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いったいなぜ?相次ぐシャチのボート襲撃事件、子供たちが親の行動を意図的に学んでいる可能性

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(著) (編集)

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 このところヨーロッパでは、シャチが人間の乗ったボートを襲撃するという事案が相次いでいる。彼らは船を見かけるとわざと体当たりしてきたり、船を操作するラダー(舵)を壊そうとしてくるという。

 2020年以来、ジブラルタル海峡では数十件にのぼるシャチの襲撃事件が発生しており、実際に船が沈没したこともあり、深刻な被害をもたらすことが多い。

 最近では親のシャチの行動を意図的に学び、同じように攻撃してくる子供のシャチの姿が目撃された。

 なぜシャチの間で人間のボートを襲うことが流行っているのか?その理由はいまだ謎だが、専門家によると、最初は防衛行動として始まったのかもしれないという。

最近の事件では、親のシャチの行動をまねて子供たちが攻撃していた

 シャチたちによるこの危険なゲーム過去数年間にわたり頻発しており現在まで続いている。5月4日の夜、スペイン沖のジブラルタル海峡で3頭のシャチがヨットを襲い、船を操縦するラダー(舵)が破壊された。

 この船の船長ヴェルナー・シャウフェルベルガー氏は、このときの出来事をこう語っている。

 「小さいシャチが2頭、それから大きいシャチが1頭いた。小さなヤツらは背中でラダーを揺らし、大きいヤツは何度も横からめっぱい船に突っ込んできたよ」

 このとき、シャウフェルベルガー氏は小さなシャチが大きなシャチの真似をする姿を目撃したという。

 「2頭の小さなシャチは、デカいヤツの行動を観察していてね。そいつらも軽く助走をつけて船に突っ込んできたよ」

 幸いにも船員はスペインの沿岸警備隊に救助されたが、船は牽引されてきた港の入り口で沈没してしまったという。

 じつはこの2日前にも、やはりジブラルタル海峡で6頭のシャチの群れが別のヨットを襲撃している。その船員によれば、母シャチが子どもにラダーの壊し方を教えているように見えたという。

Horrifying footage shows orcas attacking British couple’s yacht | New York Post

近年増加傾向にあるシャチのボート襲撃事件

 『Marine Mammal Science』(2022年6月8日付)に掲載された研究によると、こうしたシャチによる人間のボート襲撃が最初に報告されたのは2020年5月のことで、以降件数は増加傾向にあるという。

 昨年カラパイアでも、シャチによるボート襲撃に関するニュースを伝えが、なぜシャチたちがこのような破壊行動をするようになったのかはわかっておらず、流行のゲームの一種ではないかとの見方もあった。

 シャチが狙うのは主に帆船(ヨット)だ。彼らは船尾から近づいてラダーに攻撃してくる。そして首尾よく船を停止させることに成功すると、ゲームは終了する。

 この研究に携わったアルフレッド・ロペス・フェルナンデス氏がLive Science誌に語ったところによると、そのほとんどは被害が少なかったが、沈没した船も3隻あるという。

 またシャチが実際に接触するケースは、船100隻のうち、1隻程度であるとのことだ。

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ボートを襲撃するきっかけは防衛行動の可能性

 ロペス・フェルナンデス氏によると、防衛行動がきっかけでこの襲撃が始まった可能性もあるという。

 あるシャチが何かトラウマになるような出来事を経験し、それがきっかけでこのような行動をとるようになったというのだ。

 そして、それを目にしたほかの仲間たちが真似るようになった。

 最初の1頭でと目されているのが、「ホワイト・グラディス」と呼ばれるメスのシャチである。

 船との衝突や違法漁業の罠にかかったなど「決定的な苦悩の瞬間」を経験したことで、彼女の防衛行動スイッチが入ってしまった可能性がある。

 「トラウマを抱えたホワイト・グラディスが、ボートに体当たりし始めたのです」と、ロペス・フェルナンデス氏は言う。

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遊びなのか?攻撃なのか?

