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天王星と海王星は巨大氷惑星ではなく、岩石の塊かもしれない

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(著)

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Image credit:NASA, ESA, Amy Simon (NASA-GSFC), Michael Wong (UC Berkeley), Andrew Hsu (UC Berkeley)
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 太陽系の最果てに位置する天王星と海王星。私たちは長い間これらの惑星を「巨大氷惑星」や「氷の巨星」と呼んできた。

 水やアンモニア、メタンなどの「氷」が惑星の主成分と考えられていたからだ。

 だが、スイス・チューリッヒ大学の研究チームが発表した最新の計算モデルによると、これら2つの惑星の内部は、これまで考えられていたよりもずっと岩石質である可能性があるという。

 もしかすると、数年後の教科書からは「氷の巨星」という言葉が消えているかもしれない。

 この研究成果は『Astronomy & Astrophysics』誌(2025年12月10日付)に掲載された。

太陽系の最果てにある二つの巨大惑星

 天王星と海王星は、地球の約4倍もの直径を持つ巨大な惑星だ。

 太陽から平均して約29億km離れた場所を回る天王星は、太陽系で最も低いマイナス224度という極めて低い温度が記録されたこともある極寒の世界である。

 さらに太陽から約45億km離れた海王星も、平均温度がマイナス214度に達するほど冷え切っている。

 太陽からより遠い海王星のほうが天王星よりわずかに温かいのは、海王星が誕生したときの熱を今も内部に蓄えていて、自前のヒーターのように働いているからと考えられている。

 対する天王星は、過去に別の巨大な天体と衝突した衝撃で内部の熱が逃げてしまったと考えられており、太陽に近いにもかかわらず海王星より冷たい惑星となった。

 また、オックスフォード大学の2024年の研究によれば、海王星はこれまで信じられてきたような濃い青色ではなく、実際には天王星に近い淡い緑がかった青色をしているという。

 かつて探査機ボイジャー2号が撮影した画像は、大気の流れをわかりやすくするために色が強調されており、その結果として海王星は濃い青色だという誤ったイメージが世界中に広まってしまったようだ。

 また、天王星は84年かけて太陽を回る間に色がわずかに変化し、夏や冬の時期には極地方を覆うメタンの氷の粒が増えることでより緑がかって見えるという不思議な性質も持っている。

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ボイジャー 2 号が1989年に撮影した海王星 Image credit: NASA / Voyager 2

天王星や海王星は本当に巨大氷惑星なのか?

 天王星や海王星はかつて、木星や土星と同じ「ガス巨大惑星」に分類されていた。

 しかし、水素やヘリウムが主成分のガス惑星とは異なり、その内部が水やメタンといった重い物質でできていることが判明したため、現在は「巨大氷惑星」として区別されている。

 この惑星が「巨大氷惑星」と呼ばれる理由は、太陽から遠く離れた極寒の環境において、水やアンモニア、メタンといった物質が圧縮され、シャーベット状のドロドロとした塊になって惑星の核を形成していると考えられてきたからである

 しかし、スイス・チューリッヒ大学の博士課程で研究を行うルカ・モルフ氏は、これらの惑星についてはまだ解明されていない点が多く、従来の分類は実態を単純化しすぎていると指摘する。

 ルカ・モルフ氏と指導教官のラヴィット・ヘレド教授は、惑星の深部をより正確に知るために、理論と実際の観測データの両方を組み合わせた独自の「ハイブリッドモデル」を構築した。

 これまでのシミュレーションは、物理学の理論に基づいた推測に偏るか、あるいは目に見えるデータだけを反映した単純すぎるもののどちらかになりがちであったが、

 この新しいモデルは双方の利点を組み合わせることで、偏りのない物理的な一貫性を持たせている。

 二人の研究者は、まず惑星の中心からの距離に応じて密度がどう変化するかを検討し、惑星の重力を考慮して調整を行った。

 そこから核の温度や組成を推測して新しい密度の構成図を作成し、そのデータを再びモデルに戻して、現在の観測データと完全に一致するまで計算を繰り返したのである。

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天王星と海王星の正しい色 Image credit:Patrick Irwin.

氷ではなく岩石が主成分という新説

 この精緻なシミュレーションによって、従来の予想とは異なる結果が得られた。

 導き出された核の候補の中に、氷の主成分である水よりも岩石の比率が極めて高いパターンが存在することがわかったのだ。

 これは氷に覆われた巨大氷惑星ではなく、むしろ岩石が主成分である「巨大岩石惑星」である可能性を示している。

 また、このモデルは惑星が持つ複雑な磁場の謎についても説明を与えている。

 核の周囲には、水がイオン状態という特殊な形で存在して、熱によって中身がぐるぐると循環している場所があることが示された。

 あまりの高温と高圧によって水分子がバラバラに壊れ、電気が流れやすい粒へと姿を変えた層が、複数の磁極を持つ複雑な磁場の源になっていると考えられる。

最新の探査ミッションに期待

 今回のモデルによれば、天王星の磁場は海王星に比べてより中心に近い場所で発生しているという。

 しかし、モルフ氏は、惑星の中心部で見られるような超高圧や超高温という極限状態で物質がどう振る舞うかについては、現代の物理学でもまだ完全には解明されていないと語る。

