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シャチのおばあさんが閉経後も長生きする理由は孫のため(英研究)

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(著) (編集)

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skeeze from Pixabay
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 大多数の哺乳類と違って、人間のメスは妊娠できなくなった後も長生きする。人間以外にメスが閉経後も長生きする動物は、シャチ、コビレゴンドウクジラ、ベルーガ、イッカクのわずか4種しか存在せず、皆、海洋生物だ。

 通常なら動物の世界では、子孫を残すことが最優先されている。なのになぜ、閉経後の動物が長生きしているのか?

 これまで謎とされていたその理由が、シャチのおばあさんの新たな研究で徐々に明らかになりつつあるという。閉経後のシャチにも役割があるというのだ。

閉経後も数十年生きるシャチのメス

 シャチの寿命は野生ではオスは平均30~50歳、メスは50~90年と言われている。

 シャチは母系集団で、オスやメスの子どもがその母親と生涯を共にする。メスは15歳で妊娠可能になり、30代から40代の間に人間のように閉経して繁殖を行わなくなるが、その後も人間と同じように、数十年生きる。

 子孫を残せなくなったシャチのメスがなぜ長生きできるようになったのか?

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jandaly/iStock

おばあさんシャチは群れの生命線

 これまでの研究で、閉経後のメスのシャチは、エサを確保するときに重要なリーダーシップをとる役割を担っていることがわかっている。

 そして新たな研究で、彼女たちの存在が群れの子どもたちの生存率をかなり上げていることを発見した。更におばあさんシャチが死ぬと、その後2年で孫の死亡率が大幅に上がることもわかった

 イギリス・ヨーク大学の生物学者ダン・フランクス博士率いる研究チームは、ふたつのシャチ集団の行動や個体数のデータを36年間に渡って集め、分析した。この集団は、カナダやアメリカの太平洋岸北西沖に生息するさまざまな群れで構成されている。

 その結果、閉経を迎えたメスのいる群れのほうが、その孫の生存率が高くなることがわかったのだ。

 おばあさんシャチを失った群れは、エサであるサケが少なくなったときに、子どもを失う率が高くなったという。

閉経を迎えたメスの死は、群れに大きな影響を与える可能性があることがわかりました。

将来の群れの個体数を把握するときに、これは考慮するべき重要事項なのがはっきりしました。サケの数が減り続けると、おばあさんシャチの存在が群れの中でより重要になってくる傾向があるようです ーフランク博士

 困ったときに食べものが得られる場所に群れを連れて行くのは、おばあさんシャチだ。捕まえた獲物を孫たちに与えるのもおばあちゃんシャチなのだ。

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Aktim from Pixabay

閉経後、群れを守る役割を与えられた可能性

 研究者たちは、閉経により年老いたメスが孫を世話する能力が増したと考えている。我が子を産まないおばあさんシャチは、新しい世代のためにかける時間やエサを取ることに自由に集中できるからだ。

 「この発見は、シャチの生存や生殖の成功をうながす要因を説明する助けになります。研究対象の群れの一部である南に棲むシャチが、絶滅の危機に瀕していることを考えると、非常に重要な情報です」ヨーク大学のスチュアート・ナトラス博士は言う。

 「メスが子育てをしているときは、自分の子どもにかかりっきりになるので、どうしても彼女たちの動きや行動は制約され、閉経したメスと同じようにはサポートやリーダーシップがとれないのでは、とわたしたちは考えています。現在、これらシャチの家族間の助け合い行動を直接調査するために、わたしたちはドローンを使って、観察を続けています」

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MarkMalleson/iStock

シャチ以外に閉経する水棲生物は?

 閉経に関する未解決の問題はまだたくさんある。将来、イッカク、ベルーガ、コビレゴンドウクジラに関する研究が、さらに詳しい洞察をもたらしてくれるかもしれない。

 閉経を過ぎても長生きするメスの能力は、ハクジラの仲間で、シャチは1回、コビレゴンドウクジラで1回、ベルーガやイッカクの祖先では1回と、3度別々に進化したことがすでにわかっている。

 他の生物の閉経が進化したのには、別の要因があるのかもしれないが、少なくともシャチに関しては、種の生存のために極めて重要なことだったようだ。

 この研究論文は『Current Biology』に掲載された。

References:sciencedaily / arstechnicaなど/ written by konohazuku / edited by parumo

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この記事へのコメント 61件

コメントを書く

  1. 閉経後に生存し続ける陸上哺乳類ほヒトだけというのに驚いた

    • +13
    1. 「おばあさん仮説」の実証例なのか
      ※1
      陸上動物ではゾウにも「おばあさん」が存在するんじゃなかった?

