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米陸軍はわざとまずい軍用チョコレートを作り、戦闘糧食にしていた

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(著)

公開: (更新: )

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第二次世界大戦中の戦闘糧食に含まれた軍用チョコレート Image credit:public domain / Wikimedia
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 第二次世界大戦中、アメリカ陸軍はチョコレート会社のハーシーに、「茹でたジャガイモよりほんの少しマシな程度」のチョコレートを作るように指示した。 

 戦場の兵士に持たせる携帯糧食(レーション)をおいしくすると、誘惑に負けてすぐに食べてしまい、命にかかわる非常時に手元へ残っていない。そんな事態を防ぐためだ。

 こうして生まれたのが、栄養たっぷりなのにあまり甘くない、味は二の次という、Dレーションのチョコレートバーである。

参考文献:

米陸軍がチョコレート会社に出した4つの注文

 1937年、まだ第二次世界大戦が始まる前のことだ。

 アメリカ陸軍の補給を担当していたポール・ローガン大尉(のちに大佐に昇進)は、チョコレートで有名なハーシー社に兵士が食べるためのチョコレートを依頼した。

 ローガンが伝えた注文は4つだ。

  • 重さは4オンス(約113g)にすること
  • カロリーが高いこと
  • 高温に耐えること
  • 味は茹でたジャガイモよりほんの少しマシな程度

 おいしいチョコレート作る会社に、おいしくしないでほしいと頼んだのだ。

なぜおいしくてはいけなかったのか

 ローガンが求めたチョコレートは、戦場で兵士が持ち歩き、食べるものがなくなった非常時に命をつなぐための携帯糧食だ。

 ここに、おいしくしてはいけない理由がある。

 もしおいしければ、兵士は空腹を我慢できずに、非常時を待たずに食べてしまう。

 そうなれば、本当に食べ物が尽きて飢えと向き合うとき、手元にチョコレートは残っていない。

 あまり甘くない、おいしくないチョコレートは、兵士の命を守るための工夫だった。

 こうして生まれたのが、Dレーションと呼ばれる軍用チョコレートである。

 アメリカ陸軍の戦闘糧食は、生鮮食品のAレーション、調理前の食材を詰めたBレーション、缶詰のCレーション、そしてチョコレートのDレーションというように、アルファベットで分類されていた。

