この画像を大きなサイズで見る南米ボリビアは、恐竜ファンにとって特別な場所だ。ここでは、恐竜たちが闊歩していた証となる「足跡化石」が太古の物語を雄弁に語ってくれるからだ。
そんな足跡化石の聖地で、世界でも類を見ない発見があった。1万6000以上のおびただしい数の恐竜の足跡が同じ場所の地層から発見された。
これらは長い年月をかけて蓄積されたものではなく、わずか数時間という極めて短い間に刻まれたという。それはまるで大勢の歩行者が移動する「渋谷スクランブル交差点」の白亜紀恐竜版のようなものだ。
足跡のほとんどは、獣脚類に属する肉食恐竜たちのものだった。数億年前の泥の干潟で発生した、恐竜たちの「ラッシュアワー」の全貌に迫ってみよう。
この研究は、学術誌『PLOS One』(2025年12月3日付)に掲載された。
前代未聞の「恐竜大渋滞」
2025年12月3日、カリフォルニア州地球科学研究所のラウル・エスペランテ博士らの研究チームが、ボリビアのトロトロ国立公園内にある「カレラス・パンパ」という地域に残された恐竜の足跡の調査結果の論文を発表した。
研究チームはこのエリアにある9つの地点を詳しく調査し、これまでにない規模の足跡を確認した。その数はなんと1万6000以上。
これは、足跡の数、連続した歩行跡、尾を引きずった跡、そして泳いだ痕跡の数において、世界新記録を樹立するものだ。
発見された足跡の大部分は、ティラノサウルスのように3本指で二足歩行をする陸生の肉食恐竜(獣脚類)のもので、時代は白亜紀後期にあたる。
研究チームは、歩き方の違いや地面の状態を詳しく分析し、歩行時の足跡だけで11種類のパターンを特定した。
足跡のサイズは10cm 未満のものから30cmを超えるものが含まれており、大小様々な種の獣脚類がこの場所を通過していたことがわかるという。
また、こうした恐竜の集団に混じって、水辺で餌を探していた鳥のような生物の小さな足跡も点々と残されている。
エスペランテ博士は、足跡化石を分析することで、恐竜の数や種類のみならず、移動中の具体的な行動が手に取るようにわかるという。
この画像を大きなサイズで見るここは彼らの移動ルートだった。足跡からわかる集団行動
まず分かったのは、恐竜たちがバラバラに歩いていたわけではないということだ。
足跡のほとんどは「北西から南東」の方角に向かっており、地面には、水流によってできる「さざ波の模様(漣痕:リップルマーク)」がくっきりと残されていた。
この模様は、この場所が当時、広大な「泥干潟(どろひがた)」だったことを示している。
泥干潟とは、潮が引いて海底の泥がむき出しになった、ぬかるんだ場所のことだ。柔らかい泥だからこそ足跡がつきやすく、穏やかな波があったからこそ、さざ波の模様が残ったのだ。
この歩きやすい海岸線が主要な移動ルートだったようで、恐竜たちは、海岸線に沿って同じ方向に移動していた。
多くの足跡が平行に並んでいることから、肉食恐竜たちは単独ではなく、ある程度まとまって「集団行動」をとっていた可能性が高いと推測される。
この画像を大きなサイズで見る恐竜たちは、急ぎ気味に移動していた
さらに面白いのが「歩くスピード」だ。足跡の間隔(歩幅)を分析したところ、多くの恐竜が比較的大きな歩幅で歩いていたことがわかった。
恐竜たちは「やや急ぎ気味のペース」で、目的地に向かって移動していたようなのだ。
水辺に沿って、群れをなして早歩きで移動する恐竜たちの姿を思い浮かべるだけで、白亜紀時代にタイムスリップした気分になる。
この画像を大きなサイズで見る泳ぎ、曲がり、バランスを取る!多彩なアクション
足跡の中には、ドラマチックな瞬間も記録されている。
一部の足跡は途中で進行方向をグイッと変えており(急旋回)、何か障害物を避けたり、急な状況の変化に反応したりした様子が見て取れる。
注目されているのが、過去最多となる「泳いだ跡」だ。
その数は個別の痕跡だけで1300個を超え、連続した列としても280列以上にのぼるという。