      • +2
      1. >>35
        いるよ~
        アフリカゾウはメス主体の群れで水場を求めて移動する。各地の水場を把握してる歳上のメスのゾウが先導して移動していく。
        シャチもおばあさんの存在が鍵になってくるのは、やっぱ経験や知識があるからなんだろうね。

        狼だってメスが群れリーダーだし、子孫残せるタイプが決まってたな~
        動物ではメスが群れを率いて、オスは群れから離れて単独で行動するのがデフォあるいは多いのかもね

        • +7
      1. >>44
        象もおばあちゃんがボスになるけど、象のおばあちゃんは閉経しないらしい。
        そして象の閉経が遅い理由はハッキリしてない。

        • +7
  2. 人間の場合は医学やら栄養面の進歩で本来の耐久年数を過ぎても生きてるからいくつかの機能は働かなくなってるということなんだろうなあ、男も女も…老眼とかモロにそうだろうなあ

    • +15
    1. >>3
      嫁の実家限定ならOK!という嫁は多そう。
      夫の実家と二世帯なんてとんでもない!同居は地獄の始まり!!!

      by夫の実家と同居解消嫁より

      • +8
      1. ※20
        シャチの場合は女系家族で
        実の母親と娘が協力して孫を育てるそうな
        人間の二世帯同居もそれが主流になれば嫁姑問題はほぼなくなるのにね

        • +19
        1. >>24
          人間も大昔は嫁と嫁両親が協力して子育てしてたんだけどね。

          • +4
    2. >>3
      >>20
      嫁の実家同居だな。
      うむ、母系社会回帰だな。文明の過渡期にはよくある事だ。

      • +9
  3. シャチは長生きなのに
    シャチクは短命なのなw
    その心はク(苦)があるからでしょうwww

    • +41
    1. >>6
      あるんだけど、大抵の動物は年1回~数回、または子供が乳離れしてからだし、使われなかった子宮内膜は身体に吸収されるから、負担はかなり少ないんだよ。
      人間も同じ仕組みなら良かったのに。

      • +35
      1. >>13
        有り難う!勉強になるなぁ
        本当にそれなら毎月の地獄から救われる

        • +15
      2. ※13
        人間みたいに手当しなければ毎月血だらけ。 っていうんじゃ鮫とかがうろついてしょうがないし、毎日食事できるとも限らないから流血無いに越したことはないもんね。

        • +12
  4. 武田邦彦先生も女性の方が長生きするのは子ども世代の子育てを手伝う為って言ってたなあ

    • +16
  5. 人間だっておばあちゃんの存在はありがたいよね。

    • +18
  6. 海棲哺乳類のメスは長生きするってことかね ?
    渚原人説を補強するデータがまた一つ増えたな

    • 評価
  7. オスの倍近く生きるんだなあ
    おばあちゃんは熟練のハンターなんだ

    • +23
  8. 定年迎えた人間のオスはなんのために長生きしているんだろう

    • +8
    1. ※12
      女性は生殖年齢が限られているけど、男性はやろうと思えば70歳でも子供作れるから。人間以外のほとんどの動物、一部のサル以外は死ぬまで繁殖をするようにできてる。人間も本来そうだったのかもしれないけど、おばあちゃんになったら繁殖活動するより孫の世話したほうが子孫の生存確率が高くなったので次第に女性は生殖年齢が限られ、歳とると孫の世話するようになったんだろうね。男性は高齢でも生殖可能だけど。