 今後はメタンやアンモニアといった他の成分もモデルに含めて分析し、真実を見極める予定だという。

 ヘレド教授によれば、現在の知識の多くは1980年代に探査機ボイジャー2号がたった一度だけ通り過ぎた際のデータに基づいている。

 天王星と海王星は巨大氷惑星なのか、あるいは巨大岩石惑星なのか。

 その真実を知るためには、最新の観測機器を積み込んだ新たな探査ミッションが送り出される日を待つ必要があるだろう。

追記(2025年12月30日):

 天王星や海王星の分類について、正確を期すため補足説明を加筆いたしました。木星などのガス巨大惑星との違いや、これまで巨大氷惑星と呼ばれてきた背景を整理し、最新の研究内容がより伝わりやすいよう構成を整えております。

References: Eurekalert / Dx.doi.org

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この記事へのコメント 25件

コメントを書く

  1. 良かった 一瞬、また太陽系に欠員が出る案件かと思った

    • +18
  2. 岩石の巨星だった場合はスーパーアースのなりそこないってことでいいのかな?

    • +4
  3. もしかしたら内部には生物がいるかもしれない

    • +8
    1. 核付近が水がイオン化するほど活発なら深部で合成された有機物が表層に染み出して深い海の中で生命が誕生してる可能性は割とあるかもしれない

      • +11
  4. 外から見てこう見えるって事は地球がすべて海に覆われてる状態に近いんじゃないかな
    本来なら海面に宇宙空間が映るから黒くなるはずだが青く見えてるってことは地球みたいに大気圏層があって青空が反射して見えてるって事かもしれん

    • +9
  5. 結局ね、全部憶測なのな。時代と共に観測機器が発達して前の時代の常識が全部簡単に覆っちゃうんだよ。全く意味が無いんだから、こうかもしれませんぐらいにしておけよ。子供の頃読んだ本で書いてあったことが全部簡単に覆されると、何だろうなと思うわ。全て憶測、偉そうな学者が言うコウだろうと言う事は、何もかもが想像で憶測、事実は全く分かっていません、結局ソレが現実

    • -39
    1. 「憶測」と「研究に基づく推測」の違いが分かっていないのは流石に笑えない。
      そういう戯言を書き込む暇があったら、もっと勉強しましょう。

      • +30
    2. 「偉そうな学者」「コウだろう」「想像で憶測」「事実は全く分かっていない」「ソレが現実」・・・
      あんまり科学系の記事は読まない方がいいタイプではないかと思う

      • +2
  6. 超音速の大気流動に取り巻かれているところからして、スーパーアースというよりスーパービーナスだな。金星は超音速まで行ってないけど。

    • +8
  7. 学校では巨大ガス惑星とかそんな感じで習ったけど今は巨大氷惑星に変わってたのか

    • +2
  8. なんだかんだで嫌気性微生物みたいなのがワラワラ潜んでそう

    • +5
  9. よく太陽系外惑星の地質や大気分析とかしてるけど、比較的近い太陽系内惑星でこれだから、実は何も分かってないのかもね

    • +5
  10. 重さと体積は地球から観測できるんだし、それで何とかならんのかな。

    • -1
  11. ボイジャー2号が偉大すぎて、その後いったいどうしたんだ

    • +3
    1. ボイジャーの探査は惑星直列という、絶妙なタイミングで成り立っています
      一つの惑星の探査だけなら惑星直列は必要ないみたいですが
      やっぱり、タイミングは重要なんです
      それで提案はできても色々あるようで、計画までいっているみたいなのは中国だけなんです
      それも、どうなるかわかりませんから、いつになることやら

      • +5
    2. 単純に「距離が遠くて難しい」からですね
      遠方過ぎて時間がかかるのと、太陽の重力を振り切って外惑星に到達させるためには、スイングバイで加速させる必要性があるが、なるべく短い時間で到達させるために効率的にスイングバイさせるためには、惑星配置が適切である必要があり、そういう時期がそうそうないこと(一応2030年代には計画はある)なども理由ではありますね
      そして最後は幾度のスイングバイを経て太陽重力を振り切り、天王星に到達させるために得たエネルギー(速度)が大きすぎてて、要の天王星の探査軌道に乗せるための減速に大きな手間がかかることも理由になります
      ボイジャーのように通り過ぎるだけならばまだしも、星自体を観測するためには今の技術ではかなりハードルが高いですね
      打ち上げ後、メンテもなしに少なくとも「20年間(到達までは17年ぐらい)は壊れないで稼働し続ける機械」が必要なのも含めてね

      • +6
      1. 現状では、衛星軌道に乗せる所までは考えていないと思いますよ
        通り過ぎるだけで結果を残せる探査計画が簡単でないことはわかります
        探査に時間をかけたければ、速度を落とさなければならず、速度を落とせば探査が可能になるまでの時間がかかる
        これが、提案どまりの理由の一つなんでしょうね

        • +2
      2. 軌道投入するための技術として惑星の大気を利用して減速するエアロキャプチャーというのがあるそうですが
        大気の状態がはっきりしていない惑星に使うのは博打でしかないということで
        先に探査プローブを投入するという保険をかけています
        こんなものが通るはずもなく現状では夢物語という事のようです

        • +2
  12. 天王星に関してはあり有るかも
    過去に巨大惑星が衝突して自転角度がズレてる
    つまり惑星が合体してるわけだから
    ひょっとしたらガス惑星ですらないかもね。
    分厚い大気層はあるけど岩石惑星の可能性は
    捨てきれない。

    • +8
  13. 天王星海王星は距離が遠すぎてボイジャー以来まともに探査機を送ってないのからなぁ
    まだまだ定説がひっくり返る可能性がありそう

    • +8

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