちのものにしてしまった。

 1770年、英国の探検家ジェームズ・クック船長が船からこの山を見つけ、勝手にエグモント山と名づけた。

 1840年、マオリ族と英国王室代表は、ニュージーランド建国文書、ワイタンギ条約に署名した。

 この条約ではイギリスの統治を認める一方で、マオリの土地権利を保証するとされたが、マオリ語版と英語版の条約内容が違っており、すぐに英国は条約違反をし始めた。

 1865年、マオリ族が英王室に反抗した罰として、タラナキ山と周辺の広大な土地が没収されてしまった。

 その後の1世紀にわたって、英国の狩猟やスポーツ団体が山の管理に発言権を持つようになり、マオリ族は口出しできなくなった。

 「観光業が促進されるにつれ、マオリ族の慣習が禁止されたのです」ゴールドスミス議員は言う。

 だが、1970~80年代にマオリ族の抗議運動が盛んになり、ニュージーランドの法律でマオリの言語、文化、権利が急速に認められていくようになる。

 賠償事項には、2023年に署名されたタラナキの8部族との合意のほか、ワイタンギ条約の和解金数十億ドルが含まれている。

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現代のマオリ族の家族 Photo by:iStock

山はその権利をどのように使うのか?

 「今日、私たちのマウンガ、マウンガ・トゥプナ、つまりタラナキは不正、無知、憎し
みから解放されます」テ・パティ・マオリ政党の共同リーダーでマオリ族のデビー・ガレワ=パッカー氏は語る。

 「私たちは、誰も私たちマオリの絆を断ち切ることはできないということを意識しながら育ちました」

 山の法的権利は、その健全性と幸福を維持することを目的としている。強制的な売却を阻止して伝統的な利用の仕方を復活させ、そこに生息する野生動物を保護するための活動を可能にするためだ。

 なお、一般の立ち入りはこれまでどおり許可される。

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image credit:Pixabay

ニュージーランドには他にも法的人権を持つ場所がある

 ニュージーランドは、2014年に北島の広大な原生林テ・ウレウェラに人格を与え、自然物を人間と認めた最初の国だ。

 政府による所有ではなく、マオリ族の部族、トゥホエ族がその守護者になった。

 「テ・ウレウェラは古くから存在する、歴史が息づく自然の要塞で、その風景は謎と冒険と人里離れた美しさに満ちている」という書き出しで法律は始まり、マオリ族にとっての精神的な重要性をうたっている。

 続いて2017年、ニュージーランド政府は地元部族との和解の一環として、ワンガヌイ川を人間だと認めた。

 タラナキ・マウンガはこれらに続き3番目に法的人権が与えられた場所となる。

 タラナキ・マウンガの法的人権を認める法案は、議会議員123名の満場一致で承認され、傍聴席から鳴り響くマオリの歌「ワイアタ」の大合唱で迎えられた。 

 このような団結は、ニュージーランドの人種関係が緊張をはらんでいた中で一時の安らぎをもたらしたといえる。

 しかし、ニュージーランドではマオリの権利をめぐる議論が続いている。今回のタラナキ・マウンガの決定は、その闘いの大きな一歩となるだろう。

References: Taranaki Mounga: New Zealand mountain granted same legal rights as a person | Māori | The Guardian / A New Zealand mountain is granted personhood : NPR

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この記事へのコメント 22件

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  1. 罪滅ぼしの一環かねえ
    先住民を駆逐して建国したタイプの国はいずれ向き合うことになるんだろうな

    • +4
  2. 神聖な土地に人権を認めることは信仰と環境の保全の名分として悪くはないと思うんだけれども、仮にも人に敬われる存在を人の域に下げるような扱いをするのはどうなのかという気持ちは残る。法律上の問題かもしれないけど”それ”は”それ”として守ることはできないものか。

    • +4
    1. 多くの国の聖地では、
      国・地方自治体の公有地や、代々の領主家・宗教団体の私有地として
      問題なく管理できているからそれで良いのだろう。

      だが、ニュージーランドは白人移民が人口や政治権力の大多数で、
      たとえ今は伝統的な保全に理解を示していても
      数十年後にはまたどうなっているか、これまでの経緯を考えると
      盤石とは言えないと感じているのだろう。
      下手に白人移民が主勢力の国家所有などにしておくより、
      土地自体を法人格として固有の権利主体にした方が
      安全だと判断したのではないだろうか?