 ハーシーの主任化学者サム・ヒンクル氏は、注文通りのチョコレートを作り上げた。

 原材料はチョコレートの原液、砂糖、脱脂粉乳、カカオバター、オート麦の粉、そして香りづけのバニリンだ。

 ヒンクル氏は、普通のチョコレートよりも砂糖を減らし、かわりにチョコレートの原液を増やした。

 甘さを抑えれば、その分だけチョコレート本来の苦味が前に出る。砂糖を減らしたことで、バーは甘くなく、苦いものに仕上がった。

 苦さはむしろ狙い通りだった。

 苦ければ、兵士はお菓子として気軽に食べようとは思わない。開発に関わった人々は、この苦味を好都合と受け止めていた。

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ナイフで削らないと食べられない硬さ

 依頼通り、暑さで溶けないようにチョコレートの固形分を増やした結果、バーは石のように硬くなった。

 あまりに硬いため、そのままかじることはほとんどできない。

 多くの兵士は、ナイフで薄く削り取ってから口に運んだ。

 製造の段階でも、材料を混ぜたものは重たいペースト状になり、普通のチョコレート工場の機械では型に流し込めなかった。

 最初の頃は、1本ずつ手作業で型に押し込むしかなかったほどだ。

 兵士たちはこのチョコレートを嫌い、捨ててしまう者もいた。

 腸の調子を狂わせることから、ドイツの秘密兵器というあだ名までついた。

 それでもハーシーは依頼通り作り続け、戦争中に30億本を超える軍用チョコレートを生産している。

Dレーションの軍用チョコレート試食レビュー

 だが兵士の不満は無視され続けたわけではない。

 1943年には陸軍が、味を良くした耐熱チョコレートを作れないかとハーシーに問い合わせ、改良版のトロピカルバーが生まれている。

 ただし、「非常食を非常時まで食べさせない」という最初の発想そのものは、Dレーションという形でしっかり機能していた。

一方日本軍は乾パンに金平糖を添えた

 一方、第二次世界大戦時の日本軍の兵士は、携帯口糧と呼ばれる食糧を持ち歩いていた。米軍のレーションにあたるものだ。

 中身は質素で、主食は乾パン、副食は缶詰の肉と食塩というものだった。チョコレートは入っていない。かわりに、乾パンの袋には金平糖が添えられていた。

 なぜ金平糖が選ばれたのか、はっきりした理由を調べてみたがわからなかった。

 ただ、現代の防災用カンパンに金平糖や氷砂糖が入っているのは、唾液の分泌を促し、水分の少ないパサパサした乾パンを水なしでも食べやすくするためだと、農畜産業振興機構は説明している。

 当時の日本軍の乾パンでも、同じような効果が期待されていたのかもしれない。

References: When Hershey’s Crafted a Special Treat for the Troops

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この記事へのコメント 61件

コメントを書く

  1. マズイって話は聞いたことあるけど、狙い通りだったんだな
    と思ったのに食べにくすぎる上に腹壊すならやっぱり失敗作じゃねーか!

    • +64
  2. 米軍はDレーションをエナジーバーへ進化させていったのであった。

    • +8
  3. 「レーションマーン、茹でたジャガイモよりほんの少しマシな程度の顔よーッ」
    「そんなので元気が出るとでも ?」

    • -3
  4. そんなに固いんだ・・・
    知らなかった
    ネズミはどうなんだろう、囓るのかな?

    • +12
    1.  ネズミは石鹸でもかじります。 脂肪酸だから消化できればそれなりに栄養になるはず。 アメリカで生活していたときいくつかのチョコレートはろうそくかクレヨン食べてる気になるくらい変なのも売ってました。 ま、非常時を考えるとさもありなんて感じかな。 お口で溶けて手で溶けないってのは m&m’s だったかな

      • +10
      1. その辺はさすがネズミということだね
        それとギブミーチョコレートで配ってたものなのかな?
        こういう石鹸みたいのを貰ってたんだろうか

        • +1
  5. 固くて甘味が薄く、熱で溶けない…
    ふむ、あずきバーはどうだろう?

    • +7
  6. 高カカオチョコレートみたいなもんなのかな?たべてみたーい

    • +7
  7. 古代ローマの昔から、「飯のまずい軍は弱い」っていうのは定説
    ただし、それは前線キャンプまでの話で、逆にコンバットエリアでの飯は不味い方がいい
    その方が、「生きてキャンプまで帰って美味い飯を食う」っていう、兵士のモチベーションに繋がる

    • +17
    1. 粗食に耐える軍は強いという話も近世以降ありますよ
      兵士の忍耐力や精神力のみならず兵站ひいては予算への負担を減らせるからです
      戦争はつらく苦しいもので概念以前に技術的にも改善の余地なんか無い(どうあがいても無理)のが当然だった時代背景ゆえの考え方ですね

      • 評価
  8. 90年代に沖縄の米軍放出品のレーションを貰った事があるが、あれはチョコレートというより、かろうじてチョコ風味のカッチカチな固形物
    まだ同梱のパッサパサのクラッカーのほうが美味しかった

    • +20
    1. カロリーメイトのチョコ味みたいな感じですか?

      • 評価
      1. 私も食べた事がありますが、カロリーメイトの柔らかくて美味しいものと比べるのもおこがましいくらいにカッチコチの板です。
        味を気にするよりもどうやって食べるのかに意識がいくくらい硬いです。
        あまりにも硬いので舐めているとチョコレート風味というかココア風味というか、チョコレートが含まれてるかな?という僅かにチョコレートを感じる事ができるレベルで、なるほどこれなら平時の将校や兵士がばら撒くのも納得といった印象でした。

        • +16
  9. (そもそもハーシーのチョコって普通のでもそんなには美味しくない…)

