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サメの攻撃から命を守る、新素材の咬傷耐性ウェットスーツが実用化へ

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(著) (編集)

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咬傷耐性テストでウェットスーツ用新素材に咬みつくホホジロザメ /image credit:Flinders University
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 めったにないと知ってても着とけば心強いかも。海で楽しむサーファーやダイバーたちの頭の隅にある不安。その一つが鋭い歯を持つサメに襲われるリスクだ。

 このたびオーストラリアの研究者らが、そうした不安の緩和策として、サメの攻撃から身を守れるよう開発した新素材が話題だ。

 実際に野生のホホジロザメなどに咬ませて効果もチェック。従来よりはるかに裂けにくく、致命的な咬みつきから免れられることを確認した。咬傷(こうしょう)耐性ウェットスーツ素材の最前線を見ていこう。

サメの鋭い歯に耐える!ウェットスーツ用新素材のテストを公開

 こちらはオーストラリアのフリンダース大学が2025年2月に実施した新素材のテストの様子だ。

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image credit:Youtube

 専門家による研究チームが試してみたのは、これまでよりもはるかに丈夫なウェットスーツの新素材。いつもサメの攻撃を恐れているサーファーやダイバーのために開発したサメの咬みつきに耐えうる頑丈なものだという。

 とはいえ実際に効果が無ければ意味がない。そこでチームは海へと出向き、野生のホホジロザメやイタチザメといった大型サメに実際咬ませてテストした。

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image credit:Youtube

 発泡体に新素材を取り付けたものをイタチザメのそばへ。かなり勇気のいる作業とみたが、結果はご覧の通り。

 サメに咬まれて、海中で激しく振り回されたにもかかわらず、引き上げられた素材は無事だ。驚くことに鋭い歯が貫通した跡すら見当たらない。

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image credit:Youtube

 こうしたテストの結果、致死性の重大な出血や組織損傷リスクを減らす効果が認められた。

 しかも重くて動きにくい従来の素材に比べ、今回の新素材は軽くて柔軟。安全と快適さを両立させたこの素材が、海のレジャーのあり方を変えるかもしれない。

2025年2月に行われたイタチザメに新素材を咬ませるテスト /Tiger shark

サーファーや海洋観光地を悩ますサメの脅威

 かつて、サメに襲われて命を落とす人の数は年間5人と、肥満や雷による死亡者数のほうがはるかに多い件をお伝えしたが、サメの鋭い歯と圧倒的な咬合力(こうごうりょく:噛む力)は決してあなどれない。

 世界的に見てサメによる襲撃被害は、アメリカ(フロリダ州)やオーストラリアで多く、海面のサーファーなどは、サメからは捕食対象のアザラシに見えるため、誤って襲われるリスクがあることがわかっている。

 また、観光業が重要な収入源である沿岸地域にとって、サメの咬傷事件はイメージダウンにつながりかねない。

 こうした背景から、サメの攻撃による被害防止は、個人にとっても地域社会にとっても重要な課題となっている。

4種類の咬傷耐性素材を実際に野生のサメに咬ませて検証

 今回の研究では、フリンダース大学のサメ専門家チームが開発した4種類の新素材を使い、実際にサメに咬ませる実験が行われた。

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image credit:Youtube

 対象となったのは、被害件数と致死率の両方で上位にランクインするホホジロザメとイタチザメ。

 検証された素材は以下の4種類だ。

・アクア・アーマー(Aqua Armour)
・シャーク・ストップ(Shark Stop)
・アクションTX-S(ActionTX-S)
・ブリュースター素材(Brewster material)

 これらの素材はいずれも、ヨットのロープなどにも使用されている「超高分子量ポリエチレン」という、軽くて強靭な繊維で作られている。従来のウェットスーツ素材(クロロプレンゴム製)と異なり、咬まれても裂けにくい構造だという。

 研究では、各素材を「咬傷パッケージ(bite package)」と呼ばれる発泡体に取り付け、南オーストラリアのスペンサー湾でホホジロザメに、ノーフォーク島沖でイタチザメにそれぞれ咬ませた。

 手順としてはまず餌を使ってサメを誘い、サメが食いつく直前にウエットスーツ素材を被せた咬傷パッケージに置き換える方法だった。

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 損傷の程度は「表面的」「軽度」「重大」「致命的」の4段階に分類され、従来の素材との比較も行われた。