 そもそもシャチは社会的な生き物で、仲間の行動を学んで真似るのだという。

 だからシャチたちの行動は似ている。ほとんどのケースでは、船のラダー目掛けてまっしぐらに向かい、噛むか、曲げるか、破壊する。

 きっかけは防衛行動であれ、それが次々と広まって流行っていったようだ。

 ワシントン大学と非営利団体Wild Orcaのシャチ研究者であるデボラ・ギャイルズ氏はこう語る。

「シャチは信じられないほど好奇心旺盛で遊び好きな動物なので、これは攻撃というよりも、遊びの一環かもしれません」

 シャチがなぜ、人間のボートを襲うのか?それは意図的な攻撃的なのか、あるいは単に遊びの一環なのか、それとも何か他の原因があるのかは、これからの研究によって明らかになるかもしれない。

 しかし、この現象は間違いなく、シャチが他の個体の行動を観察し、学び、模倣する能力の高さを示しており、シャチの行動とその影響について、注意深く監視を続ける必要があるだろう。

References:Orcas have sunk 3 boats in Europe and appear to be teaching others to do the same. But why? | Live Science / written by hiroching / edited by / parumo

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この記事へのコメント 51件

コメントを書く

  1. 海峡を挟んで北のスペインは捕鯨反対国、南のモロッコは捕鯨賛成国らしいね
    もしモロッコが駆除に動きだしたら周辺国も巻き込んで面倒くさい事になりそう

    • 評価
  2. 船を沈没させれば新鮮なニンゲン肉が手に入ると理解すれば
    それを親子間で伝達されていき、人間=食料という認識が共通になっていく。
    欧州の過保護な政策がこういう事態を繋がってると思いますね。
    彼らが今攻撃的ではないのは、狩る労力に見合ってないだけであって決して友好的な動物ではない。

    • +6
    1. >>2
      シャチは超偏食なので、人間をおやつにする可能性は低いと思いますよ。

      • +3
      1. >>11
        逆に言えば人間しか食べないシャチが出現する可能性が

        • +7
      2. >>11
        食わないまでも「人間からかって遊ぶと面白いぞ」って学習する可能性があるよ
        現に「あいつらの乗り物にぶつかると面白いよ」まで学習してしまった

        • +5
    2. >>2
      今まで何万年も関わり合い持って生活してきて、一度も食べられた事無い意味考えた方がいい。
      陸上の猛獣は人間食べるでしょ?

      • -6
      1. >>17
        何万年前の記録は残ってないから
        一度も食べられたことないかは不明かと。
        記録に残る中では無いとされてるけどね。

        • 評価
      2. >>17
        単純に人間のほうが狩る側だっただけで、近年はそれがないためにシャチが人間を危険視しなくなっただけだと思う。

        • +7
        1. >>35
          えーと、人間もシャチはほとんど狩ませんが。

          • -4
          1. >>37
            捕鯨でないにしろ、危険な生物と認識させるには十分だよね。

            「捕鯨が広く行われていた時代には、仕留めたクジラ(鯨)を食いにやってきたシャチによる食害もあり、ノルウェーなどの日本以外の捕鯨国では、シャチ撃退用にライフルマンを雇っていたこともあった程だった。」

            • 評価
    3. >>2
      人は襲われてないでしょ?
      船を沈没させてるだけ

      偶然に船が沈没したのを見て、その方法を発見したシャチが
      自慢する為にみんなに見せて流行ったって感じ

      • -4
      1. >>39
        シャチが人を食べないのは今まで他のシャチが食べなかったから
        今回のボート襲撃の様になんらかのきっかけで人を食べる事になったらそれを他のシャチが真似するかもしれない
        食べるまではいかないにしろアザラシで遊ぶ様に人を傷付ける事が広まる可能性だってある