    • +33
    1. アメリカ基準だとあれが美味しいというレベルのお菓子ですから、アメリカ軍の戦闘糧食の味は察する事ができると思います。

      • +8
  10. 石のように硬いなら、最後の手段として敵に投げつけるという使い道も…(ヾノ ゚ω゚ )ナイナイ

    • +9
  11. 茹でたジャガイモでも喜んで食べる人には効果が無いわけか

    • +12
    1. めちゃくちゃ硬いので、ほんとーに、ほんとーに最後にこれしか人間が食べる物が無いという状況でやっと食べようかという選択肢に出てくるレベルだと思います、またガリッと噛み切るのも難しいのでペロペロ舐めて食する事になると思いますから腹持ちは良いと思いました。

      • +8
  12. ゆでたジャガイモって美味いよなーそれよりちょっとマシな程度のうまさとかwwww
    と、現代人の俺が言ってみる

    • +12
  13. 個人的に「ゆでたジャガイモ」はだいすき
    (塩だけが好み)
    レンチンでは出ない味

    • +29
  14. 捨てられたら本末転倒やんww大体そこまで不味さにこだわるならチョコレートやめて普通にヌガーでよくない?

    • +2
  15. Dレーションあまりに不評だったのでトロピカルバーも生産したんだけど、日本の子供に配ったのは日本政府が金だしたりしたし、ハーシーの普通のチョコを準備した。

    • +7
  16. ゆでたじゃがいも美味しいよね。粉吹き芋好きだ

    • +8
  17. これなら茹でたジャガイモのほうがうまいんでは? 乾パンって子供のころ非常食としてよく紹介されていたが軍由来だったのか

    • +5
  18. この人のせいで後発のエナジーバーも栄養はあるけど不味いという伝統–というか「味はこの程度でいいや」的な適当さが残ってるんだよな。

    このローガン大佐、親類に軍人が多い家系だけど入隊時から兵站部門に専念して出世したらしく、保存食の研究とか功績も多いんだけど前線で戦ったことはない。
    「非常食なんだから食べすぎないように」なんて、食べることくらいしか楽しみがない戦場を知らなかったんだろうな。

    • +15
  19. ジャガイモが収穫できた事を神様に
    感謝してお祈りしてる名画もあるのに
    人間はどんどん贅沢になっていくな。

    • +5
  20. 日本陸軍が乾パンに金平糖を入れたのは、その当時の人にとって子供の頃から
    慣れ親しんでいて嫌いな人が少なかったからと言う、嗜好の面での問題なんじゃないかな。
    色がついた金平糖にしたのは、真冬の大陸で白い金平糖は
    雪や氷を食っている様で嫌だったから、って理由だった様だし。

    • +7
    1. 糖分の補給によるカロリー摂取が目的だよ
      後は乾パンは口の水分がどんどん吸い取られていくので糖分で水分補充も兼ねていたんだよ

      • +5
      1. カロリー摂取が目的なのは当たり前の分かりきった大前提で
        その摂取手段としての品目がなぜ他のものではなく金平糖だったのか?についてコメントしてるのだと思いますよ

        • 評価
  21. 未完のエリザで非常食の味の依頼が書いてあったな

    • 評価
  22. 元々おいしいチョコレート作る会社ではない、それともこの会社の伝統はここから始まったのか

    • +5
  23. 倒してゲットした敵国のレーションを食べ比べてたりもしてたみたいだね
    旧日本軍のは黒い謎の物体(海苔、たしか佃煮)以外は割と全部うまいイケるって書かれてたってのを番組でみたな

