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シャチの群れが地球最大のシロナガスクジラの成獣を襲撃し捕食する姿が初めて目撃される

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(著) (編集)

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 水中最強の海獣「シャチ」は、魚やアザラシを食べるだけでなく、クジラすら狩ることで知られている。

 だが今回シャチが狙ったのはそんじょそこらのクジラではない。全長30メートルを超えることもある、地球最大の動物、シロナガスクジラの成獣だ。

 シャチがシロナガスクジラの成獣を群れで狩り、捕食する姿が目撃されたのは、史上初めてのことであるそうだ。

シャチの群れがシロナガスクジラの成獣をハンティング

 圧巻の狩猟シーンを目撃したのは、オーストラリア鯨類研究センター(CETREC)の研究者たち。

 目撃したのは2019年3月のことで、最近その研究結果が『Marine Mammal Science』(2022年1月21日付)で報告された。

 当時、研究グループは西オーストラリア南岸にあるブレマー小海盆にボートを出して、毎年恒例となっているクジラとイルカの生態調査を行っていた。

 このあたりは季節に応じて140頭のシャチが移動することで知られており、中には1年中ずっと留まる個体もいる。

 すると、研究グループは衝撃の光景を目の当たりにする。シャチの群れがシロナガスクジラを襲撃し、捕食していたのだ。

 世界最大の捕食行動である。水中最強の捕食者が、地球最大の獲物を仕留めていたのだ。

 これまで、シャチがシロナガスクジラを捕食する例はいくどか報告されていたが、いずれも幼獣か子供が対象だった。

 だが今回は、体長が20メートル前後ある成獣のシロナガスクジラだ。シャチは大きいとはいえ体長は6メートル前後しかない。

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image credit:Jade Sharp, Whale Watch Western Australia

卓越したチームワークで巨大なクジラを捕食

 その迫力のハンティングについて、フリンダース大学のイザベラ・リーブス氏は次のように語っている。

私たちが到着したとき、14頭のシャチが水深70メートルの海でシロナガスクジラを襲っていました。

到着してすぐ、クジラの頭のてっぺんにかなりの傷があり、骨が露出していることに気づきました。

背びれが失くなっていましたが、シャチに食いちぎられたことは明らかでした。背びれがあった位置の前後や、尾びれにかけて歯形がくっきり残っていたからです

 その狩りでは組織的なチームワークも見られたという。数頭のシャチがクジラの脇腹に突進したかと思えば、また別のシャチは頭部に襲いかかったのだ。

 この狩り現場には50頭ほどのシャチがいたそうで、クジラの死骸が沈んだ後も、シャチたちは残って、あたりに浮いている肉を食べていたそうだ。

 さらにその2週間後には、同じシャチがシロナガスクジラの子供を襲っている姿が目撃された。さらに昨年にも狩りが観察されている。

Killer whales attack and kill blue whale

シャチの捕食行動を知ることで海洋生態系全体の理解につながる

 鯨類研究センターのジョン・トッターデル氏によると、シャチを知ることは、海の生態系を知ることにもつながるという。

 もともとシャチはシロナガスクジラを捕食していた可能性もあり、シロナガスクジラの個体数が激減したため、他の獲物を捕食するようになった可能性もあるという。

 ということは、シロナガスクジラの個体数が増え、シャチが以前の食生活を取り戻しているのかもしれない。

 トッターデル氏は、「今回の研究は、オーストラリア海域の海洋生態系を適切に理解する必要性を浮き彫りにしました。シャチの群れの生態を理解することも含めて」と述べている。

References:The first three records of killer whales (Orcinus orca) killing and eating blue whales (Balaenoptera musculus) – Totterdell – – Marine Mammal Science – Wiley Online Library / Scientists announce first known case of orcas killing an adult blue whale / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 28件

コメントを書く

  1. 今の海はシャチが一強過ぎる気もする、シャチが増えすぎると結構な生物が絶滅しそう
    それもまた自然の摂理なので人間が干渉するべきでは無いと思うが

    • -1
    1. >>1
      哺乳類は燃費が悪い上にサイズのわりに早死するから、エサが減ればすぐシャチやクジラも減って大丈夫かとも思う
      まあ体温を維持するためにでかいのばかりだから、わりと長生きはするけど

