この画像を大きなサイズで見る地表から約2900km、マントルの底、外核のすぐ上に、地球誕生の頃の大量の水が隠されている可能性が浮上した。
ドイツのバイロイト大学などの国際研究チームは、これまで謎だった地球深部の水の貯蔵方法を解明するため、実験室で超高圧と高温の環境を再現した。
その結果、大量の水を閉じ込める未知の鉄の化合物を特定することに成功した。この発見は、地球規模の巨大な水循環の仕組みを解き明かす大きな鍵となる。
この研究成果は『Nature Geoscience』誌(2026年9月8日付)に掲載された。
参考文献:
- Iron minerals could store water deep inside the Earth · DESY
地球の奥深く、謎の領域に隠された水
水は生命の源であり、マントルの動きを滑らかにして地殻変動を助ける重要な役割を持っている。
カナダのバフィン島やアイスランドの火山岩の分析からは、地球誕生の頃の水の一部が、今も地球の奥深くに残っている可能性が示されている。
地球上の水がどのようにしてマントルに入ったのかは諸説あるが、地球内部のどの位置に水があるのかはこれまで謎だった。
ドイツ、バイロイト大学の新しい研究によると、マントルと液体の外核の境界近く、地下約2900kmの深さに水が隠されている可能性が高いという。
ここは地震波の伝わる速度が異常に遅くなる謎の巨大領域「超低速度層(ULVZ)」が存在する場所でもある。
超低速度層は、核を包み込むように広がる、厚さ数kmから数十kmほどの層だ。地震波がなぜここで極端に遅くなるのか、その正体は何十年も議論が続く謎となっている。
この画像を大きなサイズで見る超高圧と高温の実験室で未知の鉱物を特定
地下約660〜2900kmに広がる下部マントルの大部分を占める鉱物は、ほとんど水を含まないと考えられている。
水を含むことができるほかの鉱物も、その多くは特殊な成分でなければ安定せず、マントル最深部の高温では分解してしまうため、最深部で水を閉じ込めておける鉱物は見つかっていなかった。
そこで研究チームは、レーザー加熱式ダイヤモンドアンビルセル(Diamond anvil cell)という装置を使った。
2つのダイヤモンドの間に物質を挟み込んでレーザーで熱し、地球深部の超高圧と高温状態を人工的に再現したのだ。
実験で再現した環境は、約2100〜2500℃、地上の気圧の約77万〜195万倍にもなる。
実験の結果、これまで知られていなかった2種類のオキシ水酸化鉄という鉱物が特定された。
オキシ水酸化鉄は、マントル最下部の極端な環境でも安定して存在でき、大量の水を貯える性質を持っている。
この画像を大きなサイズで見るマグマが冷え固まるとき、水を閉じ込めた鉱物を形成
地球の深部は巨大な地下の海のような状態ではないため、水は鉱物の中に閉じ込められている必要がある。
今回特定された新しい鉱物は、ほんのわずかな水分さえあれば形成され、周囲のマントルの岩石よりもかなり重いという特徴を持つ。
地球が誕生して間もない頃、マントルの底にはドロドロに溶けたマグマの層があったと考えられている。
このマグマが冷えて固まるとき、残ったマグマには鉄と水が濃縮され、水を閉じ込めたこの鉱物が形成されたと考えられる。
そして重力によって、マントルと外核の境界まで自然に沈んでいった可能性があるという。
研究チームは、核のすぐ上に集まったこの鉱物こそが、謎の領域「超低速度層」の正体かもしれないと考えている。
この画像を大きなサイズで見る地球の巨大な水循環と今後の課題
地下深くに潜んでいる水は、地球の奥底に永遠に留まり続けるとは限らない。
マントルの対流に乗って引き上げられると、圧力が下がって鉱物が不安定になり、他の鉱物へ水が放出される可能性がある。
最終的には、マントル深部から上昇する高温の流れであるマントルプルームや火山活動を通じて、再び地表に戻ってきていると考えられる。
この鉱物が実際に地球の内部に存在するのか、どれだけの水を含んでいるのか、地表に戻るまでにどれくらいの期間がかかるのかなど、まだ多くの謎が残されている。
地球の水循環がマントルの奥まで続いている可能性を示した今回の発見は、地球がどのように水を得て、それを維持しているのかを解き明かすヒントになるかもしれない。
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References: DOI: 10.1038/s41561-026-02067-1
