    • +7
  24. 日本も、軍粮精っていうあんまり美味しくないけど軍用食ありましたけどね。
    動画探すとレビュー何個か出ると思う。

    戦場って高ストレスの状況で、食に逃げないようにするって結構大事なんじゃないでしょうか。現代なんて職場のストレスで食に逃げる人いるんですよ。

    • +6
  25. 自分ハイカカオ90%イケます
    日本人はブラックコーヒーや抹茶など苦味オッケーなので平気かも

    • +4
  26. 缶詰の乾パンに氷砂糖が入っているのは砕いてお湯を注げば即席重湯になるからと聞いたことがあるけど真偽は不明

    • +4
  27. 防災用に買ったえいようかん美味しいから食べちゃうみたいな話か

    • +7
  28. 「茹でたジャガイモ」といっても現代の肥料沢山&生育ノウハウたっぷりつぎ込んだ奴ではないから、味は思ったよりアレの予感w

    • +8
  29. ドイツ軍が戦闘糧食に加えていたチョコレートのショカコーラ(製品名)はとても美味しかった。現在も製造されていて日本でも入手可能なのでお勧めできる製品です。
    *ただし大人向けの味とカカオ含有量なのでお子様にはお勧めはできませんが。

    • +5
  30. 包装画像に書かれているけど、砕いてからカップに入れて沸騰した湯をカップに注いで食すようだな、原材料にチョコレートの他に脱脂粉乳、ココアがあるのでホットチョコレート的な飲料として摂取するのが正しいのではなかろうか、そして記載してある事にかなりの疑念を抱くのはカロリーがたったの600calしかないと書かれているところだ、内容的には600kcal以上するだろという内容なので「k(キロ)」が単純に脱字してるだけかもしれないけど。

    • -1
    1. アメリカの食品表示で表記されている「cal(またはCal)」は、日本の「kcal(キロカロリー)」と同じ。

      • +6
        1. 根拠は、FDAの食品表示規則(21 CFR 101.9)で、栄養成分表示におけるエネルギー量を Calories として表示することが定められており、その計算方法はタンパク質・炭水化物・脂質などのエネルギー換算係数(Atwater factors)に基づいています。ここでいう「Calories」は、一般的な栄養学の単位である kcal を指します。

          また、国際的な定義では:
          1 kcal(キロカロリー)= 1,000 cal(小文字のカロリー)
          食品表示の 1 Calorie(大文字)= 1 kcal です。

          • +6
          1. 国際的定義とはどこの定義ですか?
            SI単位ではJ表記ですし、大カロリー表記は現在では「紛らわしい」という事で使われておらず全てkcal表記ですが。

            • -5
          2. ジュールは工学的単位でありカロリーの代わりに使われてるような事実はありません
            そもそもSI単位はメートルやアンペア、ケルビンといった物理量の測定の単位であって「水1リットルを1℃上昇させるのに必要なエネルギーを示す単位」であるカロリーとは全く別の基準です
            MDY2さん貴方はいったい何を言ってるんです??

            • 評価
          3. さらに付け加えると大カロリーが今は使われていないというのは日本の話であり諸外国の話ではありません
            生理的熱量つまり食品に関係する熱量を示す単位としてはカロリーが国際的に一般的であり、SI単位のジュールを表記してる国でも殆どがカロリーとの併記となってます
            これは1kcalが4.184KJという中途半端過ぎる換算になってるのが大きく、ミリメートルやセンチメートルをインチに換算するのと同じ弊害が出てるからです
            日本でも将来的にはジュール表記に置き換わる予定とはなっていますが、その日は永遠に来ないでしょう

            • 評価
    2. アメリカではキロの単位は一派的じゃなくcalといったらkcalという意味なのだそうです。

      • +5
  31. 不味さを知りたい(*’ω’*) たぶん一生機会が無いと思うけど

    • +3
  32. おおー「戦後米軍から貰ったチョコが信じられないくらい不味かった」
    と祖母が言っていたのを聞いたことがある

    食べ慣れてなかったからかなと思っていたが本当に不味いチョコだったんだ

    • +7
  33. 船の救命艇備品の遭難食も同じ理由でマズく作られてる。

    • +3
    1. マズく作るのはいいけど最後はやっぱり廃棄なのかな?
      備蓄の乾パンでさえ非常事態じゃないと食べきれないよね・・・

      • 評価
      1. 職場で放出された乾パンはおやつとして半月しないで消費しました…

        • +3
  34. なるほど食べないと餓死する状況じゃないと食べたく無い糧食か
    確かに理に適ってるとは思う
    兵士としては辛いところだけど

    • +2

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