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火星でピラミッドそっくりの構造物を発見、NASAが解析し正体を特定

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(著)

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火星の地表で発見されたピラミッド構造 Image credit:NASA/JPL-Caltech/UArizona
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 火星の巨大な峡谷で古代エジプトのピラミッドに酷似した謎の構造物が発見され、NASAの探査機がその正体を解明した。

 SNSで人工物ではないかと話題になったこの物体だが、NASAの高解像度カメラが捉えた最新データにより、数十億年にわたる猛烈な風が岩石を削り上げた「天然の岩山」であることが判明した。

 一見すると人工物に見えるこの奇妙な地形には、火星の過酷な気象現象と、人間の脳が持つ不思議な錯覚のメカニズムが隠されていた。

参考文献:

火星の巨大峡谷にそびえ立つ謎のピラミッド構造を発見

 火星は、一見すると何も起きていない埃っぽい「錆びついた惑星」に見えるかもしれない。

 しかし、そこには膨大な数の岩石が存在し、気の遠くなるような年月をかけて風化を繰り返してきた。

 その結果、時として人工物や生物のように見える不思議な造形が生まれることがある。

 2001年、当時火星を周回していたNASAの探査機「マーズ・グローバル・サーベイヤー」が、火星の赤道付近にある、マリネリス峡谷を構成する最大の谷「カンドール・カズマ」を初めて撮影した。

 その膨大な画像データの中から、翌2002年、独立研究者のウィルマー・ファウスト氏が、まるで古代エジプトのピラミッドのような立体がそびえ立っているのを発見した。

 ただしピラミッドは四角錐だがこの物体は三角錐だ。

 最近になって、映画制作者のブライアン・コーリー・ドブス氏がXでこの画像を共有したことで、「火星に人工構造物がある証拠ではないか」と一気に注目が集まった。

 多くの人々が熱狂したこの物体は、その形から「カンドール四面体(底の部分を合わせて4面)」と呼ばれるようになったのである。 

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2001年にマーズ・グローバル・サーベイヤーによって撮影された画像 Image credit:M. C. Malin, K. S. Edgett, S. D. Davis, M. A. Caplinger, E. Jensen, K. D. Supulver, J. Sandoval, L. Posiolova, and R. Zimdar, E06-00269Malin Space Science Systems Mars Orbiter Camera Image Gallery, 2002

クフ王のピラミッドとほぼ同じ大きさの「岩山」

 この地域は、その後の火星探査でも別の探査機によって撮影が行われてきた。

 特に大きな手がかりとなったのが、NASAの「マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)」に搭載された高性能カメラ「ハイライズ(HiRISE)」が捉えた高解像度画像だ。

 解析の結果、このピラミッド状の構造物は直径が約290m、高さが約145mに達することがわかった。

 これはエジプトにある最大級のピラミッド「クフ王のピラミッド(高さ約146m)」とほぼ同じ高さだ。

 地球最大のピラミッドに匹敵するスケールの構造物が火星の谷に鎮座しているという事実は、人々の想像力を激しくかき立てた。

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画面右端に写るピラミッド状の構造物 Image credit:NASA/JPL-Caltech/UArizona

 しかし、ハイライズの画像をズームアウトして広い範囲を確認すると、このピラミッドは決して孤立した特別な建造物ではないことがわかる。

 周囲には同じようにゴツゴツとした岩山がいくつも点在していたのである。

 これらは地質学で「ポジティブ・レリーフ・ノブ」と呼ばれる地形で、いわば岩の「こぶ」だ。

 かつては柔らかい岩石の中に埋まっていた非常に硬い岩石の層が、数億年にわたる侵食によって周囲だけ削り取られ、硬い部分だけが取り残された結果できあがったものだ。

 話題の「カンドール四面体」は、一般的な岩の塊よりも少し背が高いが、周囲の風景と照らし合わせれば、火星の過酷な環境が作り出した天然の岩山の一つであることが判明した。 

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マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)のハイライズ(HiRISE)がとらえた別の角度からの画像。ピラミッド状の構造物は画面中央の右上 Image credit:NASA/JPL-Caltech/UArizona