      • +8
  3. ようやく八百万の神様の思想に追いつき始めたか。
    全てのモノに感謝と敬意の心を持っているのに
    持ってない国から説教され続けて苦労してます。

    • +1
  4. 傲慢だな、人と同じ権利とか烏滸がましくない? 普通は神とか神域として敬意をはらって保護すべきじゃないかな。

    • -5
    1. 山が祖先そのものだっていうマオリ側の意向と、引き続きレジャーや研究に使いたいっていう政府側が折り合いつけるためにこうなったんだろう
      普通はただの山だよ
      地殻変動などで険しく隆起した土地

      • +5
      1. 地元部族って文句に疑問を覚えたんで検索してみたんだが、どうもNZ過疎化が深刻なんだそうな
        そもそも地元に人がおらん中で観光資源をどう守ってくかみたいなとこも焦点になってそうだ

        • +3
    2. 悪例で日本を出すと、神の領域?そんなもん知らねえわと
      産廃やらゴルフ場やら水源を汚染するものをポンポン作る
      人扱いなら、環境汚染する行為は法で簡単に取り締まりが
      容易になる
      今の時代神すら手を出すクズも多いので嫌な時代だ

      • +9
    3. 「人間と同等の法的権利」とか「人間と認めた」という言い回しだと
      なんかスピリチュアルなようだけど、
      legal person って要は「法人格」を付与したってことだろ?

      管理団体に法人格があってその所有物なのと、
      土地自体が法人格でその管理人を置くのとでは、
      後者のほうがより直接的に権利義務の主体になり得るし
      (保全用の資産を管理団体の意向で他に流用決定されたりしにくい)、
      名称権や名誉棄損などの人格権も持ち得る。

      • +13
      1. 「人間と認めた」という言い方が誤解を招いてそうだね。
        実際はイメージするほど「人間扱い」されるわけじゃない。

        • +5
  5. >一般の立ち入りはこれまでどおり許可される。

    人間と同等の法的権利が与えられるのが本当なら、不法侵入

    • -5
    1. 山さん「うえにのっていいよーずっとそうだよー」

      • +2
    2. 毎回言ってる気がしますが、記事をちゃんと読み込みましょう。
      記事の内容をちゃんと理解しましょう。
      脊髄反射的に書き込むのもやめましょう。

      • +4
  6. 「休火山」って久しぶりに聞いた。

    いつ以来の休眠状態なのかと思ったら、江戸時代ぐらいにも噴火があって
    小規模な火山活動は平均して約90年ごと
    大規模な噴火は約500年ごとに発生しているのか。
    (しかも、マグマが活発化して前兆が現れだすのは、噴火の数日前と急速。)

    大噴火の可能性はまだしばらく低いが、
    小噴火が起きる確率は今後50年で33~42%程度との見積り。
    富士山並みにはけっこう元気だな。

    • +1
  7. 会社だって法人だけど人ではないだろ…

    • +8
  8. 明確に法人としての山なんだね、会社を運営するように守護するんだね
    守護者とはどういう・・・感じなんだろう
    長なんだろうか・・・大名なんだろうか・・・

    • +3
  9. 先住民の聖域を法人格を認めて保護しやすくするという目的は分かるが法人格の拡張は悪手だと感じる。
    普通に所有権を認めるだけではうまくいかない事情があるんだろうけど…

    火山化して被害が出たら?損害賠償請求をその法人に対して起こすのを認めるのか?

    • -2
  10. 山は神たる地球の一部だから
    できものに人格を見るようなもの

    • 評価
  11. 要するに、勝手に入っちゃダメということだな

    • +2
  12. こんな法でも作らんと大事にできませんっていう事実が見えるだけだな。

    • -2
  13. 日本で人間以外に位階を授与するのと似たようなものかな?と思ったら歴史が絡んで難しい問題っぽいな…

    • +3

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