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三畳紀の化石からトサカを持つ小型爬虫類が発見される

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image credit: X @Stephan Spiekman / Gabriel Ugueto
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 2025年7月、古生物学の世界に大きな衝撃が走った。フランス北東部ヴォージュ山地の中期三畳紀地層で、1939年に発見されていた小型爬虫類の化石を再調査したところ、背中に扇状のトサカを持つ爬虫類であることが判明したのだ。

 その構造は、恐竜や翼竜、鳥類の羽毛とも異なる特徴を備えていた。この研究成果は、2025年7月23日付の科学誌「Nacure(ネイチャー)」に掲載された。

1939年に発見された化石を再調査した結果

 件の化石は1939年5月、フランスの化石収集家ルイ・グラウフォーゲル氏によって、フランス北東部の砂岩の採石場で発見された。

 化石が出た地層は、すべて約2億4700万年前の三畳紀のものと推定されている。三畳紀は恐竜や翼竜、カメやワニなど、多様化した爬虫類が出現した頃である。

 数十年にわたりグラウフォーゲル家が保管していた膨大な化石コレクションは、2019年にドイツのシュツットガルト州立自然史博物館へと寄贈され、詳細な研究が始まることになった。

 シュテファン・シュピークマン博士が率いる研究チームには、グラウフォーゲル氏の娘で古植物学者のリア・グラウフォーゲル・スタム博士も名を連ねている。

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 この研究チームによって改めてクリーニングと詳細な調査が行われた結果、化石の中から驚くべき姿が現れた。

 そこに眠っていたのは手の平に収まるほどの小型爬虫類で、カメレオンやウォータードラゴンなど、樹上性のトカゲによく似ていたのではないかと見られている。

 その最大の特徴は、背中に扇のようなトサカを備えていたことだ。その形状は羽毛を思わせるが、実際には柔らかい膜質の皮膚構造で、枝分かれはない。

 研究チームは、この未知の爬虫類を発見者にちなんで「ミラサウラ・グラウフォーゲリ(Mirasaura grauvogeli)」と命名した。これは「グラウフォーゲルの奇跡の爬虫類」という意味である。

 グラウフォーゲル氏のコレクションには、骨格がほぼ揃った保存状態の良いものが2体と、背中の構造物だけの標本が80点以上含まれていた。

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image credit: Stephan N. F. Spiekman et al. /Natrue 2025.7.23 CC BY-NC-ND 4.0

 当初、研究チームはこのトサカ状の構造物がミラサウラの身体から生えているのではなく、川床で一緒に化石化した葉っぱか何かだと考えていたという。

 だが研究を進めるうちに、このトサカがミラサウラの背骨の部分に付着していることがわかったのだ。

派手なトサカを背負った小型爬虫類

 トサカは最大で16枚の細長い構造物が扇状に重なり合う構造で、背骨に沿って伸びていたことがわかっている。

 顕微鏡観察ではメラノソームと呼ばれる色素痕跡も確認され、当時は派手な色彩を帯びていた可能性がある。

 発見されたトサカのうち、最も大きなものは約15cmに達するという。これはミラサウラの頭から腰までの長さとほぼ同じで、非常に目立つものだったであろうことは間違いない。

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image credit: Stephan N. F. Spiekman et al. /Natrue 2025.7.23 CC BY-NC-ND 4.0

 今回の発見が驚きをもって迎えられたのは、このトサカのような構造が、羽毛の進化をめぐる論議に一石を投じる可能性があるからだ。

 羽毛はこれまで、恐竜から鳥類へ続く系統の中でその形を変え、進化してきたと考えられてきた。しかしミラサウラは恐竜とは遠縁にあたる、「ドレパノサウルス」の仲間の樹上性爬虫類であることが判明している。

 つまり、もしミラサウラが羽毛のような構造を持っていたとすると、恐竜から鳥へ至るものとは異なる系統で、独立して進化した可能性を示している。

 現存するトカゲやワニといった爬虫類は身体をウロコで覆われているが、三畳紀には背中に目立つトサカを生やした、カラフルな小型爬虫類が暮らしていた可能性があるのだ。

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 現存する爬虫類でこのような構造物を持つものというと、エリマキトカゲやバジリスクを思い浮かべる人も多いと思う。だがこの2種とミラサウラのトサカには、決定的な違いがある。

 エリマキトカゲの襟巻きは皮膚そのもの、バジリスクのトサカは背骨の神経棘が伸びたものであるのに対し、ミラサウラのトサカは羽毛と同じ、皮膚由来の構造物であるという点にある。

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グリーンバシリスク Connor Long, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

 現在の生物学では、「鳥の羽毛」「動物の体毛」「爬虫類のウロコ」は、いずれも上皮組織から進化したとされ、共通のルーツを持つことが判明している。

 ミラサウラの背に並んでいたトサカ状の突起も、これらと共通の進化的ルーツを持つ可能性がある。

 もしかするとミラサウラは、爬虫類や鳥類の進化の物語を塗り替える、貴重な発見となるのかもしれない。

Mirasaura – A ‘wonder’ fossil changes our understanding of reptile evolution

References: Paleontologists Discover a ‘Marvelous’ Triassic Reptile That Sported a Sail of Feather-Like Structures on its Back

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この記事へのコメント 6件

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  1. この形だと滑空には使い難そうだから
    体温調節用とかディスプレイ用とかかな

    • +3
  2. トサカと言うより背びれの方がしっくりくるな?

    • +9
  3. 新らしい知見ということならば単弓類のディメトロドン等の背中の帆とも違う構造ということなのでしょうね

    • -2
    1. この記事を読んでこれ系の双璧であるディメトロドンとエダフォサウルスを調べてみたのですが、この二種の間でも背びれの構造・役割は違うものだったと初めて知りました。
      ミラサウラはさらにまた異なったものなのかなぁ。

      • +3
    2. 前方が特に長く、後方に向かって短くなっている、というところでしょうか。
      空飛ぶトカゲの両翼や、ロンギスクアマの方が形状として近いのかも

      • 評価
  4. 「とにかく体を温めよう」という強い気持ちが
    少なくとも進化の枝の一本を哺乳類へと導いたのだな

    • +4

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