      • +3
    2. >>1
      シャチはそんなに繁殖力も強く無いし、狩りは上手くいっても、自分たちより弱いが大群で行動するオキゴンドウの群が苦手だったりするし、いろいろあるからそんな心配しなくても大丈夫。
      そもそも自分たちの食べ物になる生き物を乱獲して首絞めるのは人間のお家芸で、他の動物そんな事しやいのよ。

      • +1
      1. ※14 天敵が居ない1ツガイが1~3匹くらいしか子孫を残さない低繁殖力の哺乳類が地球の陸で一番幅を利かせてるんだが大丈夫かな?
        海中で天敵が居らず、餌にも困らず、広い海域で活動可能、子供の死亡率が低い。
        数を増やす典型の生物なんだけど、いくら賢いと言っても獲物の数が減ってきたので別なのを食べようと思うほど賢いのだろうか

        • -6
        1. >>16
          人間以外にそんな生物はおらんし、シャチも人間に生殺与奪を握られてるようなもんだ
          イルカがせめてきたぞっ、てな感じにでもならなきゃ杞憂

          なお、獲物の乱獲で絶滅するのは動物あるあるだからそこは君が正しい
          人間の強さは、獲物を絶滅させ続けても自身は絶滅していないことだ

          • +1
        2. >>16
          ちなみに両生類、爬虫類の飼育でよくあるのが偏食と拒食
          餌が変わっただけでなく、環境が変わっても食事をやめて、死に向かう事があるのだ
          哺乳類は「生きてやる!」な感じなのに両生類、爬虫類は「あ、死にます」なのも怖い
          水かけただけでショックうけて死ぬイモリとか、どうやって生き延びてきたんだろう

          ミドリガメみたいにストレス強くても、拒食で死ぬ事あるから油断できない
          そしてシャチは哺乳類の中でも偏食性が強いから、別の意味で油断はできないのだ

          • +3
    3. ※1
      食物連鎖の頂点の捕食者が増えすぎて困る例なんて
      外来種問題と人間以外ではないのでは?

      • +1
    4. ※1
      むしろ人為的影響で減っていたシロナガスクジラが回復してきたので本来の姿に戻って来たのではという記事ですね
      ライオンも成体のアフリカゾウを狩ってますしクジラが元気だと亜成体でも狩れなかったりすることもありますから
      ただ現在の急速な環境の変化と捕食圧が重なり絶滅する種は少なくないかもしれません

      • +1
  2. 血の海で圧倒的だ
    シャチはクマと同じようにガッチリ噛むらしいから、対サメスーツが効かないんだろうなあ
    稀に人が襲われたケースでも、くわえたまま水中に引きずられた話ばかり聞く

    恐竜から隠れて夜活動するために恒温性を発達させてた哺乳類が、海に帰ることで圧倒的な運動能力を持つ捕食者となるのは進化の妙

    • +3
  3. シャチ怖い。しかし非常に魅力的な生き物でもある。
    不思議。

    • +4
  4. これって前にNHKが放映したやつじゃない?

    • +5
  5. その昔オーストラリアが捕鯨してた頃、シャチと共同で捕鯨してた村があって
    鯨が来ると灯台の近くでシャチが漁師に知らせて、人間と共同で狩りをしてたんだって。(向こうの捕鯨はヒゲと油が取れれば良いので、舌とかハラワタが欲しいシャチとはwin-win)
    ボスシャチの指示で卓越したチームワークで沖合から浅瀬に追い込むとかきいたけど
    …しかしおっきなシロナガスクジラまで食べちゃうのか…海最強だなあ
    陸に住んでてよかった

    • +5
    1. >>6
      今のシャチは人間を”天敵”と認識して警戒してるって聞いたけど、かつてはそんな人々もいたんだなぁ

      • +1
      1. >>12
        アイヌや南米の民話や神話でもシャチは豊漁の神様扱いなので、似たような事あったのかも。
        今のシャチでも羅臼や知床だと観光船来ても逃げない。