 猛烈な風が数十億年かけて火星の岩石を削っていた

 なぜ火星の自然界に、これほどまでピラミッドに似た型が生まれたのだろうか。

 その理由は、火星特有の過酷な気象条件にある。

 火星では数十億年という気の遠くなるような長い年月、激しい風が吹き荒れている。

 この風が特定の方向に吹き続けることで、岩石の側面を均等に削り上げ、偶然にも鋭い角を持つ幾何学的な形を作り出したのだ。

 実際にピラミッドの表面を詳しく観察すると、人工物のような滑らかな壁面ではなく、火星の風が砂を運んで作った「エオリアン波紋(Aeolian Ripples)」と呼ばれる波状の模様が刻まれている。

 また、三つの側面の大きさはバラバラで、人工物としての正確さはないこともわかった。

 これは地球でも見られる現象で、コロンビアの「セロ・タス(Cerro Tusa)」という山のように、自然の力だけでピラミッドそっくりの形になる例はいくつも存在する。

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コロンビアにあるピラミッド構造の山、セロ・タス。Image credit:Yuki Mao

脳が起こす心理現象「パレイドリア」にも関係

 このピラミッド騒動の背景には、人間の脳が持つ「パレイドリア」という不思議な心理現象が関係している。

 パレイドリアとは、雲の形が動物に見えたり、壁のシミが顔に見えたりするように、本来は意味のない模様の中に、自分が知っているパターンを探し出してしまう心理現象のことだ。

 人間は進化の過程で、天敵や仲間の顔をいち早く見つけるために、わずかな情報から形を認識する能力を発達させてきた。

 そのため、火星の荒涼とした岩場であっても、少しでも規則正しい形があれば「文明の跡だ」と脳が勝手に解釈してしまうのである。

 火星には、ピラミッド以外にも昆虫顔に見える岩が数多く存在するが、その正体はすべて火星のダイナミックな地質活動が生み出した自然の造形美なのだ。

References: Arizona.edu

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この記事へのコメント 18件

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  1. 幾何学的だから人工物だという解釈は間違ってる
    自然生成物だからこそ幾何学的な形状になるんだよね

    • +13
    1. そうそう
      幾何学って元々は自然科学だからねえ
      自然を観察して・それを模倣して得られたのが幾何学的なんだから
      自然が幾何学的になるのはけだし当然

      • 評価
  2. ピラミッドも2分に1個の割合で巨石を積まないといけない計算みたいだし、どうやってできたんだ?ってものはたくさんあるねえ……

    • +1
    1. 超音波浮かせた説。何気に信じてるw

      • 評価
  3. そもそもピラミッドってエジプトも中南米も四角錐だろうに・・

    • +6
  4. いやいや、コレ三角錐やん
    って ツッコもうとしたら、本文中にすでに書いてあったわ

    • +1
  5. >カンドール四面体(底の部分を合わせて4面)
    って呼ばれているけど
    天然物なら底面は平らではない(≠四面体)かもしれないね

    • +3
    1. 六面体(サイコロ)の角の部分だけが見えている可能性もありますね
      六面体なら鉱物では珍しくないです
      六面体がひび割れて崩れると六面体の傾き方次第で
      こんな形やピラミッド型になる可能性がありますよ

      • +3
  6. 子供の頃、火星の人面岩の写真を見て凄くワクワクした。 人類が火星を探索出来る様になるのが待ち遠しかった。 科学の進化で火星の解像度が上がると子供のころにワクワクした人面岩はただの岩の写真になった。 ネッシーはいないし、超能力者は手品師になった。 ワクワク出来る余白どんどんと小さくなっていく。

    • +2
  7. 日本にもピラミッド疑惑のある山が幾つかあるけど同様なんだろうか

    • -2
  8. 規模が大きいけど、いわゆるドライカンター(三稜石)だね。 でき方も同じ。

    • 評価
  9. 嘘やん。
    火星の大気は地球の約1%しか密度がありません(気圧もとても低い)。
    だから、「風圧」は地球の1/100程度。そよ風くらい。

    • +1

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