        • +2
        1. >>49
          シャチが人間食べない理由断定していますが、正しく無いですよ。彼らは何度も人間を食べられる機会がありましたが食べないのです。味を覚えたら食べるのでは無く、そもそも味を覚える事が無いのです。だから人間こら見たら食べ物が豊富にあるのに、食べれるものが無くて群れごと全滅とか普通にあります。
          彼らは貴方が考えているよりずっと頑固で繊細です。そしてそれについて調べる事も無く、陸上の我々哺乳類は節操ないから同じでしょうと思って、適当な持論展開しないでください。
          彼らについてはまだまだ謎だらけなのです。

          • 評価
    4. >>2
      いまは滅びたとされるシャチのD群の遺伝子引いてる可能性ありますよね
      人を好戦的に襲うやつら。昔の人たちとガチバトルで全滅したとされてる
      この記事には書かれてないけど難民の積載人員オーバーのやつのほうがひっくり返しやすいよね

      • +1
    5. >>2
      いい加減なことを言うなよ。何が過保護だよ。まさか、人間の介入が生態系の維持に必要なんて言うの?人間がいない時代が何万年かそれ以上にあって自然界が保たれてきたのに?

      • -1
      1. >>53
        自然界が保たれるってどういう意味なんだ
        人類誕生以前から数えきれないくらい生物種は絶滅してきたし、また誕生してきた
        自然界にバランスなんてない、常に変化し続けるもので、むしろ今の状態を維持しようとするのが人間の生存戦略のエゴだって気づけよ
        地球はそのときの環境に適した生物が反映するだけ

        • -2
  3. シャチが近付きたくなくなるような音波を出すとか、嫌いな味のするものを投下するとか方法無いのかなぁ。
    シャチ界で船アタックがバズっても困るよねー

    • +3
    1. >>3
      それやるとクジラや多くの生物にも多大な影響あるよ
      本当ならシャチ語で来るじゃねえーといえばいいけど
      今の人類はまだまだ進化してないからな

      • +1
    2. 鮫映画かよって

      >>3
      ボートがスミ吐いたり腹側を迷彩したり群れを成したりするようになるかもしれない。

      • +4
    3. >>3
      賢い動物は遊ぶから割とマジで、防衛でも狩りでもなくただ殺戮行為を楽しみだしそうやなぁ怖いなぁ

      • +5
  4. その内遊びで人間がオモチャにされかねないから人間に攻撃するとこうなるよって学習してもらった方が良いのでは…

    • +8
    1. >>6
      記事が本当ならそもそも人間が原因なんだが。
      逆に人間の方が学んだ方が良いのでは。

      • -4
      1. >>19
        記事のその点の書き方が根拠無さすぎる。
        動物を神聖視したいがために雑に人間のせいにするのは良くあることだし
        決めつける気は無いけどバイアスを疑う

        • 評価
  5. シャチって縄張りとか無いの?
    知らずに侵害してたら普通に追い出そうとか来るなとかしそうだが
    子育てしてるなら尚の事

    • 評価
    1. >>7
      シャチを捕食する他生物がいないのと、シャチの個体数が少なすぎるのもあって
      縄張り意識はおそらくほとんど無いと思われます
      彼らは海では自由気ままです

      • +1
  6. 「オルカーー?よーし、おるな!いくわ!」

    • +6
    1. >>8
      ギャグと本件の当たり屋オルカたちのウェーイ感を折り込んでて最高なんだけど
      西濃コピペっていつの時代でしたっけ……と考えてしまったわ

      • -1
  7. この悪ふざけ?の廃りが早く来て、彼らが傷つけられるようなことがこの先ありませんように……。

    • +2
  8. これは人間様に歯向かったらどうなるか教え込んでやらんといけんな…
    船底にトゲトゲを付けろ!

    • +3
    1. >>13
      進むのにメッチャ水の抵抗ありそうw

      • 評価
  9. これがたけし城の新しいアトラクションですか?

