この画像を大きなサイズで見る気候変動による地球温暖化で、南極のアデリーペンギンたちの食べるものが変わってきている。それはフンの色に明確に現れていた。
アメリカのクレムソン大学などの研究チームは、NASAの人工衛星が30年かけて撮影してきた南極全域の画像を解析した。
ペンギンのフンは魚を食べると白く、オキアミを食べると赤くなる。海の氷が減った場所ほど、栄養価の高い魚ではなくオキアミを食べるようになるため、フンが赤くなっていたのだ。
この研究成果は『Current Biology』誌(2026年7月20日付)に掲載された。
フンの色からペンギンの食生活を調べる
アメリカのクレムソン大学を中心とする研究チームは、NASAの衛星画像を使い、南極大陸に暮らすアデリーペンギンが何を食べてきたのかを、フンの色から明らかにした。
アデリーペンギンは、南極大陸の沿岸をぐるりと取り囲むように分布している。
露出した岩場に数千から数十万羽が集まり、南極全体で100か所を超えるコロニー(繁殖地)を作っている。
地面は大量のフンで広く染まり、人工衛星からは色のついた面として見分けられる。
アデリーペンギンが主に食べるのは、コオリイワシという魚と、エビによく似た小さな甲殻類のオキアミである。
オキアミには、赤い色素が多く含まれるため、オキアミをたくさん食べたペンギンほどフンが赤みを帯び、魚をたくさん食べたペンギンのフンは白っぽい。
人間の目では見分けにくいわずかな色の違いも、衛星は目に見えない赤外線まで含めて数値として捉えられる。
研究チームはまず、現地で採取したフンの色と、そのペンギンが実際に食べていたものを照合した。
次にそれを衛星画像に当てはめ、1984年から2013年までの30年間、南極全域のアデリーペンギンが何を多く食べていたのかを明らかにした。
この画像を大きなサイズで見る海の氷が減ると、魚からオキアミへ
約30年の解析でわかったのは、気候変動がペンギンの食事内容を変えている事実だった。
海氷が多い場所のペンギンほど魚(主にコオリイワシ)を多く食べ、海氷が少ない年や場所では、オキアミへの依存が強まっていた。
コオリイワシはオキアミよりも栄養価が高いため、海氷が減るほど、ペンギンは栄養価の高い魚を食べられなくなっていく。
さらにオキアミ自体も、南極の一部の海域では量が減りつつあるため、ペンギンは食糧難に近い状況に置かれつつあるのだ。
この画像を大きなサイズで見るオキアミ食中心のペンギンほど数が減っている
この食の変化は、ペンギンの数の増減とも結びついていた。
オキアミ中心の食生活を送るコロニーは、魚中心のコロニーよりも、個体数が減っている傾向が強かったのだ。
これまでの研究でも、魚を多く食べたヒナのほうが、オキアミを多く食べたヒナよりも大きく育ち、生き残る見込みが高いことがわかっている。
栄養価の高い魚を十分に食べられないことが、ペンギンの数を減らしていると考えられる。
この画像を大きなサイズで見るこの研究の対象期間が終わった後の数年間も、南極の海氷は大規模に減り、過去最低を記録している。
氷の減少が続けば、アデリーペンギンはより広い範囲で、栄養の乏しいオキアミ中心の食生活へと追い込まれていく可能性がある。
フンの色という意外な手がかりが、温暖化に揺れる南極の海の変化を静かに映し出している。
References: DOI 10.1016/j.cub.2026.06.028 / The color of penguin poo: Satellites reveal the chilling truth of global warming’s impact on an iconic polar species | EurekAlert!