        • +3
  6. 鳥は一体何を狙って集まってるんだろう?
    鯨の肉の破片だろうか?
    血に魚が引き寄せられてるのかな?
    それにしても、少しづつ肉を食いちぎられて死ぬってキツい死に方だな・・・

    • +4
  7. ワイルドライフでやってたな
    その後せっかく狩ったシロナガスクジラをゴンドウクジラだかの大群に横取りされてた
    やっぱりクジラもシャチもいくら大きくても数の力には勝てないんだな

    • +2
      1. ※10
        そりゃ、楽できるんだったらしますがな。
        ライオンも他の動物が狩った獲物を横取りしたりね。
        チーターとか顎が弱いから奪われたりするらしいですよ。

        弱そうな学生に、「○○くーん、お小遣いくれない?」みたいなのもある意味動物的かもw

        • -1
    1. >>8
      人間もドブネズミの大群に襲われたら勝てないと思うね…

      • 評価
  8. 舌たべにいくのは希少部位なのか急所なのか単に食べやすいのか強さを示す行為なのか

    • 評価
  9. 最近は捕鯨が激減しクジラが増えた結果サメも増えたって聞いたけど、この分だとシャチも一緒に増えてるね
    特にシャチはサメを一方的に狩る海の生態系の頂点だから、サメが増えてもクジラが減らない限り律速されるって事はなさそう

    • +1
  10. オーストラリア近海とか南半球の大洋を生息域とするシャチは本当に最強かも。
    あの辺は陸が多い北半球と比較して海が地球を一周できるほど広大だからクジラも豊富。必然的にそれを狙うように進化してクジラ狩りのスペシャリストになったんだろう。

    • +1
  11. NHKのダーウィンが来たでやってなかったっけ?2019年だからそれより前か、これを取材してたのかな?

    • 評価
  12. 鳥が集まっているのが壮観。海面で何が起こっているのか、結果はどうなるか、だから採食ができる、が分かっているんだよね。

    • 評価
  13. このニュースの別記事によると、海上には海鳥が群がり周囲の海中にはサメなどがおこぼれを狙って集まって来るそうだ。さらにそれでも巨大なクジラの肉の結構な部分は海底に沈んで、それは栄養の乏しい深海の生物には貴重なエサとなる。

    そして海全体の生態系のバランスという視点で見ると、クジラは多くの種類が世界中の海にいるが、ある程度の大きさのクジラを狩れる動物はシャチしかいない。つまりシャチがいないとクジラは天敵がいなくなり増えすぎて、今度はそれに大量に捕食される小魚やプランクトンが減ってしまうかもしれない。オオカミがいなくなって増えすぎたシカが植物に食害を起こすように。またオオカミの場合は、直にその狩りの対象にならなくてもオオカミという捕食者の存在があるだけでもシカなど被捕食者の繁殖が適度に抑えられる効果もあったという報告もある。これを見ると現在の海でもシャチの存在でクジラに同様の効果がもたらされている可能性はある。
    こうしてみるとシャチによるクジラ狩りも自然の中の無くてはならない営みの一つなんだろう。

    • +1
  14. それとシャチにシロナガスクジラが食べ尽くされる心配なら無用に思える。もしその心配の通りなら人間による捕鯨圧で数が激減した時にこそ同時にシャチからの食圧も加わって絶滅していたはず。でもそうはならず記事だとシャチはその間は別の獲物に切り替えていた。まさかシロナガスクジラの数が減ったから食料資源保護のためにシャチが遠慮したとは思えないけど(そう言えば少し前にカラパイアでロープに絡まったクジラを助けたかの様なシャチの記事があったから、あながちw??)、その辺は自然の妙だろう。

    • +1
  15. シャチもこうして生態系の頂点にいるから、それに加えて長生きもするから
    次第に体内に毒物とか堆積してくのかな…?
    シャチはクジラの中でも唯一人間から捕獲対象にされてないのは肉を食べるのに向かないからって聞いたけど

    • +1

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