メインコンテンツにスキップ

Googleでカラパイアを「お気に入りサイト登録」

「契約の箱」を安置した、旧約聖書にある移動式神殿を古代都市シロ遺跡で発見

記事の本文にスキップ

26件のコメントを見る

(著)

公開:

この画像を大きなサイズで見る
イスラエルの古代都市シロの遺跡 / Image credit:Bible Archaeology Report
Advertisement

 イスラエル中部の古代都市シロ遺跡で、『旧約聖書』に記された移動式神殿「幕屋」と一致する構造物が発見された。

 遺構の寸法や方位、儀式の痕跡は聖書の記述と合致しており、十戒が刻まれた石板を収めた「契約の箱」がここに安置されていた可能性があるという。

 契約の箱は古代イスラエルで最も神聖な聖具とされ、その行方はいまも謎に包まれている。

 今回の発見は、聖書の物語と考古学的証拠を結びつける重要な手がかりとなるかもしれない。

旧約聖書の記述と一致する移動式神殿「「幕屋」を発見

 この発掘を行ったのは「聖書考古学研究協会」のスコット・ストリプリング博士率いるチームで、古代都市シロで発見された遺構は長辺と短辺の比が2対1となる矩形で、東西方向に正対して配置されていた。

 これは旧約聖書に記された幕屋の仕様と一致しており、現場では内部を二つに分ける厚い壁状の区画も確認された。

 幕屋は、聖書に登場する移動式の神殿のことで会見の天幕とも呼ばれる。

 出エジプト記によると、モーセが神の指示を受けて造らせたもので、内部には「聖所」と「至聖所」に分かれ、至聖所には契約の箱を安置したとされている。

この画像を大きなサイズで見る
古代シロ遺跡の発掘現場 / Image credit:Bible Archaeology Report

儀式の痕跡を示す大量の動物骨

 遺構の周辺からは、10万点を超える動物の骨が出土した。羊、ヤギ、牛が中心で、その多くが右半身に偏っている。

 旧約聖書『レビ記』第7章には、いけにえの右半身を祭司に捧げる規定があり、この特徴と一致していた。

 発掘現場からは、骨とともに鉄器時代I期(紀元前1200〜1000年頃)の土器も発見された。

 この年代は、幕屋がシロで約400年間使用されたとされる時期と合致する。

この画像を大きなサイズで見る
古代シロ遺跡で発見された要塞壁  / Image credit:Bible Archaeology Report

契約の箱とは何か

 契約の箱は、旧約聖書に登場する最も神聖な聖具である。聖書によれば、モーセが紀元前15世紀頃に神の指示を受けて製作した。箱はアカシア材で作られ、内外を金で覆い、長さ約125cm、幅と高さは約75cmだった。

 上部には「贖いの座(Mercy Seat)」と呼ばれる金の蓋が置かれ、その両端にケルビム像が向かい合って据えられていた。

 ケルビム(智天使)は聖書に登場する天使的存在で、多くの翼と複数の顔を持つと描かれることもある。

 『エゼキエル書』や『黙示録』には、人間、獅子、雄牛、鷲の顔を合わせ持つ姿が記され、神の御座や聖域を守る象徴とされている。契約の箱のケルビム像は、左右一対が翼を広げて中央の贖いの座を覆う形で作られていた。

この画像を大きなサイズで見る
東方正教会の描いた四形態のケルビム public domain/wikimedia

 契約の箱の中には三つの聖なる品が収められていたとされる。

・十戒の石板:神がモーセに授けた十の戒めを刻んだもので、神とイスラエル民族の契約の証とされた

・マナを入れた壺:出エジプトの旅の途中、神が天から降らせて人々を養った白い食物「マナ」を保存したもので、神の恵みと導きを象徴する

・アロンの杖:モーセの兄で大祭司となったアロンの持っていた杖で、ある出来事で芽を出し花を咲かせたとされ、祭司の正統な権威を示す象徴とされた

 契約の箱は至聖所に安置され、年に一度の大贖罪日には大祭司がここで儀式を行った。

 紀元前586年、バビロンによるエルサレム破壊以前に記録から姿を消し、その行方はいまも不明である。

この画像を大きなサイズで見る
フランス南西部オーシュにあるサント・マリー大聖堂のレリーフに彫られた契約の箱 public domain/wikimedia

 宗教と政治の中心だった古代都市シロ

 シロはエフライム山地に位置し、エルサレムの北約31kmにある古代都市である。

 交易路に近く、イスラエル諸部族が集まりやすい立地条件を備えていた。

 『ヨシュア記』によれば、イスラエルの民はこの地に幕屋を設置し、以後およそ300年間、宗教と共同体運営の中心として機能したという。

 ヨシュア記は旧約聖書に収められた歴史書で、モーセの後継者ヨシュアがイスラエル民族を率いてカナンの地に入植し、部族ごとに土地を分配する過程が描かれている。シロはその舞台の一つとして記録されている。

 『サムエル記』第4章には、大祭司エリがこの地で幕屋を管理していたこと、そしてペリシテ人による契約の箱の奪取と、その知らせを聞いたエリが倒れて亡くなった出来事が記されている。

 サムエル記』士師時代からイスラエル王国の成立期までの歴史を扱う書で、預言者サムエルや最初の王サウル、ダビデの物語を含む。シロはその冒頭部分で重要な舞台として登場する。