    • -1
  10. 子は親の背中を見て育つ
    生き物の神秘ですね

    • 評価
  11. 虐待とかそういうことを抜きにして
    シャチのような巨大でパワーも強く素早い生き物に対して、現代の技術力でどれほど対抗できるのですかね?
    魚雷による雷撃を考えると
    速度はシャチが時速56キロ、魚雷は短魚雷で時速約70キロで有効射程は最長で7.8km程度らしいので、届かせることはできそうですが、小回りの利くシャチにうまく命中するのかどうか、といったところでしょうか?
    底引き網で文字通り一網打尽、といくのも、あのパワーと重量の群れを引き上げられるのか、そもそも1000mは潜れると言われるシャチを網で追い込めるのか、という懸念もあります。
    やはり音響装置や局所的な電撃装置など、追い払うのが精一杯なんですかね。

    • +2
    1. >>21
      海上戦ならぬ海中戦なら、シャチはおろか、たぶんカジキマグロにも勝てないと思う。
      もちろん、真っ向勝負じゃなくてなんでもアリなら人類のほうが圧倒的に有利だけど、ヨーイドンではどうか…。
      触れてる通り音響兵器はかなり有効かも。実質聴覚を周辺把握の感覚に使ってる彼らにとっては水中フラッシュバンみたいなもんだ。音響出力を上げれば簡単に気絶まで持っていけそう。

      • +4
  12. 人間攻撃したら10倍返しで狩られると知っていた世代が減って、アイツラ弱いやーんウェーイする新世代が台頭してきたんだろうなぁ。

    • +14
  13. 欧米の鯨漁は群の鯨を発見したら先ずは子供を銛で撃つ
    その子供を助けようと戻ってくる親を撃つ
    これを母船+多数の小型船の方式で行っていた
    故に鯨は小型船を敵と認識して小舟を見るとひっくり返すようになった
    というのが名作小説の白鯨のモデル

    今度は漁では無いんだろうけど野生動物との距離が近すぎるとこういった悪習を野生動物に学習させることになる
    可愛い友好的な野生動物素晴らしいんだーいって近寄って餌やりするなんて全て逆効果

    彼等を尊重して距離を取ることが重要だったのに

    • +5
    1. >>25
      日本の古式捕鯨でも、まったく同じことやってたんだがな。各地の舟歌には「子持ち」上等って記述がかなり多いよ。

      • +1
  14. シャチは頭良いから人間を襲うと復讐される事を知ってるのでやらないみたいな意見をたまに見かけるけどやっぱりそんなの個体によるよなあ

    • +4
    1. >>26
      その粗治療の教育を「動物虐待」と人間が定義してしまったので、何もしなくなった結果…

      • +5
  15. 反捕鯨の方々に最前線で何とかしてもらうのが筋

    • 評価
  16. 識者「海洋生物が人を襲う映画を見過ぎたせい」

    • +2
  17. 画像はAIなのかしら?ぶっちゃけ気持ち悪い。

    • 評価
    1. >>34
      どうなってんだこの写真と思ったけどそういうことか

      • 評価
  18. ゆうて人1人も死んでないのに、すぐ頃そうという意見出るのは、人間て野蛮な生き物だなぁと感じる。
    そうじゃなくてもマイクロプラスチックで生殖能力奪い、魚網やはぐれロープで生存危うくしてるのに。
    やたらクジラが増えた害主張する意見あるが、シャチや大型のクジラは増えてないよ。減っている。
    増えているクジラは天敵であるシャチやサメが人間のせいで減ったから増えたのもあるのに。

    • -3
  19. そのうち遊びで人間狩りするようになるのでは

    • +2
  20. 最初のシャチはトラウマから攻撃したかもしれないが、子供はそれを見て見よう見まねで遊んでるのかもしれないしね。
    シャチだからというより人間に置き換えて想像すると気持ちが分かる気がする。気がするだけね

    • +1
  21. 水族館のような人工環境でも、たまに飼育シャチ個体による対人事故が発生し亡くなる人もある。
    自然界でも、シャチのアザラシその他の海生動物に対する捕食に関連する様々な行動を見れば、人間の乗ったボートだからとか、特別扱いすることもないだろうと思う。シャチもふつうの動物なのだろう。人間の対応を見ている。

    • 評価

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