出血や重傷化を防ぎ、命を救える可能性

 研究チームのトム・クラーク博士(フリンダース大学)は「テストされた4種類の素材すべてが、重大もしくは致命的な損傷を減らす効果を示した」とコメント。これらの損傷には、通常、大出血や四肢の切断といった深刻な被害が含まれる。

 また、体長約1.8 mのホホジロザメやイタチザメによる中程度から重度の咬傷に対しても、標準的な素材と比べ、明確に損傷を抑える結果を示したという。

 といっても、当然ながらこの結果は安全を保障するものではない。共同研究者のチャーリー・フヴェニアーズ教授はこう語る。

これらの新素材製スーツが、内臓損傷などすべてのリスクを排除できるわけではないが、大きな裂傷や出血を軽減することで命を救える可能性がある

環境にやさしいサメ対策の新たな選択肢に

 従来のサメ対策には、サメ除けネットの設置や駆除といった方法がある。だがこれらはウミガメやイルカ、さらにはサメ自身にも悪影響をおよぼすことがある。

 そこで近年では、縞模様で毒ヘビを模したサーフボードなど、サメの視覚を利用した非致死的な対策が注目されつつある。

 またフヴェニアーズ教授は、この研究成果が「海洋関連の仕事に従事する人々や一般の海洋レジャー利用者が、自分に合った安全対策を選択する際の参考になる」とも語っている。

 今回の咬傷耐性素材を使ったスーツも、こうした流れを受けて生まれた最新のツールとなり、海で過ごすサーファーやダイバーの不安を軽減する新たな選択肢になりそうだ。

 この研究成果は『Wildlife Research』誌(2025年9月25日付)に掲載された。

References: Popsci / Theguardian

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この記事へのコメント 19件

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  1. 板状のものでは圧力が分散してしまうから
    腕みたいな棒状のもので試験をするべきだね
    骨も再現するとなお良い

    • +12
    1.  骨折しても切断よりはマシかなと。 多分出血してサメが血の匂いを嗅ぐと彼ら自身発狂して手が付けられなくなるけど、かみついても出血しなければ彼らにとっては流木も同然だからどこかにいくんじゃないかな

      • +2
      1. ウェットスーツに穴が開かなくても
        骨にまで達するものなら皮膚が破れてしまっても不思議ではないよね
        当然出血もするから出血量によっては
        ウェットスーツの隙間から血が流れ出る可能性だってある

        • +1
  2. 生地は破れてなくても中身ぐちゃぐちゃなのでは・・・

    • +13
  3. 刃物や打撃に対するボディアーマーにもなりそう
    軍隊や警察で採用されるかも

    • +6
  4. 以前の鎖帷子のやつも格好良かったけれど やっぱり優先は命の安全よね

    • 評価
  5. 骨とか内臓にダメージはあるだろうけど、食いちぎられるよりは生存率が高まる・・・・・・かな?

    • +5
  6. やっぱ海こえ〜
    海無し県、サイコー
    岐阜に生まれて良かった!

    • -1
  7. サメの歯にも耐える素材にどうやってワイヤーを通したのでしょう??

    • 評価
  8. かまれた時点で負けじゃないか?
    ロレンチーニ器官を直撃する様に放電した方が
    良いんじゃなかろうか?

    • +2
  9. なんかグリズリースーツを思い出すな。

    • 評価
  10. サメ、サーファーはかなり襲われるのにダイバーは肉や血を撒いて興奮させた時はともかく襲われないんだよな。人喰いザメを見に行くツアー色々ある。

    • 評価
  11. 悪食のイタチザメは食いちぎり難い強靭な素材の歯ごたえに
    「なんじゃこりゃ?」と思いながらモリモリ食べようとしそうな予感が

    • 評価
  12. 出血を免れるってのが一番大きいですねこれ、完全ではないにせよ。
    骨が折れるとか、痛いとかどうでもいいんですよ命が守れればって類の道具でしょうね。

    命を守る道具って割とそういうの多いんですよ。止血帯なんかもそうですよ。最悪腕腐り落ちることになっても死ぬよりはいいでしょって側面あったりします。

    最近は十数分ごとに緩めて血を通わせるって考え方しないで、締めっぱが主流みたいですね。まぁ確かに怪我より痛くて口にタオル突っ込まれて痛みに暴れる体を無理やり押さえつけらるくらい、気を失うような痛さを伴う処置なんて十数分ごとにやられたら逆に命縮めそうですもんね。

    • +2

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