      • -22
      1. >>28
        他の動物は知らんけど、人間の男子は35歳以降生殖能力落ちるし、子供に異常がでる可能性は飛躍的に増えるんだよ。
        考えてみたらガタが来た身体で作った精/子ももちろんガタガタだから当たり前なんだよね。
        これかなり前から数値的に証明されていて世界では常識なんだが、何故か日本では男はいつまでも現役だと思われてるんだよね。
        人間の男はシャチでいうところのお婆ちゃん的役割の一端を担うから、長生きするんじゃないかな。

        • +17
        1. ※33
          あんまりこんなこと言いたかないけど、加齢で子に異常がでやすくなるのは女もなんだ。
          40代だとダウン症発生率は20代の16倍くらいになるし流産率も飛躍的に上昇する。
          男も女も加齢で異常が出やすくなるのは仕方がないこと。
          男はいつまでも現役だなんて聞いたことないけど、単に閉経みたいな節目の有無だけで考えてる人なんじゃないかな。
          それも個人差あるから正確にはいつまでも現役な男“もいる”だと思うけど。

          • -5
          1. >>51
            それいい出すと女性でも40過ぎてからの妊娠出産してもダウン症じゃない子供を産む方が多い、となるよ。
            女性は分かりやすく閉経があるから基本的に妊娠出産の年齢的な限界を意識しているけど、男性は何故か男は歳食っても大丈夫問題ないと思い込んでる割合はかなり多いという事。
            最初のコメントはそう言ってるわけだし。

            • +10
        2. >>33
          工場がガタガタなんだから
          生産されるモノもガタガタになることくらいわかりそうなもんだけど
          日本の男性の「男の価値は年齢に左右されない」信仰は根深いね
          子供が欲しくて婚活してる若い女性は
          高齢の男性なんて見向きもしないのに

          • +6
      2. >>28
        いまだこんな考えを持った人がいるとは…

        • +7
        1. >>53
          まあ、完全に生殖不可と質は落ちるが生殖可能、だと若干印象が違うってことじゃないかな。まして質が落ちるってのが化学的に証明されたのは最近だけど、昔は閉経って目に見える現象しかなかったんだから。あと人間は自分に不利な情報はなかなかアップデートできないもんだからね…

          • 評価
          1. ※60
            「完全に不可能」と「質は落ちるが可能」、つまり0と1では、やはり決定的な差が有るのでは?
            優秀な雄ほど歳をとるほど地位が高くなり、結果より多くの雌を確保できるとすれば、多少の質の低下は数で補えるとも考えられるからね
            ヒトの雌はそうはなっていないという事は、閉経する方がよりメリットがあったという事なんだろう

            • -2
    2. >>12
      年金で孫にお年玉あげたり、親が買わないお高いおもちゃ買ったりするから多分必要な存在なんだよ

      • +6
    3. ※12
      動物は老いると若いオスに襲われたり敵に食べられるけど
      人間には捕食者いないし医療があるから生き続けるんだろうね

      • +10
    4. ※12
      オスは長生きする意味ないから生物界見ても寿命が短いって
      生物学者が言ってるよ

      • +12
    5. >>12
      うちの爺ちゃんは畑作ったり山菜とか魚とか獲ったりして色んな事教えてくれるよ
      地域のコネクションもすごいし、ちょっとした事でも褒めてくれる!

      • 評価
  9. おばあちゃん…(´;ω;`)ウッ
    初孫だからって、いつも目に入れても痛くないような顔して見てくれてたな…気付かなかったけど
    肩たたきでもしとけば良かった

    • +9
  10. ヒトの雄が長生きするのは、自身の経験や知恵を若い世代に伝えるためだった。

    • 評価
    1. >>16
      男が早死にする確率が若干高いのはシャチク労働が原因であって、ぬるい生活してたら以外と女より長生きしたりして

      • -9
      1. >>50
        なんか勘違いしているが、女性が家て専業主婦してたのは高度成長期からの数十年くらいで、その前は家政婦兼稼業の手伝い兼子育てだし、最近はワンオペ家事育児に男並みのフルタイム労働してるんだがそれでも男より長生きなんだよ。
        シャチクはシャチクだけやってりゃいい分楽なんだよ

