メインコンテンツにスキップ

今度はスペイン沖でシャチがボートを襲う。彼らの目的は何なのか?新たな説が浮上

記事の本文にスキップ

23件のコメントを見る

(著)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
Advertisement

 このところヨーロッパの海では小型の船がシャチに襲われるという事件が頻発している。つい最近では2024年8月25日、スペイン北西部の沖合でシャチが帆船に激突し、舵を損傷させ、乗組員1人が重傷を負った。

 シャチによる船の襲撃事件は、ジブラルタル海峡で15頭のシャチが起こした事件など、これまで何度か伝えてきた。

 報道によると、2020~2024年にかけて、モロッコ・スペイン・ポルトガルの沿岸部を中心に600件以上のシャチの襲撃が報告されているという。

 彼らがなぜ船を襲うのか?様々な憶測がなされているが、新たな説によるなら、シャチは船と遊びながら、狩りの練習をしている可能性があるという。

なぜシャチは船を襲うのか?

 なぜシャチは船を襲うようになったのか? シャチは知能の高い動物だ。遊びなのか?報復なのか?その理由は今のところ謎に包まれている。

 2023年5月に浮上した説では、シャチの防衛行動によるものだという。

 あるシャチが人間の船と出会い、何か嫌な思いをした。その後そのシャチは船の危険性を仲間に伝え、身を守るために船を襲うようになったのかもしれないという説だ。親が子に船の襲撃方法を教えている可能性もあるという。

 2024年5月には、クジラ類の専門家アレクサンドル・ゼルビーニ博士が、遊びの一環かもしれないと説明している。

 シャチたちは主にマグロを獲物としていているが、最近になってマグロの保護活動により、マグロの数が回復してきた。

 その結果シャチたちは狩りにかかる時間が減り、遊びに興じる時間が増えたため、遊びとしてボートを襲うようになったのではないかと言う。

 ゼルビーニ博士は、若いシャチが偶然舵に頭をぶつけたところ、舵が動くのが面白くて、仲間内で流行り始めたのではと推測している。

この画像を大きなサイズで見る
image credit:unsplash

シャチは狩りの訓練の為、船を襲うという新たな説が登場

 一方、ハンドウイルカ研究所(スペイン)の専門家は、また別の説を提唱している。それは遊びを通じた狩りの訓練ではないかというのだ。

 シャチは優れた海のハンターで、クロマグロのような大きな獲物ですら狙う。マグロ属最大のタイセイヨウクロマグロなら、全長4.5m、体重670kgにもなる大物だ。

 そんな大きな体で、時速80kmものスピードが出るというのだから、どんなに優れたハンターもクロマグロを捕まえるのは容易ではない。だからシャチには練習が必要になる。

 じつはクロマグロは大きな体のほかに白いお腹も特徴的なのだが、海にはそれに似た人工物がある。そう、船だ。

 このことからハンドウイルカ研究所の研究者は、シャチにとって人間の船は遊びながら狩りを練習するにはぴったりなのではないかと推測したのだ。

この画像を大きなサイズで見る
Photo by:iStock

遊びながら学ぶ動物たち

 動物は遊びながら、さまざまな行動の練習をする。猫の飼い主なら、子猫が遊びながら狩りのような行動をする様子を目撃したことがあるかもしれない。

 こうした行動はさまざまな動物に見られるが、シャチも同じことをしている可能性がある。

 これについて『Ocean & Coastal Management』(2024年6月18日付)に掲載された研究では、次のように述べられている

シャチの船との接触は、これらの知能の高い哺乳類に見られる遊び行動の表れかもしれない

遊びは、海洋哺乳類が認知的・身体的なスキルを伸ばすチャンスである

 シャチは生きるために狩りを学び、そのやり方を状況に合わせて適応させてきた。

 だから群れで協力してクロマグロを疲れさせることもあるし、人間の養殖場やはえ縄(船の後方に1本の縄を張り、そこからいくつもの枝縄と釣り針を垂らして魚を釣る漁具)を利用することもある。