この画像を大きなサイズで見る
記念碑的建造物の北東角。このローマ時代の壁は、南西角と同様に、鉄器時代の壁の上に築かれている可能性が高い / Image credit:Bible Archaeology Report

発掘が示す新たな可能性

 今回の遺構には、至聖所と聖所を隔てるとみられる厚い壁が残っており、聖書の構造描写と一致していた。

 このことから、ここが契約の箱を安置した空間であった可能性が高まっている。

 ストリプリング博士は、エリが亡くなったとされる門の遺構を発見した可能性も指摘している。

 シロでの発掘はイスラエル最大規模の考古学プロジェクトであり、毎年新たな成果が発表されている。

 古代イスラエルの宗教儀礼と歴史を知る上で、今後も注目される現場である。

References: FOOTSTEPS: Three Things in Shiloh Samuel Likely Saw / CBN / Ancient Origins

📌 広告の下にスタッフ厳選「あわせて読みたい」を掲載中

この記事へのコメント 26件

コメントを書く

  1. 黄色いハンカチが干してあるからあの家では高倉健が幸せにくらしてるんだなぁ…
    ってくらい不確かな情報だな

    • -9
  2. 私にとって「十戒」といえばチャールトン・ヘストンの映画を思い出す。いつか「契約の箱」も見つかるのが楽しみだな。

    • +3
    1. 聖書のヨシュア記以降の部分は、ある程度の歴史的事実を踏まえた物語ではあるわけでして
      だからといって聖書が真実という訳ではないけれど

      • +10
    2. 歴史書にド派手な尾鰭がつきまくったのが聖書なんじゃないかな
      だからこそ「歴史書の部分と尾鰭の部分を分離できれば昔の事がもっとわかるんじゃね?」と世界中の考古学者が頑張っている

      • 評価
  3. 価値がわかっていない人たちばかりだ

    十戒の石板が見つかったらそれを奪うために戦争が起こるのは確実なのに

    • +6
    1. 箱を開けると中からオバケが出てきますねんやろ

      • +1
    2. 十戒の石板を破壊するモーセ
      2枚あって1枚はこんな具合だから
      シナイ山の麓に破片が残っているのかもしれない
      というか、必要数作られていても不思議ではないと思うんだ

      • 評価
      1. 本人らも持て余してたんかもよあの箱

        箱の一番わけわからんとこは、無くしたあとに代替品を作ろうとした痕跡が一切無いこと
        パレスチナあたりに暮らしてた部族同盟の象徴で、反骨精神旺盛な奴らの神輿だから普通は作るはずなんだけどなぁ……

        その後にきっぱりトーラー信仰にすげ変わってるの「無くなってよかったね」ぐらいの雰囲気まで感じね?

        • +1
  4. 最近ホームセンターの木材コーナーに行くとアカシア材がたくさん売ってる。某100均で売ってる木のスプーンもアカシア材製。出会うたびに解約の箱の素材だなぁ〜と思う
    今結構流行りの素材みたいよ

    • +2
  5. 「レイダース 失われたアーク」
    …と言い出すと、年かバレるかしら?
    「スプリガン」でも出ていましたね。

    • +6
  6. 私のコメントを表示しないってことは
    1.運営上の波風を立てたくない
    2.認知戦の加担をしている
    のどちらかなんだが。判断するのは運営じゃなくて投稿する側ってことを忘れてるのが失敗の発端にならなければいいね。

    • -26
    1. コメントの表示の是非を判断するのは運営者様です
      その判断に異を唱えるのであれば、自分でサイトなり掲示板なりブログなりを立ち上げて自分の主義を主張すればいかがですか

      • +16
    2. 20年も続いてるインターネッツ老人会の一端みたいなカラパイアやぞ
      ここの客ってもう一生離れられない老人ばかりだから今更「客が離れるぞ!」みたいなコメントってちゃんちゃらおかしいぞw

      • +4
  7. この宗教群に登場する神のヤハウェってどう考えても悪魔だよね

    • 評価
  8. 宗教というのは政治そのものなので、アークのように重要な象徴的存在は政変が起こると破壊されたり隠されたりする。
    しかし日本は世界でも稀有な超長期政権なので、三種の神器のようなものがちゃんと継承されている(本物か偽物であるかは別として、権威とアイディンティティは失われていない)。
    これはとてもすごいことで、日本人はこれを誇りに思うべきだが、昨今はそうではない輩が増えていて嘆かわしい。

    • +4
  9. ある意味このあたりの土地での発掘調査は、この土地は我らのものという根拠を探してるんだろうな

    • +3
  10. 素朴な疑問だけど箱にくっついてるケルビム像は偶像崇拝禁止のルール的にどうなんだろう
    神様じゃなくて天使だからセーフ…?

    • +1
    1. これ気になったから検索してみた
      崇拝のために作られていないこと
      幕屋の奥に隠されること前提
      だかららしいよ

      • +3

コメントを書く

0/400文字

書き込む前にコメントポリシーをご一読ください。

リニューアルについてのご意見はこちらのページで募集中!

知る

知るについての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

歴史・文化

歴史・文化についての記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。

最新記事

最新記事をすべて見る

  1. 記事一覧を読込中です。