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やっぱり飛べた!羽毛恐竜「始祖鳥」の化石から飛ぶために必要な羽の構造を発見

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(著) (編集)

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シカゴ始祖鳥の化石 image credit: Delaney Drummond
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  ジュラ紀に生息した「始祖鳥」は、その名が示す通り、恐竜でありながら、現代に生きる鳥たちのもっとも初期の祖先の1つだと考えられている。

 だが、本当に鳥のような羽をもち、空を飛ぶことができたのだろうか?

 米国フィールド自然博物館の生物学チームは、これまで知られているどの化石よりも非常に保存状態の良い、多くの軟組織と繊細な骨が保存されている標本化石を詳しく調べたところ、空を飛ぶために必要不可欠な羽の構造「三列風切を初めて発見した。

 やはり始祖鳥は空を飛ぶ鳥の先祖だったのだ。

史上初、始祖鳥の「三列風切」を発見

 今回の重要な発見は、米国フィールド博物館の学芸員が「始祖鳥」の新たな化石標本を丁寧に処理していたときにもたらされた。

 「シカゴ始祖鳥」と呼ばれるこの化石は、1990年以前にドイツ、ゾルンホーフェンで発掘され、個人所有されていたものを、最近になってフィールド自然史博物館が買い取ったものだ。

 学芸員は、化石の組織をうっかり石と間違わないよう、CTや紫外線ライトを利用して作業を進めていた。

 すると、シカゴ始祖鳥の化石には、これまで発掘されたどんな始祖鳥よりも繊細な骨格や軟組織が残されていることに気づいた。

 だがもっとも重要だったのは、そこに「三列風切(さんれつかざきり)」と呼ばれる羽が、始祖鳥で初めて見つかったことだ。

 三列風切は、鳥の翼の中でも上腕(肩に近い部分)に生える羽根だ。翼と体の間のすき間を覆い、空気の流れを整えて揚力(飛ぶ力)を生む役割がある。

 これがないと飛ぶときに空気が漏れてしまい、うまく飛ぶことができない。現代の空を飛ぶ鳥には必ずある。そして飛ぶことができない陸上の恐竜たちには三列風切がない。

 始祖鳥の羽は、左右非対称(これも揚力を生じるうえで重要な特徴)であるだけでなく、今回の化石で初めて「三列風切」の存在が確認されたことで、飛ぶことができた証拠として注目を集めている。

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始祖鳥の復元予想図。史上初めて三列風切が確認された。image credit: Michael Rothman

ただし飛ぶのが得意だったわけではない

 羽毛恐竜が、いつ頃空を飛ぶようになったのか、確かなことはわからない。

 始祖鳥は現在知られている中では、最古の鳥とされており、三列風切がある可能性は以前から推測されていたが、今回この仮説が初めて裏付けられたことになる。

 これについて、フィールド自然史博物館のジンマイ・オコナー氏は、ニュースリリースで次にように語る。

始祖鳥は羽毛を持つ最初の恐竜でも、”翼”を備えた最初の恐竜でもありません。ですが、羽毛を使って空を飛べた最古の恐竜だと考えています(ジンマイ・オコナー氏)

 ただし、その飛行能力は限定的で、「現代の基準でいえば、かなり下手な飛び方だったかもしれない」とも語っている。

 滑空や短距離の羽ばたきといったスタイルだった可能性が高いそうだ。

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シカゴ始祖鳥の化石は現在フィールド自然史博物館に所蔵されている image credit:Delaney Drummond / Field Museum

主に地上や木で生活をしていた

 シカゴ始祖鳥からは、ほかにも注目すべき特徴が見つかっている。

 たとえば、つま先の下にウロコがあった。これは空を飛べたとはいえ、地上生活が多かったことを示唆するものだ。

 さらに、手の軟組織が詳細に残されていたことで、第三指(中指)が独立して動かせたことが判明した。手を使って枝をつかむような動きができた可能性がある。

 これは1990年代に一部の研究者が主張していた「木登り説」を再び支持する証拠となった。

 つまり始祖鳥は、空を飛ぶだけでなく、地面を歩き、木に登る能力も持っていた可能性がある。

 また、頭蓋骨内部、とくに口蓋部の骨が保存されていたことで、現代の鳥に見られる頭骨運動(cranial kinesis:くちばしを独立して動かせる仕組み)の起源に迫ることもできた。

 始祖鳥が1億5000万年前に空を飛び始めたことで、恐竜から鳥への進化は加速していったのかもしれない。現代では1万1000種以上の鳥類が世界中に広がっている。

 今回の発見は、飛行の進化がどのように始まり、どこから本当の“鳥”が生まれたのかを知るための、かけがえのない手がかりになるだろう。

 この研究は『Nature』(2025年5月14日付)に掲載された。

References: Chicago Archaeopteryx informs on the early evolution of the avian bauplan / The Famous, Feathered Dinosaur Archaeopteryx Could Fly, Suggests New Study of a ‘Beautifully Preserved’ Fossil

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この記事へのコメント 15件

コメントを書く

  1. もしも初列風切りと次列風切り見つかったら逆にかなりしっかり飛べたってことになるのかな?

    • +1
    1. どうだろう
      風切羽は飛べないダチョウやキーウィにもある
      一方で羽毛が無くてもコウモリは飛べるし、飛翔にとって羽そのものの影響は絶対的なものじゃないかも

      • +10
      1. 風切羽があるかないかはそれほど重要ではなく
        それが左右非対称で羽の一枚一枚が違う形をしていることが非常に重要だそうです
        飛ぶために一枚ずつ違う羽根があるから上手に飛べるのです(逆に言えば全ての羽が違う形状なら飛行性能を備えていると断定できる)

        • +8
  2. ニワトリみたいな動きをしてたってことかしら?

    • +5
    1. かもね
      レプリカ見たとき飛べそうにないかと思ったけど
      この記事を読むと、鶏くらいには飛べたんじゃないかな(あるいは孔雀なみ)
      鶏も20mくらいは飛ぶから、始祖鳥が敵から逃げるには十分だろう

      ただ臭いのかな?(先日のツメバケイの記事から)
      銀杏の実を食べる動物がいたそうだから(現在は播種する動物はいないみたい)、それと関係も…

      • +6
      1. ヒヨケザルでも数十メートル滑空できるから飛び出し時のキック力次第ではかなりの距離を滑空できたんじゃないかな。イチョウと言えばどういうわけか日本のタヌキはイチョウの実を食べてギンナンを一箇所にまとめて排泄する。

        • +10
        1. 狸がイチョウの実を食べることは知りませんでした
          ありがとうございます

          • +16
    2. 鶏って結構しっかり飛べるよ。数十メートルなら。

      • 評価
      1. 「数個はいくつか?」という話になりそうですねw
        (いまは3~4が普通といわれ、これは一家庭の人数で来まるそうです 昔は多く、今は少なくなって来ています そのうち2~3になるでしょう)

        さて普段から放し飼いで、敵に食われる環境だと30メートル近く飛ぶ個体もいますよ
        でも、これは品種や飼い方で違います
        私の思う鶏と貴方とがたぶん違うのでしょう

        • +3
  3. 滑空や短距離の羽ばたきってことはターちゃんと一緒だな

    • +3
  4. 三列風切って肩じゃなくて肘辺りじゃないかな。風切羽は上腕に生えないと思うけど

    • +2
    1. 初列風切が手首から上、次列は手首から肘、三列風切は肘から脇にかけての目立たない場所だから上腕であってるのでは。

      • +1

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