
極寒の南極で、氷の上のアザラシを狙うシャチの天才的なハンティングスキルが撮影された。餌食となったアザラシのことを思うと胸が痛むが、その巧妙なテクニックと頭の良さに思わず脱帽だ。
BBC系列のドキュメンタリー番組『Frozen Planet II』で公開された映像には、4頭のシャチが氷の上にいるアザラシを、驚きの頭脳プレイで追い込んでいく様子が映し出されている。
Incredible Orca Hunt | Frozen Planet II
アザラシがいる氷を、チームプレイで割り砕いていく
海に浮かぶ氷の上には1頭のウェッデルアザラシがいる。どうやらシャチに追い詰められてここまで逃げてきたようだ。最初にシャチたちは水面から顔を覗かせながら、氷の上をまず偵察する。アザラシの位置を確認すると、横ならびで泳いで、氷の下に潜り込む。
すると、その時にきた波で、アザラシが乗っている氷がバリバリと割れていく。

アザラシの氷を移動させ、波を作って叩き落とす
アザラシはかろうじて小さくなった氷の上にとどまることができた。シャチは周囲の氷が邪魔で近寄ることができない。そこで今度は、力を合わせて邪魔なものがないところまで氷を押し出すのだ。
さらにもう一度、先ほどのように波を作り出す。だが今度は氷を割るのではなく、氷の上のアザラシを落とすためのものだ。
たまらずアザラシは海に落下してしまうが、シャチはすぐには襲いかからない。
海に落ちたアザラシに泡を吹いて方向感覚を狂わせる
ダメ押しとばかりに、下からブクブクと泡を吹いて、アザラシの方向感覚を失わせる。これは無駄な怪我を避けるためのテクニックだ。この波を駆使したハンティングは「ウェーブクラッシング」といい、地球上で100頭ほどのシャチにしかできない高等戦術であるそうだ。

海の王者、シャチの圧倒的ハンティングスキル
海の王者シャチのハンティングスキルは圧倒的だ。たとえ相手がホホジロザメであっても、まるで外科手術のような正確さで内臓を削ぎ取ることができる。
一説によると、エコーロケーションで肝臓のような脂肪が豊富な部分をピンポイントで見つけ出しているのだそうだ。
Watch This Stunning Footage of Orca Whales Killing a Great White Shark
またシャチは自分より体が大きな相手でも怯まない。実際、地球上で最大の動物であるシロナガスクジラを少なくとも2頭仕留める場面が撮影されている。
なんとクジラの口の中に突入して、舌を食いちぎってしまうのだそうだ。
References:Dramatic Orca Footage Reveals a Rare Hunting Technique Used to Trap And Kill Prey : ScienceAlert / written by hiroching / edited by / parumo
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コメント
1. 匿名処理班
ダイタルウェイブ!!
2. 匿名処理班
こわ!こっっっっわ!
3. 匿名処理班
矢っ張り頭良いね
ボートとかでもあんまり油断出来ないな
4. 匿名処理班
こういうの見るとめちゃくちゃ怖い生き物に感じるが、シャチとしては可能な限り安全確実に家族みんなでご飯食べる為一生懸命考えてやってるだけなんだよ、と研究者が言ってたの思い出した。
行動に知性と意思が見えるから恐ろしいけど、もっと行き当たりばったりな行動だったらもう少し怖く見えないのかな。
5. 匿名処理班
シャチとモササウルスが戦ったらどっちが勝つだろ
試したい
6. 匿名処理班
ダーウィンが来たでやってたのは、シロナガスクジラの上に回って息させないんだったような?
マッコウクジラかなんかの群れが来て、せっかく仕留めた獲物を放り出してた。子供を守るためだったような。
7. 匿名処理班
シャチの戦術には地域性があるみたいだけど、全てに長けたグループが出てきたら海の哺乳類は狩り尽くされそうだな
8. 匿名処理班
自分の動きがどういう結果をもたらすのかちゃんと理解しててるからこそできる技
シャチの動きは見てて感心する。アザラシは可哀想だけど無事ご飯食べれてよかったね
9. 匿名処理班
当たり前の捕食だと!
互いの事情を解かっちゃいるけど!
見てると感情移入して胸が詰まる(>へ<)ハァハァ
効果音も心臓に悪い
10. 匿名処理班
※6
あれはマッコウクジラじゃなくてヒレナガゴンドウ。
イルカの仲間としてはシャチに次ぐくらいの大型で、それが200頭くらいの大群できた。
撤退した理由は子供を守るためとかエコロケーションがやかましいからとか。
あと、大好物の舌を食べた後だから無理をしないと言うのもありそう。
シャチは大物を仕留めても好きな部位しか食べない偏食家で有名だけど、そうなった理由として基本的にシロナガスクジラみたいな大物を仕留めた場合、論理的に見れば沈もうとするその巨体を長時間海面近くに維持するのは労力を必要とするはずで、さりとて沈ませて深い海底にまで潜って食べるのも手間だし、それで仕留めた後は真っ先に栄養豊富な部位を食べて、後は沈むに任せるようになった。と言うのも偏食家に見えるようになった理由として有り得るかもしれない。
11. 匿名処理班
※2
人間に比べたらまだマシ
12. 匿名処理班
アザラシちゃんの、絶望的な表情と、もう動けない感が、かわいい。
13. 匿名処理班
以前NHKでやってたオットセイだったかの時は同じく波立てて落として、最後氷に登ろうとしたオットセイを引きずり落して、そのあと海面が赤くなってヒェッ・・・ってなったな
14. 匿名処理班
弱肉強食は自然の摂理と分かってはいるけど、襲われる前のアザラシの瞳をみると胸が締め付けられる。。
せめてシャチさん長生きしてくれ。
15. 匿名処理班
最近アフリカでサメ乱獲しだした個体も確認されたもんね
シャチは頭いいよ
16. 匿名処理班
七つの海のティコはフィクションだということがわかります。
17. 6
>>10
訂正ありがとうございます。
大口ボヤのように大きな口を開けて沈んでいくクジラが印象的でした。
口の中が闇のように真っ黒で、そんなものかと思っていたのですが、口が開いていたのも、口の中に何も見えなかったのも、舌が食べられていたからかも。
18. 匿名処理班
ガイア! オルテガ! マッシュ! ジェットストリームアタック
19. 匿名処理班
やば、、、!すご、、、!こっわ!!!
衝撃的すぎて語彙力ふっとんだ。
氷が小さくなったところで、アザラシがカメラの方を見た時、
「俺終わりましたね……」って心の声が聞こえた気がした。
20. 匿名処理班
※11
まあ、こんな狩りよりブロイラーなんかのがずっと闇が深く感じるわな
21. 匿名処理班
強い絶望を感じた
22. 匿名処理班
※4
>可能な限り安全確実に家族みんなでご飯食べる為
>一生懸命考えてやってるだけ
それを言い出したら人の争いの歴史だってその「一生懸命」
「だけ」が端緒だろうからね。その愛おしさも、恐ろしさも
どちらも不可分な本質でしょう。人間にせよ、シャチにせよ。