これらは水に浮いた恐竜が、つま先で底を蹴ったときにできる「ひっかき傷」のような形をしている。この傷が左右交互に続くパターンは、恐竜が犬かきのように足を動かして泳いでいた証拠になる。
恐竜たちは陸上だけでなく、水深のある場所でも、岸と平行に器用に泳いで移動していたようだ。
さらに貴重なのが「尾の跡」だ。通常、恐竜は尾を浮かせて歩くため、化石に残ることはめったにない。
しかしここでは、深くぬかるんだ足跡の後ろに、尾の跡がくっきりと残るケースが確認された。
これは泥に足を取られた恐竜が、転ばないように尾をついてバランスを取った瞬間かもしれない。また、浅い足跡と一緒に尾の跡が残るケースもあり、こちらは歩き方を変えた拍子に、尾が地面をかすめたようだ。
エスペランテ博士は、「どこを見ても、地面が恐竜の足跡で覆われているのですから、ここでの作業は本当に驚くべき体験です」と語っている。
これらの恐竜の足跡は、白亜紀の「ある時間」を切り取った、スナップショットのようなもので、そこには、現代のスクランブル交差点と同じように、生き物たちが一斉に移動している姿が刻まれていたのである。
References: Eurekalert / Journals.plos.org / Scimex
















いったい何があったんだろう
雷でも鳴ってびっくりしたんだろうか?
スタンピード(動物や人間が恐怖や興奮で一斉に同じ方向へ殺到・暴走する現象)かなーとはわたしも思いました。 でももしかするとたまたまケモノ道が交差していただけかもとも……
火山噴火なら逃げる方向が限定されるし
足跡を保存する火山灰もすぐ降り積もるだろうな
最後にここを恐竜達が歩いてから少なくとも化石になるまでまでずーっと何者も波すらも地面を掻き乱さずに静かにただ在ったのかと思うとくらくらするような浪漫を感じる!
こういう干潟の足跡化石は足跡がついた後に
別の種類の土砂で埋まることで保存されて残るから
むしろ大雨による川からの土砂の流入など
比較的激しい土砂移動が起きたんじゃないかな
お陰で正しい知識を得られた、ありがとう!
群馬県の多野郡神流町にある瀬林の漣痕(せばやしのれんこん)と言うらしいけど自分達はさざなみ岩と呼んでいる恐竜の足跡の化石を思い出した (こちらは崖に垂直に足跡が続いている)
ボリビアの化石は後方で火山の爆発や火災でもあったのかと思うほど多くの恐竜が一方方向に急いで移動しているようですが、殆どが肉食恐竜の足跡と言うのがまた謎ですね
美味しい餌の集団でも追っているのかなw
恐竜の生きた姿を見るのは誰もが思い描く夢だよね。
どんな風に歩いて鳴いて色や羽毛は?と想像は切りが無い。
特にワイは恐竜ではないが大型翼竜の飛ぶ姿が見たいなぁ。
こういうの見るとさ、ダーウィンの進化論って嘘だと思わない?
思わない。
なぜそう思うのだろう?
進化論と足跡化石の関連がよくわからない。
全く思わないけど
『恐竜交差点 – DINOSAUR SCRAMBLE-』
トロトロ公園でとろとろ歩いてたんやで?
尾の跡が発の発見されたということは、昔のゴジラみたいな歩き方をする瞬間があったという可能性も示したと
水の中で浮いてラクしてるんだろうね
トリが一斉に動くのと、きっと似てると思う
獣脚類中心の足跡化石群としては世界最大級かつ唯一無二に近い貴重な発見かも知れません。獣脚類の行動と運動様式の貴重なデータを提供してくれるでしょう。肉食恐竜としては矢鱈と個体数が多く感じますが、南半球で繁栄していたノアサウルス類や、その一員であるエラフロサウルス類だとしたら魚食や植物食ですので、大規模な群れや集団を成して行動していた可能性は十分あります。実際、写真の中に3本指の両側(第2趾と第4趾)が極めて短いものがありますが、これは中央の指(第3趾)が長くそれ以外が短い(しかも持ち上げて歩いていたらしい)ノアサウルス類/エラフロサウルス類の足の特徴にも見えます。勿論、泥濘等が原因のコンディションでそう見えているだけの可能性もありますが…。