        • +11
  11. 若い個体を育てる技術が高く、過去の経験から最悪の事態を予測し回避できる存在が群れにいるだけでも頼もしいものだ

    • +14
  12. まあ自分の親には長生きしてもらいたいもんですわ。

    • +2
  13. 『おばあさん仮説』というやつですね
    ヒトでは検証が難しいらしいけど、、、
    昆虫ではアブラムシがおばあさん仮説検証されてた気がします、もちろん閉経ではないけど

    • +8
  14. 逆にチンパンジーとかどれだけおばあちゃんになっても基本子供が産めるってことに驚いた

    • +10
  15. お婆ちゃんが長生きする種類は全て群で生活するタイプだね。
    イルカはどうなのかとか、群を作らない大型のクジラは違うのかな。

    • +7
  16. 象もおばあちゃんが群れを率いていたはずだけど
    おばあちゃんと言ってるだけでまだ妊娠可能な個体なのかな?

    • +8
  17. ベルーガもそうなんだね
    前に子供を驚かせて遊ぶベルーガの動画が紹介されていたけれど、この記事読んで納得した

    • +2
  18. オスの寿命を考えると、群れによって生かされてるんだろうね
    これも分業の一つの形なのかも

    • 評価
  19. 今の人類社会でもおばあちゃんの存在は超重要だよ…
    共働きが当たり前なのに保育施設が許容オーバーになってるこの時代に
    元気なおばあちゃんがいるかいないかで子育ての苦労はだいぶ変わるよ
    それに晩婚化の進む昨今、おばあちゃんはさらなる長寿化が望まれてんだよ…
    マジでお世話になりました

    • +14
  20. 人間の平均寿命はつい最近まで短かったわけだし、人間の女性が閉経後も長生きするようになったのはここ100年ぐらいのことなんだから、シャチと一緒にはできないのでは?

    • -9
    1. ※41
      人間の平均寿命の低さは乳幼児死亡率が多かったからで
      平均寿命というのは「長生きできないから短くなる」というものではありませんよ
      むしろ人間は成人まで生きることが出来た固体の寿命は(事故・殺人事件・災害・戦争などの不慮の死を除いて)かなり長くなります

      • +2
  21. おばあちゃんの料理は地味だけど身体に優しそうだね。
    そして孫に食べさせるのが上手そうだね。
    ところで、おっさん化したおばさんには何か生物学的な意味があるのかな。

    • -7
  22. 京大の先生がチンパンジーは生涯現役で
    必然的にお婆ちゃんの子育て支援は無いって言ってたよ
    老人の知識階級としての地位は今やネットに奪われてしまったよね
    まぁこの環境が未来永劫続く保証は無いし
    人間の進化は万年単位の適応の積み重ねだから

    • +4
  23. 現代って、孫の育児に興味ない老人が多いから、シャチと人間の対比は面白いね
    何故、イクメンが必要なのか?

    • +2
  24. 孫のため生きるように進化したのか
    長生きだから孫のために働く(といっていいのか)のか
    どっちかわからんのでは?

    • -1
    1. ※47
      「孫のために生きる進化」じゃなく、
      たまったま「産めなくなっても長生きできる個体(以下「長生き個体」)」が自分の生存の為に頑張って、
      そのおこぼれをゲットできた(結果、孫の為に働いてるように見える)とかで「長生き個体」がいる群れの若いのも生存率が高くなったから、
      「長生き個体」がいる群れの個体(そいつも「長生き個体」の子だから「長生き個体」である事が多い)が沢山生き残って……を長年繰り返すうちに、その種が「長生き個体」ばっかりになったのかもしれない

      • +2
  25. 人間も石器時代やそれ以前のころから既に寿命が長くなる進化をしてて
    寿命が延びた分だけ次世代に知識や技術を継承できる余裕が生まれるのが他の生物や、ホモサピエンス亜種へのアドバンテージになっていたという説がある
    以前人間の寿命は38歳が本来って記事あったけど、「医療が発達」する前から人間ってどんどん寿命が延長されてるんだよね
    寿命延びてるのは医療の発達が原因じゃなく「そうした方が有利な形質で進化したから」と考えた方が筋道が通る

    • -1
  26. リアルにアマゾネスの族長みたいなポジションなんだなおばあちゃんシャチは

    • +2

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