 船を襲う(ように思える)シャチでは、撃ちつける・体で船を動かす・噛むなど、さまざまな行動が観察されている。

 彼らはこうした遊びを通じて、狩りのスキルを磨き、クロマグロ相手の本番に備えているのかもしれない。

 ただしこれはあくまで仮説であって、シャチが船を狙う本当の理由を解明するには、今後も研究が必要であるとのこと。

 こうした地道な努力が、いずれ人間とシャチにとって一番いい解決策につながることを願おう。

References: Killer whales habitat suitability in the Iberian Peninsula and the Gulf of Biscay: Implications for conservation - ScienceDirect / Orcas Strike A Boat In Spain As A New Theory Arises To Explain The Destruction | IFLScience

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 23件

コメントを書く

  1. 彼らがより狩りやすい獲物としてニンゲンを認識し
    それを子供に教えたらニンゲンは食料として認識される
    彼らの住処を通らない事だね

    • 評価
    1. サメを襲っても栄養価の高い肝臓だけピンポイントで食いちぎって他は捨てていくようなシャチがそんな非効率なことはしないよ

      • -2
    2. シャチは餌に困らない頂点捕食者だからね、人を餌と見る事はほぼ無いそうだ
      人間だって多少腹減った程度でその辺の虫を食ったりしない、人間はそれくらい餌として魅力が無い
      子供に教え学習させる程の遭遇率も人間には無いからね、アシカやアザラシが絶滅でもしない限りその心配は無いよ

      • -3
  2. これは合点の行く説に思います。 対して貨物船などの長距離移動するお仕事の船の船底は防汚塗料のため赤く塗られているものが多くシャチにぶつかられるとかなさそうで、色の違いかなと。
    今回の説にしろ、ほかの説にしろ船にアタックしていることには変わらないのでスクリューで怪我しないでほしい。 ってか学んでくれるといいな。

    • 評価
  3. 性格の悪いのって動物でもいる。
    それが群れで生活する動物で、増えたらたまらんよなあ。

    • +3
  4. 人間襲ったら恐ろしいことになるぞと
    殺傷力の無い手榴弾でも海に投げ入れたらいい
    痛い目見たらシャチは学習するからな

    • +1
  5. 単に船をマグロと誤認して襲撃しているってことはないのかな

    • 評価
  6. イカ娘が惨敗して帰ってきたので次はシャチ娘の出番です。前回は陸上戦闘で負けたから今度は海上戦だー。人間どもから海を取り返せー。

    • 評価
  7. シャチは馬鹿じゃないから間違えでは無いと思う
    今まで起こらなかった事が起きてるって事はクマと同じで人間が舐められ始めたのでは?
    昔の人間は多分シャチも狩ってたんじゃないか
    商業的に狩らなくても害になるなら殺したり攻撃してたと思う

    • +4
    1. それ。
      人間がむやみと野生動物を殺さなくなったので
      弱い生き物はヒトを頼るようになってきた
      釣り糸にがんじがらめになった亀さんがヒトに寄ってきて糸切ってもらったり
      アシカさんがシャチに追われてヒトの懐に飛び込んだり、とかね
      ノラネコさんなんて病院に治療にきたりするもんねw

      反面、強い生き物はヒトを舐めにかかってきてると思う

      • +2
  8. 昔はシャチにちょっかい出された漁師は報復してたんじゃない?
    でも今はそれが難しいから、徐々に人間を舐めだしてる

    • +4
  9. 電気銛でも突きつけるしかないかなぁ

    • 評価
  10. 鯨肉って実は殆どがイルカの肉だから
    鯨といいつつシャチの肉なのもあるかもな

    • 評価
  11. なんだ、復讐じゃないのか
    シャチがスクリューで傷付いたからかと思って開いたよ
    シャチじゃないけど、ザトウクジラがシャチに傷を付けられた事で後年巨大化してからシャチを防衛目的で追い払うケース(傷無しはやらない)があるそうだね
    それのシャチ版かと思ったんだ

    • 評価
  12. 電気ショックでも食らわせて分からせてやれ。

    • 評価

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

水中生物

水中生物についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。